フィンランドの新聞社が北極の海氷をイメージしたフォント「Climate Crisis Font」をリリース。海氷に関する実際のデータを参照し、選択した年によって形が変わるのが特徴だ。気候変動の現状をより多くの人に伝えたいという製作者の思いから、誰でもダウンロードして使用できる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
フィンランドの新聞社「Helsingin Sanomat」は、気候変動の緊急性を示すため北極の海氷をイメージしたフォント「Climate Crisis Font(クライメート クライシス フォント)」をリリースした。
このフォントはユーザーが選択した年代によって形が変わるのが特徴。年は実際に海氷測定が開始された1979年から2050年まで選択可能だ。
1979年のフォントは他の年に比べもっとも太く、角が氷のように鋭い。しかし、時代が進むごとに、まるで溶け出しているかのように角が丸くなり文字が薄くなっていく。
フォントの形は海氷に関する観測データをもとにしており、過去のデータはアメリカ国立雪氷データセンター(NSISC)、未来のデータは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から参照しているという。
同社のアートディレクターを務めるTuomas Jääskeläinenさんは、「たとえば、NSISCのデータを見ると2000年に少しだけプラスになっているので、書体にもそれを反映しました」と語る。
多くの人がこのフォントを使うことで、気候変動の現状を知ってほしいという思いから、「Climate Crisis Font」は無料で公開されている。公式サイトから誰でもダウンロードが可能だ。
気候変動はいまだ多くの人にとって、実感が沸きづらいのが正直なところではないだろうか。
同じ地球とはいえ、ニュースで取り上げられるのは遠く離れた北極のこと。そして、気候変動は長期間かけて変わっていく事象であるため目の前で変化を感じづらく、抽象的なものだと捉えられがちである。
しかし、フォントでも使用されているNSISCのデータが示しているよう、私たちが住む地球上では確実な変化が起き続けており、未来が削られているのが現実。
わたしたちが日常的に触れ合う文字を介して、地球の“今”を伝えるーー。「Climate Crisis Font」は、日々のアクションを見直し、ふだんから危機感を持って行動するきっかけとなってくれそうだ。
参照リンク/Helsingin Sanomat
https://kampanjat.hs.fi/climatefont/
ELEMINIST Recommends