アドボカシーとは、政治や経済、社会などの制度へと影響を与えるために、個人やグループによる活動・運動を意味する。社会にあるさまざまな課題に対して、多くの人が関心を持っていることを示して政策を動かしていくことがアドボカシー活動の目的だ。アドボカシーについて、詳しく見ていこう。
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アドボカシーとは、「権利擁護」や「代弁」などという意味を持つ言葉で、政治や経済、社会などの制度へと影響を与えるために、個人やグループによる活動・運動を意味する。
医療機関では、患者の意志を代弁することで、患者の安全や医療の質などの患者の権利を守るという意味で、アドボカシーという言葉が用いられている。
この記事では、社会問題、環境問題などに関連した「アドボカシー」「アドボカシー活動」について解説する。
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NPOやNGOにおけるアドボカシー活動の大きな柱は、政策提言である。政策提言のための代表的な手段に、ロビー活動がある。アメリカではロビー活動が盛んで、NPO・NGOは政策に影響を与えるため、ロビー活動を通じて政治家に直接自分たちの主義主張を訴えている。
そもそもロビー活動とは、審議や会議の休憩の間に、ロビイストと呼ばれる市民の代表者が出向いて、政策に自分たちの主義主張が反映されるように働きかけることだ。
休憩時間にホテルのロビーで行われることからロビー活動と呼ばれているが、直接出向くだけでなく、電話やメールを用いて行われたり、メディアに意見広告を出すなどの活動もロビー活動に含まれる。
このロビー活動を通じて政治家を動かし、政策に影響を与えていくことが、NPO・NGOのアドボカシー活動だ。
アドボカシー活動は、自国の政府だけでなく、自分たちが支援しようとする国の政府のほか、国連などの国際的な組織も対象になる。
政府のほかには、さまざまな課題に対して周知活動やキャンペーンを通じて知識を啓蒙し、一人ひとりの行動につなげるための活動もアドボカシー活動には含まれる。
たとえば気候変動など、多くの人が関心を寄せていることを示すことで、政府や国際機関への圧力となり、政策を動かすことにつながるのである。
ジョイセフは、女性のいのちと健康を守ることを目的とし、活動する日本のNGO。戦後の日本が実践してきた家族計画・母子保健の分野での経験やノウハウを途上国に移転してほしいという国際的な要望を受け、1968年に設立された。
ジョイセフでは日本の国会議員やマスメディアに対して、世界の人口・保健分野の国際協力政策でリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の向上のための取り組みが強化されるように、途上国の女性がおかれた現状を伝えている。
また、日本の政府開発援助(ODA)や世界の保健分野の国際協力政策において、リプロダクティブ・ヘルス向上のための取り組みの強化を目指し、国内外の国際協力NGOと連携して政策決定者に対する提言活動を行っている。
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チャイルド・ファンド・ジャパンは1975年に活動を開始した、アジアの貧困層の子どもを支援する活動を行う日本のNGO。
「すべての子どもに開かれた未来を約束する国際社会の形成」を目指し、「生かし生かされる国際協力を通じて子どもの権利を守る」という使命のもと支援活動を行う。
子どもの健全な成長と地域の自立を目指した包括的な支援を行う「スポンサーシップ・プログラム」と呼ばれる活動や、難民支援、アドボカシー活動を行う。
アドボカシー活動としては、大人の行動が原因で子どもに危害を与えることがないよう、「子どものセーフガーディング方針」を策定したり、セーフガーディング方針に基づくガイドラインの作成などを行っている。
社会問題、環境問題などの分野におけるアドボカシーとは、ロビー活動を中心とした政策提言と、広報活動による意識改革である。
社会にあるさまざまな課題に対して、多くの人が関心を持っていることを示すことで政治に圧力を与え、政策を動かしていくことがアドボカシー活動の目的なのである。
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