2月22日は猫の日ということで、アニマルウェルフェアの認知度を上げるべく、さまざまなバックストーリーを持つ猫と暮らす人たちにインタビューをすることに。お話を聞いたのはスタイリングディレクター・大草直子さん。家族に大きな影響を与えてくれたという保護猫との生活はどんな様子なのだろう?
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捨てられてしまった、迷子になってしまった、保健所に持ち込まれてしまった……いま、さまざまな理由で多くの猫が保護されている。そんな状況を知っている人はペットショップではなく保護施設やアニマルシェルターへと足を運び、保護猫を家族として迎え入れている。なんらかの理由でお世話ができなくなった知人から、猫を譲り受けたり引き取ったりする人も多いだろう。
2月22日は猫の日ということで、アニマルウェルフェアの認知度を上げるべく、さまざまなバックストーリーを持つ猫と暮らす人たちにインタビューをすることに。家族として猫を迎え入れるには責任を全うする必要があるが、その先には楽しい生活や明るい未来が待っていることも紹介したい。
今回お話を聞いたのは、スタイリングディレクター・大草直子さん。家族に大きな影響を与えてくれたという保護猫との生活は、いったいどんな様子なのだろう?
──保護猫のお名前は?
パニータです。夫が名前を付けたんですけど、スペイン語で「小さなお友だち」という意味です。いつもはパニちゃんと呼んでいます。
──どうしてパニちゃんを家族として迎え入れることになったのですか?
6〜7年、夫や子どもたちと動物さんを家族にしたいねと話していました。私たちの場合は夫の影響で。彼はベネズエラ人で、もともとペットショップから犬や猫を買うという感覚がなかったんです。だから、シェルターで引き取ることは最初から話していましたね。
夫も私も仕事が忙しく、海外旅行も長い期間楽しむので、本当にお世話をできるのかな?ホテルに預けるのはかわいそうじゃないかな?と考えて、私は一緒に生活をする自信がないと伝えていたんです。だけど、コロナ禍となって価値観が大きく変わって、自分のなかにあった無理という思い込みを取っ払ってみることを決意して、家族との話し合いを経て、保護された動物を迎え入れることにしました。
──なるほど。
で、その時に偶然、東京で譲渡会が開催されていることを知り、場所も近かったので足を運んでみました。だけど、子どもたちには「命を預かることになるのだから、すぐに決断はできないよ」と話していましたね。
富士山のふもとにある団体だったんですけど、そこに2回行きました。どの子もかわいいし、どの子も引き取りたいと思っていたので、家族全員でくじ引きをして、誰が迎え入れる子を選ぶのかを決めました。命に優劣はつけられないのでこの方法が一番だと思ったんです。
──大草さんの家族になって、パニちゃんに変化はありましたか?
うちは5人家族で、パニちゃんは夫をお父さん、私をお母さん、長女をお姉ちゃんと考えているけど、下の2人のことは弟と妹だと思っている感じがします。私が末っ子のことを怒ったときは、パニちゃんが私と彼女の間に入って守るような姿勢をみせたんですよ。
変化というよりは、私たちも家族の一員だと思っているし、パニちゃんもそう考えていると思いますよ。
──5人から6人へと増えた家族はいかがですか?
みんなに変化がありましたが、とくに弟と妹の2人は大きなものをもたらしてくれましたね。部屋にこもることも多かったけど、パニちゃんが来てからはリビングにいる機会も増えました。最近は「ただいま」よりも先に「ねえ、パニはどこ?」ですもん(笑)。
みんなでLINEのグループでパニちゃんの写真を送りあっていて、家族としてもコミュニケーションが増えましたよ。
──大草さん自身はどうですか?
かわいくてかわいくて仕方がないのですが、パニちゃんをながめていると自分軸がはっきりしていて、いいなと思うんです。自由気ままにリラックスしていて、ある意味でウェルビーイングを体現しているな〜と。猫の生き方って、いまっぽいですよね。
私も影響を受けて、少し立ち止まって考える時間が増えました。いままでの人生は走り続けていたので自分でも意外でしたね。
──パニちゃんからウェルビーイングのヒントを得るとは……さすがです。
猫ちゃんにできて、人間にできないことはたくさんある。人間にできて、猫ちゃんにできないこともたくさんある。質の異なる両者が助け合って生きていくのはエシカルだし、サステナブルですよね。
殺処分されてしまう可能性のある保護猫や保護犬を迎えることも当てはまるかもしれないけど、私にとっては「助け合う」「与え合う」「認め合う」ことを追求する方がエシカルでサステナブルだと考えています。
──パニちゃんとの生活を満喫する大草さんが考える、保護猫を迎え入れたことで気づいた最大の楽しみを教えてください。
私は初心者だから偉そうなことは言えません。だけど、ペットとしてではなく、猫を人間とは異なる価値観と能力を持っている生き物と捉え、新たな家族の一員として迎え入れる楽しさや面白さはありましたね。
大草直子/1972 年生まれ 東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌の編集に携わった後、独立しファッション誌、新聞、カタログを中心にスタイリングをこなすかたわら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。WEBマガジン「mi-mollet」のコンセプトディレクター。新媒体「AMARC (amarclife.com)」を主宰。
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