サブスクリプションエコノミーの意味とは 具体例をわかりやすく解説

サブスクリプションエコノミーとは、製品やサービスを一定期間利用し、その期間に応じた代金を支払う経済モデルのこと。本記事では、昨今よく耳にすることの多い「サブスク」「サブスクリプション」などの言葉や、サブスクリプションエコノミーの具体例、メリット、デメリットを紹介する。

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2020.11.26
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サブスクリクションエコノミーの意味とは

サブスクリプションサービスのイメージ

Photo by Matthew Guay on Unsplash

サブスクリプションエコノミー(subscription economy)とは、製品やサービスを利用する権利を数か月や数年などの一定期間借り、その借りた期間に応じた利用料金を支払う経済モデルのこと。

これに対し、従来の製品やサービスを購入する経済モデルは、プロダクトエコノミー(product economy)と呼ばれる。

サブスクリプションエコノミーを示す言葉の短縮形として、「サブスクリプション(subscription)」または「サブスクリプション方式」、「サブスク」などが使われることが多いが、サブスクリプションは、定額制、会費、予約購読、予約金などを意味する言葉である。

従来は製品やサービスを利用する際は、買い取ることが当たり前であったが、このサブスクリプションエコノミーが広まってからは、ものを所有せず、必要なときにのみ利用することができるようになった。

いつからどこで始まった?

サブスクリプションエコノミーの歴史は古く、17世紀のドイツで出版社が事前に集金する予約販売の形を取り、百科事典を制作し、販売したのが発祥と言われている。

現在のサブスクリプションサービスの流れをつくったのは、1999年にアメリカで創業されたクラウドサービスを提供する会社「salesforce.com(セールスフォースドットコム)」だと考えられる。

日本で広く一般に知られるようになったのは、2015年にNetflix(ネットフリックス)が、2016年にSpotify(スポティファイ)がサービスを開始してからである(※1)。

その後、インターネット経由でのサブスクリプションサービスはさまざまな分野に広がり、外食産業や物販などの分野でもサブスクリプションサービスの展開が行われるようになった。

サブスクリプションエコノミーの具体例4つ

定額動画配信サービスのイメージ

Photo by freestocks on Unsplash

Netflix(定額動画配信サービス)

2007年に動画配信サービスを始めたNetflix(ネットフリックス)。2016年には中国を除く全世界に進出し、2019年以降は動画の配信だけでなく、オリジナルコンテンツの制作もスタートしている。配信作品数は非公開だが、映画、ドラマ、バラエティなど、豊富な取り揃えだ。

Netflixの月額利用料は、ベーシックプランが880円、スタンダードプランが1320円、プレミアムプランが1980円。料金の違いは、同時視聴できる台数の違いで、ベーシックでは1台のみだが、スタンダードでは2台、プレミアムでは4台で同時視聴が可能となっている(※2)。

Spotify(定額制音楽配信サービス)

「Spotify(スポティファイ)」とは、2006年にスウェーデンで始まった音楽配信サービス。無料の「Spotify Free」と、有料の「Spotify Premium」から選ぶことができ、どちらのプランでも、Spotify上に用意された、5000万曲もの楽曲を楽しむことができる(※3)。

「Spotify Premium」のStandardは月額980円、Studentは月額480円で1つのアカウントを利用できる。このほか、2つのアカウントを利用できるDuoが月額1280円、最大6つのアカウントを利用できるFamilyが月額1480円で用意されている。

Spotifyでは、ユーザーが好きな曲を集めて「プレイリスト」をつくることができるのが特徴。プレイリストは無料でも利用できるが、オフライン再生ができない、好きな順に再生ができない、途中で音声広告が流れる、などの理由から、ストレスなく音楽を楽しみたいと月額制のプレミアムプランを選ぶユーザーが多いようだ。

Oisix(食材の定期便)

「Oisix(オイシックス)」は、2000年に始まったeコマースサイト。さまざまな食品を選んで、都度、単品購入することもできるが、サブスクリプションサービス「定期ボックス」を利用すると、毎週決まった曜日に食材を配送してもらえる。

サブスクリプションサービス「定期ボックス」の利用料は5000円程度。コースは、3000点もの取り扱い商品の中から旬の野菜や食材が選ばれて送られてくる「おいしいものセレクトコース」、本格的な料理を手早く作れる食材キットを提供する「Kit Oisix献立コース」、乳幼児向けの食材キットや時短商品の「プレママ&ママコース」の3種類から選ぶことができる(※4)。

