「マンスプレイニング」とは、男性が女性を見下したような態度で物事を説明したり解説しようとする行為のこと。「女性は男性よりモノを知らない」といった女性への性別的偏見が見えるこの行為は、多くの女性の間であるあるネタとして共感を集めている。
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マンスプレイニングとは、「man(男性)」と「explaining(説明する)」を組み合わせた造語だ。「女は男よりモノを知らない」というジェンダー的偏見を持ち、男性が女性に対して上から目線な態度で、何かを解説したり知識をひけらかしたりする行為のことである。
2008年に出版された、作家レベッカ・ソルニットによる書籍『説教したがる男たち(Men Explain Things to Me)』をきっかけに、性差別問題としてSNS上で徐々に話題となった。2010年にはニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ流行語の一つに選ばれ、2014年にはオックスフォード英語辞典(オンライン版)に掲載された。
女性医師に対して男性患者が看護師扱いをしたり医療について解説したりする。車や釣りが好きな女性に対して、「女性にしては感心だ」と上から目線な態度で自分が持っている知識を教えようとする。
このような「女性には学がない」という先入観や偏見から、偉そうな態度や発言をしてしまう行為は、マンスプレイニングに当たる。
ふだん料理をしない夫が、いつも料理をしている妻に対して「その野菜の切り方は間違ってる」などと指摘したり、料理のいろはに関するうんちくを披露したりする。また、生理・避妊を理由にピルを服用している彼女に対して「ピルを飲むと太る」などと言い、テレビやネットで耳にした根拠のない噂を語る。
このような、よく知らないことや女性の方が詳しいことでさえアドバイスしたがり、自分の優秀さをアピールしてマウントを取るような行為も、マンスプレイニングだと言える。
子どもを持つ女性が友人と外出先で楽しそうにしているSNS上の写真を見て、相手の状況を何も知らないにも関わらず、「母親なのに外で遊んでばかり。子どもがかわいそう」とコメントする。
切り取られた日常の一部分だけで判断して説教をしたがり、「女性はこうあるべき」という概念を押しつけるような発言は、マンスプレイニングに当たる。
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マンスプレイニングをする男性は、女性に対して上から目線でものを語ったり、聞いてもいないことを解説しようとしたりする。自分は親切心で話しているつもりでも、相手を不快にさせていることに気づかず、自慢話やうんちく話を続けてしまうといった特徴がある。
男性がマンスプレイニングをしてしまう心理には、「女性は無知であり男性より劣っている」といった思い込みや、自分の意見はいつも正しいという「自信過剰」、女性を自分の思い通りにしたいという「支配欲」、自分の知識を褒めてもらいたいという「承認欲求」、自分に自信がないことからくる「虚勢」などが考えられる。
とくに男性優位社会で育ち、男尊女卑や亭主関白な思考を持った男性は、女性よりも優位な立場にいると勘違いしてしまうため「自分が教えてやろう」と上から目線な態度になってしまうと考えられている。
マンスプレイニングをされた女性は、偉そうな男性の態度に対して不快な気持ちや、見下された気分になる。また、相手が上司や年上の男性の場合、話を途中で遮るわけにもいかず、うんうんと相づちを打たなければならないシチュエーションにうんざりしてしまう女性も多い。
SNS上でも、マンスプレイニングを話題にさまざまな「あるある体験」が寄せられ、問題に対する批判を集めている。
2020年7月にTwitterに投稿されたツイートは、マンスプレイニングを語る一件として話題を呼んだ。そのツイートは、「スーパーの総菜コーナーにてポテトサラダを手に取ろうとした幼児連れの母親に対し、高齢の男性が『母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ』と発言した」いうものだ。
「母親なら」と女性に対する概念を押しつけ、一方的に説教をするこの男性の行為はマンスプレイニングである。
このツイートに対しては、多くの女性から怒りの声が上がり、10万を超えるリツイートがされ話題になった。
このようにマンスプレイニングが問題視される理由は、根拠のない偏見で女性を見下し、性差別の考えを表す行為であるからだ。多くの女性は、このように男性によって無意識に横行される差別的行為を体験したことがあるため、マンスプレイニング体験談に対する多くの共感や批判を生むこととなった。
マンスプレイニングをしてくる男性は、よいリアクションをするほど「喜ばれている」と勘違いして、延々と話し続けてしまう可能性がある。
マンスプレイニングされないためには、できる限り距離を置く、リアクションは薄めで早めに会話を切り上げる、などあまり深く関わらないことがポイント。「男性を立てるのが女性の役目」などと言われた時代はとうの昔に終わっているため、心が疲れてしまう前に自分を守ることに徹する。
職場の上司や年上の男性が相手の場合、話を途中で遮ったり、失礼な発言はしづらい。そんな時は、「この人は、自分に自信がなくて自尊心を満たしたいんだな」と相手を客観的に分析することで、心のもやもやが晴れるかもしれない。また会社の研修などで、マンスプレイニングを含むハラスメントの研修をするのもおすすめだ。
また、もしかしてマンスプレイニングをしているかも、という心当たりがある人は、UN Womenの公式Twitterで公開されている、以下の「3つの問いかけ」を参考にしてみて。
・彼女はその情報を教えてほしいと言ったか?
・彼女の方が自分よりそのトピックについて詳しい可能性はあるか?
・話し始める前に自分は場の空気を読んだか?
マンスプレイニングは、多くの女性による「あるある体験」から生まれた言葉だが、批判を受ける対象はもちろん男性だけではない。これは性別問わず、誰もが被害者や加害者になりうる問題だ。無意識のうちに、相手をうんざりさせてしまう行動や発言をしていないか、自分もいまいちど確認してみる必要がある。
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