カーボンロックインとは? その問題点や世界各国の取り組み

再生可能エネルギーの導入を妨げる化石燃料ベースのエネルギーシステムを長く続けていこうとする動きを阻止し、企業やわたしたちにメリットがあるかたちで変えていくのにはどうしたらいいのか?世界と日本の例をあげて説明する。

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2020.11.30
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カーボンロックインとは

カーボンロックインとは、既存の化石燃料ベースのエネルギーシステムにより、二酸化炭素(CO2)の排出が続けられる状態を指す。

このコンセプトと用語は、1999年にアメリカ合衆国マサチューセッツ州メドフォードにあるタフツ大学のフレッチャースクールでグレゴリーC.ウンルー氏の博士論文「Escaping Carbon Lock-In」内で発表された。

カーボンロックインはなぜ起きるのか

カーボンロックインが起きる大きな要因は、「ビジネス」だ。資本主義経済のエネルギー部門の変化、特に石炭から再生可能エネルギーへの移行は、その経済基盤の構築と投資に非常にコストと時間がかかる。

中国やインドといった急速に工業化する国では、カーボンロックインのグローバル化防止に焦点を当てた議論がよく話題に上がる。

ほとんどの先進国は、主に民間産業を通じてエネルギーを得ており、そのなかで変化を起こすためには金銭的メリットのある動機付けを大きくすることと、個人の環境問題に対する意識を定着させる必要がある。

つまりビジネス構造と優先順位を「お金」ではなく、「地球の未来」に大きく変えるための支援策を考えることが大切だ。(※1)

世界の国々や日本の対策

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Photo by Lukasz Szmigiel

エコ大国として注目されているドイツでは、2014年に「再生可能エネルギー法( Das Erneuerbare-Energien-Gesetz)」が発効された。(※2)

これにより、再生可能エネルギーによって発電されたすべての電気を優先して送電網に接続することを保証し、適切に利益を得ることができるよう設計されている。

また輸入エネルギーを自国の再生可能エネルギーに置き換えた。それにより再生可能エネルギー部門で、38万人の新たな雇用が国内で生まれた。これは化石燃料などのエネルギー産業の雇用をしのぐ規模だ。このようにして、経済・財政危機対策に再生可能エネルギーを組み込み、うまく活用している。

ドイツでは再生可能エネルギーの割合が2020年までに40%を超えると言われており、設定した再生可能エネルギー目標を上回る予定だ。(※3)

一方日本は、2030年に向け3E+S(エネルギーミックス)を目指している。資源に貧しい日本は、幾つかのエネルギー資源をミックスして運営し、弱みを補っていこうという考えである。

3E+Sの意味は、3つのE、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を安全性のS(Safety)をプラスして行うエネルギー対策のこと。

そのなかには、化石燃料、原子力発電、再生可能エネルギーが含まれており、再生可能エネルギーの割合を今後どのように多くしていくかが課題となっている。

再生可能エネルギーは国内で生産することができ、エネルギー安全保障にも役立つ重要な低炭素の国産エネルギー源として注目されているが、コストの高さなど、導入に対して改善すべき部分がたくさんある。(※4)

しかし2016年の電力自由化により、電力会社を自分自身で選ぶことが可能になった。

わたしたち個人ができることとして、環境意識の高いエコな電力会社を率先して選択していくことにより、価格競争が行われ、再生可能エネルギーはこれからもっと身近な存在になっていくだろう。

※掲載している情報は、2020年11月30日時点のものです。

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