KINTO(自動車の定額制サービス)

トヨタ自動車が2019年2月から始めた、サブスクリプションサービス。従来の自動車購入では、数百万円の車の代金に加え、保険加入や税金、メンテナンス、修理などの費用が別途かかったが、「KINTO(キント)」では、自動車所有にかかるそれらの費用を3年間、低額でまかなうことができるというものだ。

たとえば、パッソやルーミーなどの小型車であれば月々3万円台~、ランドクルーザーやハリアーなどのSUV車ならば月々6万円台~、クラウンでは月々9万円台~で、自動車所有にかかる費用を3年間、定額でまかなうことができる(※5)。

サブスクリプションエコノミーのメリット・デメリット

サブスクリプションサービスのイメ―ジ

Photo by Heidi Fin on Unsplash

ユーザー目線で見ると、多くの利点を感じるサブスクリプションエコノミーだが、弊害もある。その一部を以下にまとめた。

企業にとってのメリット

企業にとっての大きなメリットは、サブスクリプションを導入することで、継続的な売り上げをもつことができ、事業の見通しを立てやすくなることである。
また、導入コストを下げられるので、高額商品でも試しやすい月額料金設定ができ、購入層が広がるといった利点も出てくる。
このほか、サブスクリプション方式をとることで、買い切り制とは異なり、ユーザーとの接点が増えるので、ユーザーの声を拾いやすくなるのも利点の1つだ。

消費者にとってのメリット

サブスクリプション方式では、スマートフォンやパソコンから、ワンクリックでサービスを利用できるものが多く、不要になったら気軽に解約ができる。また製品を利用したいときに、購入して「モノを所有」する必要がなくなり、「利用するときのみ代金を支払う」ことができる。

その商品を購入するよりもコストを抑えて利用ができる、所有し続けなくてよいので身軽に暮らせることが最大のメリットだ。

また、購入する場合と比べて支払う料金が抑えられているため、気軽に試すことができる。このことにより、興味の幅が広がる、高額で購入できないものでも一定期間試すことができるなどの恩恵も受けることができるのだ。

企業にとってのデメリット

従来のプロダクトエコノミーでは、商品を販売すれば料金全額が一度に入ってくる。一方、サブスクリプション方式では利用料金は定額制のため、商品やサービスの元手を回収し、利益が上がるまでに時間がかかってしまうのが、デメリットと言える。

また、事業開始時には利用者が少ないため、事業が安定しにくいといった点や、常に新しいコンテンツを導入しなければ飽きられ、解約されてしまうという点も、サブスクリプション方式ならではのデメリットだ。

継続的な売り上げを上げるためには、ユーザー満足度を上げるためのてこ入れ、サービスの充実を常にはかる必要がある。

消費者にとってのデメリット

サブスクリプション方式では、提示されるプランの中から選ぶことがほとんどで、細かな設定はできない。そのため、自分にとって不必要なものが含まれているプランを選ばなければならないこともあり、興味のないサービスにまでお金を支払わなければならないというケースもある。

月額制の場合、利用をしなくても料金が発生することもデメリットの1つだ。1つ1つは低料金のため、いくつも利用してしまいがちだが、使わないサービスはこまめに見直しをしないと、無駄なお金を払い続けてしまうこともある。

また、当然のことだが、解約をすればそのサービス・製品は利用ができなくなる。利用期間によっては、買い切りの場合と同額以上支払っているにも関わらず、手元にモノが残らないことも、場合によってはデメリットになるかもしれない。

サブスクリプションが安くて得であるかは、その人の利用方法によるもの。メリット・デメリットを理解して利用するのが、サブスクリプションエコノミーをうまく生き抜くコツといえるだろう。

※1:サブスクリプションモデルの管理会計研究
file:///C:/Users/imuya/Downloads/1041_0105_08.pdf

※2:Netflix
https://help.netflix.com/ja/node/412

※3:Spotify
https://www.spotify.com/jp/premium/

※4:Oisix
https://www.oisix.com/OtameshiTouroku.lp.g6--top--top-shinki_domo__html.htm?mi2=pc_logo&mi2=TopLogo

※5:KINTO
https://kinto-jp.com/

※掲載している情報は、2020年11月26日時点のものです。

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