「気候危機」がもたらす地球の危機とは わたしたちの未来を守るために

雲間からの光が指す森林

2020年日本もついに気候非常事態宣言をした。いま、世界的に「気候危機」への対策を急がなくてはいけない状況に直面している。地球温暖化が与える未来への影響を防ぐために、わたしたちができることとは? この記事では、気候危機の意味や事例とあわせて解説していく。

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2021.01.28
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そもそも気候とは何を意味するのか?

2020年11月20日に、日本は気候非常事態宣言を表明した。気候非常事態宣言をした国は、気候変動への対策立案を優先的にとることになる。

2019年4月28日のスコットランドをはじめ、イギリス、アイルランド、ポルトガル、カナダ、フランスなどの国や、ニューヨーク、ミラノなどの地方政府・自治体が続々と気候非常事態宣言を表明している。気候変動の域を超えた危機的状況に陥っているという事実を、わたしたち一人ひとりが受け止めて考えなければならないだろう。

地球はどのような危機に直面しているのかを解説をする前に、「天気・天候・気候」の3つの違いを説明したい。この3つの違いは、それぞれの期間である。

天気は数時間から数日間の気象状況を指す。天気よりも長い1週間以上の期間で、1ヶ月程度の気象状況を指すのが天候だ。気候は1ヶ月を超えた長期にわたる気象状況を指す。

つまり気候非常事態宣言とは、長期にわたる気象状況が非常に危機的状態であり、その改善に全力を尽くす、ということになる。

気候変動がもたらす「気候危機」

木の上でくつろぐコアラ.

Photo by ellica on Unsplash

1. オーストラリア森林火災

2019年9月に発生し、2020年2月までという長期間続いたオーストラリアでの大規模森林火災。SNSでもその悲惨な様子がシェアされ、複数の団体が募金活動などを呼びかけた。その発生背景には、地球温暖化による気候変動が大きく関係している。

オーストラリア東部は干ばつが3年間続き、極度に乾燥した状態にあった。さらにこの年は平均気温も過去最高を記録。12月には記録的な熱波が到来したことで、火災が多発し、拡大していく条件が整ってしまったのだ。

この火災は森林の多くを焼き払っただけでなく、近隣に住む人間やその森に住む動物たちにも大きな被害を与えた。

森林火災から発生した大量の煙が、オーストラリア最大の都市シドニーにまで届き、呼吸困難を訴える住民が続出。

オーストラリア南部にあるカンガルー島では、推計2万5千匹のコアラが犠牲に。それだけでなく、シドニー大学の研究によるとこの森林火災で哺乳類、鳥類、爬虫類など合計10億匹以上もの動物たちが犠牲になったという。

2. サバクトビバッタの異常繁殖

アフリカ、中東、アジアなど20カ国以上もの国々で、サバクトビバッタが異常繁殖した2020年。農作物を食い荒らす被害が続いたことで深刻な食糧難を招き、生活困窮者が続出する事態となった。

異常繁殖の原因は、2018年に中東アラビア半島の砂漠地帯に上陸したサイクロンにある。サイクロンとは、インド洋北部・インド洋南部・太平洋南部の3つの地域で発生する熱帯低気圧を指す。同年に発生した回数は2回と、例年に比べて異例な数だった。

さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による移動制限によって、殺虫剤の調達や散布が難しい状況もある。国際連合食糧農業機関(FAO)は、推計数千億匹の群れが飛来したとされるアフリカ東部と中東イエメンで、「計約4200万人が食糧危機に直面するおそれがある」と警告している(※1)。

3. 食料危機と紛争

ユニセフ(国連児童基金)、国連世界食糧計画(国連WFP)、国連食糧農業機関(FAO)の国連3機関が、中央サヘル地域480万人に食料危機の恐れがあると警告している。

その原因はブルキナファソ、マリ、ニジェールの中央サヘル諸国で続いている紛争だ。紛争が起きたそもそもの原因は、気候変動による農作物への影響や資源をめぐる争いだ。その紛争がさらに地域社会へ影響を与え、住民たちの食糧不安を拡大させるなど、負の連鎖が止まらない。

それを断ち切るためにさまざまな支援がされているが、大元の要因は気候変動だ。これこそ「気候非常事態」であり、早急に対策を練る必要がある(※2)

気候危機と今後の世界

上空から見た雲海

Photo by Artur D on Unsplash

わたしたちが、このままの経済活動を続けた場合には21世紀末に4度前後の気温上昇が予測されている(※3)。

そうすると、以上にあげたような森林火災、異常繁殖、未知の病原体の拡散、紛争など取り返しのつかない影響が頻発するようになってしまう。そのような最悪な未来を避けるために、直ちに行動を起こさなければならない。

気候非常事態宣言のように、地域や国単位での政策立案や計画ももちろん重要だ。しかしそれを細かく紐解いていけば、結局はわたしたち一人ひとりの生活をどのように過ごすかの「行動」につながってくる。

日頃使っている電化製品の使用回数を減らす工夫や、どうしても必要な日用品の購入は少しずつ持続可能な製品に変えていくなど、小さな気づきと積み重ねが重要な鍵になるといえるだろう。

※1 新型コロナ感染症と気候変動の関係は?|Green Peace
https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2020/03/31/12788/
※2 中央サヘル地域480万人に食料危機の恐れ 紛争による移動や治安悪化が要因 / ユニセフ等国連3機関が警鐘|UNICEF
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0018.html
※3 地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?|WWF
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/1028.html

※掲載している情報は、2021年1月28日時点のものです。

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