Googleが提唱した「マイクロモーメント」 ニーズが生まれる瞬間を活かすマーケティング戦略とは

スマートフォンを触る男性の手

「マイクロモーメント」とは、消費者が「何かをしたい」と思った時に、スマホやタブレットなどのモバイル端末を使って検索をする瞬間のこと。インターネットやSNSの発達によりマイクロモーメントの発生頻度は増えており、これを活用したマーケティングが注目されている。

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2021.02.16
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マイクロモーメントとは?

自転車の前でスマートフォンを触る男性

Photo by LinkedIn Sales Navigator on Unsplash

マイクロモーメントとは、2015年にGoogleが提唱した言葉で、人が「何かをしたい」と思ったときに、反射的にスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使って検索する瞬間(モーメント)のこと。

インターネットやSNSの発達により、知りたいことがすぐに調べられる、ほしい物がすぐに買える時代になったことで、モバイルユーザーの意思決定はより速いスピードでおこなわれるようになった。そのためWebマーケティングにおいても、マイクロモーメントを活用し、ユーザーのニーズにより素早く、適切に答えることが重要視されている。

マーケティングに重要な4つのマイクロモーメント

Googleによると、マーケティング効果をもたらす重要なマイクロモーメントは、以下の4つに分けられる。

知りたい(I‐want‐to‐know moments)

人との会話やテレビを見ている中で、購入意思に関係なく、有益な情報や新しい知識を得るために検索をする瞬間のこと。Googleの調査によると、テレビCMで見た情報をさらに調べるためにスマホで検索する人の割合は、スマホユーザーの66%にも上る(※1)。

行きたい(I‐want‐to‐go moments)

食事をするために、近くのレストランやカフェなどを検索したり、何かを購入するために周辺の店を検索したりする瞬間のこと。Googleの調査によると、周辺地域の情報をスマホで検索する人の割合は、スマホユーザーの82%にも上る(※1)。

したい(I‐want‐to‐do moments)

「自分でヘアセットをしたい」「家でケーキを焼きたい」「DIYで棚をつくりたい」といった欲求を叶えるために、その方法やアドバイスを求めて検索する瞬間のこと。Googleの調査によると、スマホユーザーの91%はこういったタスクを遂行するために、スマホで検索をしているという(※1)。また近年では、YouTubeでも”やり方”や”方法”を説明する「ハウツー(how to)動画」を視聴する人が増えている。

買いたい(I‐want‐to‐buy moments)

何かを買いたいと思ったときに、その商品やサービスの機能を調べたり、評価や口コミを検索する瞬間のこと。Googleの調査によると、スマホユーザーの82%が店頭で商品を購入する前に、その商品についてスマホで検索しているという(※1)。

マイクロモーメントとマーケティングの関係性

2017年における国内のスマホ普及率は6割を越え、20代・30代では90%以上と非常に高くなっている(※2)。Googleが発表した調査によると、スマホユーザーの87%は、昼夜問わず自分の手元にスマホを置いており、1日にスマホをチェックする回数は約150回にも上るという(※3)。

スマホで得る情報と消費者行動が深く関係しているいま、ビジネスを成功させるためには、マイクロモーメントを有効活用した、以下のようなマーケティング戦略が必要とされるだろう。

検索キーワードや広告でアプローチする

検索キーワードを利用して検索結果上位を狙う(SEO対策)ことで、マイクロモーメントに素早く応えることができる。

また、ある特定のユーザーに向けて継続的に広告を表示させられる、リターゲティング広告やリスティング広告、インストリーム広告も効果的。ただ、しつこいと思わせる広告表示は逆効果になるため、注意が必要だ。

消費者のニーズを見極めて最適な情報を届ける

スマホユーザーの91%は、「ほしい情報が見つからない/わかりづらい」などの理由でサイトやアプリを離脱する傾向にあるという(※4)。

そのため、「商品の在庫がある店舗をモバイルストアで簡単に確認できる」「商品の使い方を説明するハウツー動画を用意している」「カスタマーサービスやヘルプ機能がわかりやすく充実している」というように、ユーザーがどのような情報をどのような形で求めているかを理解することで、マイクロモーメントに応えることができる。

スピード感と利便性を高める

Amazonによる調査では「サイトの表示が1秒遅くなるだけで、成約率が10%下がる」と言われている(※5)。そのため、サイトやアプリの「表示スピード」「直感的なわかりやすさ」「使い勝手のよさ」などを見直すことでマイクロモーメントに応え、ユーザーの満足度得ることができる。

スマートフォンアプリの導入も、マイクロモーメントに素早く対応する方法の一つ。アプリはモバイルでの操作性や機能性に優れているため、Webサイトに比べて成約率利用率が高い傾向にあると言われている。

マイクロモーメントを活用した3つの事例

スマートフォンを触る手

Photo by freestocks on Unsplash

セフォラ

フランス発のビューティー専門店「セフォラ」は、来店した顧客の多くが店頭でスマホを使って商品を検索していることに注目し、新たにモバイルサイトとアプリを開発した。これにより、店頭でバーコードをスキャンすると、アプリを通じて簡単に製品の情報やレビューを読めるようになり、購買促進と来店頻度の向上につながった。

西友

食料品、衣料品、住居用品などを扱う「西友」は、デジタル化が進む中、チラシによる来店訴求効果に限界を感じていた。そこで、生活者の「買い物したい」というマイクロモーメントが多く発生する時間帯と場所に合わせて、広告を配信。チラシでの効果を大きく超える店舗誘導に成功した。

RMK

化粧品ブランド「RMK」は、自社商品のハウツー動画をYoutubeで公開。オンラインや店頭で購入したい人の「商品について知りたい」というニーズに応えられるよう、メイクアップやスキンケア方法をわかりやすく解説している。

また、動画のカテゴリーごとにタイトルフォーマットやサムネイルデザインを統一することで、関連性がひと目でわかるようになっている。説明文には使用商品を記載することで、検索結果が上位に表示されやすいようにSEO対策がされている。

ビジネスの成功にはマイクロモーメントの活用が不可欠

ユーザーが情報を得てから行動に移すまでの時間は、今後ますます短くなっていくことが予想される。ビジネスを成功させるためには、マイクロモーメントを有効活用したマーケティング戦略を立て、ユーザーの心を掴むことが不可欠になるだろう。

※1 Google「4 New Moments Every Marketer Should Know」
https://think.storage.googleapis.com/docs/4-new-moments-every-marketer-should-know.pdf
※2 総務省 平成30年「 第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長/第2節 ICTによる「つながり」の現状」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd142110.html
※3 Google「Micro-Moments:Your Guide to Winning the Shift to Mobile(p3)」
https://think.storage.googleapis.com/images/micromoments-guide-to-winning-shift-to-mobile-download.pdf
※4 Google「Micro-Moments:Your Guide to Winning the Shift to Mobile(p11)」
https://think.storage.googleapis.com/images/micromoments-guide-to-winning-shift-to-mobile-download.pdf
※5 Kissmetrics 2017年「How Loading Time Affects Your Bottom Line」
https://neilpatel.com/blog/loading-time/

※掲載している情報は、2021年2月16日時点のものです。

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