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植物の芽が出た土をすくう手

微生物で自然をきれいにする「バイオレメディエーション」 土壌浄化の仕組みと2つの活用事例

汚染された土壌や水を微生物の力を借りて浄化する「バイオレメディエーション」。この記事では、化学薬品の毒性に頼らず汚染浄化する方法や仕組み、実用例まで解説する。まだまだ知られていないバイオレメディエーションをチェックして環境問題に対する知識を広げよう。

2021.02.01

バイオレメディエーションとは

光が降り注ぐ畑の土

Photo by Dylan de Jonge on Unsplash

「バイオレメディエーション」とは、微生物や菌類、植物がもつ化学物質の分解能力や蓄積能力を用いて、土壌や地下水等の汚染浄化を図る技術のこと(※1)。外国語を日本語に直訳すると「バイオ(bio)=生物」、「レメディエーション(remediation)=修復」となり、生物を利用した環境修復であることがわかる。

1970年代に米国で石油の分解に微生物を利用したのが始まり。日本でも利用されており、身近な例で行くと大手総合建設会社の事業開発などが挙げられる。

バイオレメディエーションの仕組み

バイオレメディエーションの仕組みは、土壌の浄化を例として説明すると2つある(※2)。1つ目は、土壌中の微生物を元気にする薬剤を汚染土壌に投入し、微生物を活性化させる仕組み。

2つ目は外部で培養した元気な微生物を土壌に送り込む仕組みである。どちらも、微生物の働きを利用して汚染物質を分解している。

特徴とメリット

バイオレメディエーションの特徴は、他の浄化手法に比べコストパフォーマンスに優れ、生態系に与える影響が少ない技術であること。メリットは以下の通り。

・広範囲におよぶ汚染の浄化が可能・原位置で作業できる(※)ため作業コストが低い。
・常温、常圧のためエネルギーをあまり必要としない。
・浄化に伴う環境負荷が少ない
※ 汚染された土壌を掘り返したり、地下水をくみ上げたりせずに、その場で浄化作業ができる。

現状と実用例

バイオレメディエーションによって原位置で浄化された土壌

日本海でタンカー沈没により流出した重油の浄化

1997年の冬、ロシアのタンカー「ナホトカ号」の船体が、日本海沖で折れるという事故が発生。コントロールを失ったナホトカ号は、漂流後沈没し、大量の重油が海へと流出した。

大量に流れた重油は日本海沖から港にまで流れ込み、港の海洋環境への悪影響が心配されたため、当初は油処理剤を使用しての浄化作業が進められたが、当時の油処理剤は毒性が強く、環境のことを考えるとなるべく避けたい手法だったこともあって、バイオレメディエーションも併用されるに至った。

結果、油まみれの石も2カ月程度という短期間で浄化することができ、バイオレメディエーションの効果を証明する事例となった(※3)。

田んぼに流れ込んだ廃油の浄化

1994年、とある産廃業者が、産廃を保管する倉庫を拡張するために工事を行っていたところ、誤って廃油を流出。廃油は隣の田んぼに流れ込み、付近の稲はすべて枯れてしまう事故が発生した。

環境にやさしく土壌を浄化できるバイオレメディエーションを利用したところ、バイオ製剤を撒布した後、土壌の色は正常に戻り、雑草が生えるように。土壌に汚染物質が残っていれば、雑草すら生えてこないため、今後、稲が生えてくる希望を感じられる結果となった(※4)。

※掲載している情報は、2021年2月1日時点のものです。

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