未来のために 「しずくプロジェクト」が創造する杉の新しい価値

キネストコープ社代表の廣瀬圭治さんが始めた「しずくプロジェクト」。安心して暮らせる未来を創造するため、杉の新しい価値を生み出し、山の環境保全や豊かな水源のある森を取り戻す活動をしている。数々の賞を受賞するSHIZQブランドの商品。同プロジェクトが考える、これからの活動とは。

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2020.05.13

ひとりのデザイナーの気づきから始まった「しずくプロジェクト」

山の風景

企業のブランディングやWeb制作を手がけるキネストコープ社。同社が運営する「しずくプロジェクト」 は、杉の新しい価値を創造し、関わる人達が未来に希望を持ち、安心して豊かに暮らしていくことを使命とした活動だ。

この活動はデザイナーであり、キネストコープ社代表の廣瀬圭治さんの発案によってはじまった。大阪から神山(徳島)に移住した廣瀬さんは、緑豊かな山のほとんどが、天然林ではなく人工林(人工的につくられた針葉樹の林)で、水源をも危ぶむ状況に置かれていることを知った。そして、「デザイナーとして何か役に立てないか?」 と思い立ったという。

「杉」に新しい価値を SHIZQ(しずく)ブランドの発足

杉を使った伝統工芸

しずくプロジェクトから生まれた「SHIZQ(しずく)ブランド」 では、杉を使った商品開発を行い、2014年から販売を開始する。人工林の課題を広く啓発するとともに、伝統工芸の職人と協力し、杉の木目を活かしたコップやお皿や椀などを取り扱っている。

SHIZQ(しずく)ブランドのエッセンシャルオイル

2015年にはミラノ万博出展、2016年はアムステルダム「MONO JAPAN」 との企画展、2017年にはGOOD DESIGN賞を受賞。

杉を使ったエッセンシャルオイルの販売を開始した2019年には、イタリア国際デザインコンペ「A' Design Award 2019」 ソーシャル部門金賞受賞を果たした。

「しずくプロジェクト」のいまと未来

はじめは水源を守り、山の現状を啓発する目的で始められたプロジェクトも、間もなく丸7年を迎える。技術や知識の伝承や経済活動、チームづくりなど、継続的な活動のためにさまざまな課題を乗り越えてきた。

仲間が増えてからは、この活動を「新しい地場産業のデザイン」 と考えるようになった。その理由は、“仲間に対して仕事をつくり、生活を支えられることができなければ、未来をつくれないから” である。

3年後に活動開始から10周年を迎える「しずくプロジェクト」。この活動が100年続けば、山の木々が多様な植生になり、豊かな水を湛える森に生まれ変わる。川の水量が増すことで、海も豊かになり、たくさんの人々の暮らしを支える環境に変わっているだろう。そんな夢の未来へとつないでいくのが目標だ。

しずくの波紋が世の中に広がっていく

小さな活動は、まるで静かな水面に落ちた一滴のしずくのよう。その小さなしずくが波紋となって、世の中に広がっていくことで、子どもたちの未来を創っていきたいと廣瀬さんは語る。そんな「しずくプロジェクト」 が将来実現しようとしている内容を最後に紹介しよう。

・もっとたくさんの人にしずくのブランド商品を観てもらえる場所を新たにつくる。
・職人育成を通じて技術の伝承。
・伐採チームを組織し町内サプライチェーンを築く。
・こども達が神山にUターンできる地場産業を根付かせる。

・多様な森となり、豊かな水源を取り戻す。
・そして、みなが豊かに暮らす。

問い合わせ先/神山しずくプロジェクト
http://shizq.jp/

※掲載している情報は、2020年5月13日時点のものです。

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