2月22日は猫の日ということで、アニマルウェルフェアの認知度を上げるべく、さまざまなバックストーリーを持つ猫と暮らす人たちにインタビューをすることに。お話を聞いたのは、ネコリパブリック代表・河瀬麻花さん。毎日が新しい発見で溢れているという生活は、いったいどんな様子なのだろう?
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捨てられてしまった、迷子になってしまった、保健所に持ち込まれてしまった……いま、さまざまな理由で多くの猫が保護されている。そんな状況を知っている人はペットショップではなく保護施設やアニマルシェルターへと足を運び、保護猫を家族として迎え入れている。なんらかの理由でお世話ができなくなった知人から、猫を譲り受けたり引き取ったりする人も多いだろう。
2月22日は猫の日ということで、アニマルウェルフェアの認知度を上げるべく、さまざまなバックストーリーを持つ猫と暮らす人たちにインタビューをすることに。家族として猫を迎え入れるには責任を全うする必要があるが、その先には楽しい生活や明るい未来が待っていることも紹介したい。
お話を聞いたのは、保護猫カフェを軸にさまざまな事業を展開する「ネコリパブリック」の代表・河瀬麻花さん。毎日が新しい発見で溢れているという生活は、いったいどんな様子なのだろう?
──保護猫のお名前は?
私が個人的に飼っている猫は、チャカ(13歳 アビシニアン風 メス)と、どろろ(12歳 キジシロ オス)です。
それぞれ私が道端で子猫のときに保護した子たちです。子どもの頃から猫を拾ってしまう癖があったのですが、この二匹は大阪で暮らしていたときに拾い、その後、大阪から東京、岐阜へと一緒にお引越しをしています。長い間一緒に暮らしているので、彼らは家族そのものですね。
──猫を拾ってしまう癖……気になります。
町を歩いているだけでも、なぜか猫を発見してしまう。かなり敏感な猫レーダーが備わっているので、保護をせずにはいられない人生です。
生まれたときから定期的に猫を拾っているため、今まで一緒に暮らしてきた保護猫の数は、約20匹ほどでしょうか。
──保護猫にかこまれた人生を送っていらっしゃるんですね。
実家が和菓子屋とパン屋を経営していた経験もあり、ネズミ避けや商売繁盛の招き猫として猫を飼っていました。だから、猫を拾ってきても叱られることはなく、子どもの頃から猫を拾っては新しい家族を探すということを自由にやらせてもらっていましたし、自分でも積極的にやっていました。
──ネコリパブリックを創業したきっかけは、河瀬さんの過去が関係していそうです。
子どもの頃から動物が大好きだったこともそうですが、東日本大震災が起きたことにより、避難地域に取り残されている犬や猫をレスキューする団体の存在を知りました。
私は当時、ベーグルのインターネット販売をおこなっていたのですが、そうした団体を少しでもサポートするために、寄付ができるベーグルセットを販売しはじめたんです。その結果、自分でも驚くほど多くのベーグルセットを販売でき、予想以上に多くの寄付をすることができました。
そして、地元でも同じような活動をしている方のサポートができないかと考え、保護猫団体でボランティアをはじめることに。そのなかで、収益をあげながら継続して猫助けをできる仕組みをつくりだしたいという思いが強くなり、ネコリパブリックを立ち上げる決意をしました。
──ネコリパブリックはどんな社会をつくろうとしているのでしょうか?
ネコリパブリックは、保護猫団体や愛護団体ではなく、ビジネスとして自走しながら、保護猫活動を推進できる「ブランド」になることを目指しています。
保護猫といえば、ネコリパブリック。猫といえば、ネコリパブリック。
誰もが頭に思い浮かべられる存在となり、いまは保護猫活動や殺処分の問題に興味を持っていない人たちに対して、それらを広めていくのが目的です。
また、猫を保護するボランティア活動が一般の方々にも認められ、感謝される社会になるように、さまざまな新しい方法で情報発信を続け価値観を変えていくことも重要なミッションだと考えています。
──どんな時に達成感や嬉しさを覚えますか?
やはり保護した猫たちが新しい家族と出会い、幸せに暮らしている姿を見ることが一番嬉しく思います。過酷な状況にいた子たちを保護し、丁寧にケアし、徐々に心をひらいていき、人間を信用し、甘えるようになった瞬間に立ち会えることも嬉しいですね。
毎日たくさんの愛おしい命と向き合いながら、その命を救うために多くの方々に活動を知ってもらえるようなイベントやブランドの立ち上げをおこなっています。まったく興味を持っていなかった人たちが「かわいい」「楽しい」という感情をきっかけに、保護猫たちの現状を知り、少しずつ行動をする姿を見れる時は、非常にやりがいを感じる瞬間です。
──保護猫を家族として迎え入れる以外に、個人で保護活動に貢献できることはあるのでしょうか?
保護猫カフェへと足を運び、入場料を払い、猫たちと遊ぶことも猫助けにつながります。また、ネコリパブリックのブランドショップで「おしゃれ」「かわいい」と思う商品を購入することも。
ボランティアとして猫が暮らしている部屋をお掃除したり、イベントに参加したりする方法もあります。家族やパートナー、友だち、知り合いの方々に、こうした活動があることを広めるのも猫助けです。
そして、私は個人の一人ひとりの力が社会を変える活力となると考えています。
──なるほど。
ネコリパブリックは保護猫カフェ事業を軸に、保護猫を家族にする文化を広めるために、さまざまな事業を新しい切り口で展開し続けています。
小さな命を大切にできる国は、豊かな国です。
ただ、生きるためにだけに必死で生きている小さな命の灯火を、ニンゲンの勝手な都合で消すことは決してあってはならないことです。ネコブームといわれる昨今、ネコリパブリックが掲げる、すべての猫に関わる経済活動の利益が、猫助けにつなげていく。
ハッピーネコサイクルを実現することで、多くの小さな命を救えると考えています。
楽しみながら猫助け。猫に興味がない人も、猫が嫌いな人までも巻き込んで、社会を変え、小さな命を、誰もが大切にする社会へ。
それがネコリパブリックが目指す未来です。
──最後に、保護猫を迎え入れる最大の楽しみを教えてください。
保護猫はさまざまな事情で保護され、さまざまなバックストーリーを持っています。里親になる方に気をつけてもらいたいのは、猫はしつけをしたり叱ったりしてもいいことがないということです。
自分の思い通りにならない、想像をはるかに超える行動をとる。すてきな動物との生活は、毎日が新しい発見で満ち溢れています。
私は「毎日のハッピーなハプニングを楽しんで生活してください」とお願いをしています。行動パターンなどを鵜呑みにせず、しっかりとひとつの個性として向き合い、一緒に生活を楽しむパートナーとして暮らしてほしいですね。
河瀬麻花/自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」代表。2022年2月22日までに日本の猫の殺処分数をゼロにすることを目指し、猫カフェで保護猫の里親探しを行いながら、猫と人との新しいライフスタイルを提案している。
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