低所得者の持続可能な生活を支援する「インクルーシブビジネス」 事業拡大との両立の鍵とは?

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インクルーシブビジネスとは、開発途上国の貧困層の人々を生産者や消費者、起業家などとしてビジネスのバリューチェーンに取り込む(=インクルーシブ/包括的)取り組みである。低所得者の生活自立と企業の事業拡大を両立させるインクルーシブビジネスについて、課題や参画団体などを紹介したい。

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2020.11.25
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インクルーシブビジネスとは

インクルーシブビジネスとは、開発途上国の貧困層の人々を、生産者や消費者、起業家などとしてビジネスのバリューチェーンに取り込む(=インクルーシブ/包括的)という取り組みである。インクルーシブビジネスでは、低所得者層が持続可能な生活を可能にすることと、企業が事業機会を拡大することの両立を目指す。

インクルーシブビジネスの提唱者

インクルーシブビジネスは、持続可能な開発を目指す企業約200社のCEO連合体である「WBCSD(World Business Council for Sustainable Development、持続可能な開発のための経済人会議)」で、2005年に提唱された。

世界の中で、所得がもっとも低いが人口では多数を占める層はベイス・オブ・ザ・ピラミッド(BOP)と呼ばれており、BOPは2007年時点で全世界で40億人いるとされている。

UNDP(国連開発計画)のWebサイトでは、インクルーシブビジネスを「開発途上国の貧困層の人々を消費者、生産者、被雇用者、起業家などとしてビジネスのバリューチェーンに取り込み(=インクルーシブ/包括的)、現地で雇用や商品・サービスを生み出すことで、貧困層の人々の選択肢の拡大と企業の事業機会の拡大を同時に実現するビジネス」と定義している。

インクルーシブビジネスの課題

インクルーシブビジネスには次の3つの課題があるとされ、これらの課題に対応することが成功の鍵となる。

1、投資と収益との関係

インクルーシブビジネスは地域社会への投資であり、収益などで結果が出るまでには時間がかかる。そのため、短期間で収益性が上がらず組織内部で投資に対する批判が高まることや、短期で撤退して大きな損失を抱える可能性もある。そのため、インクルーシブビジネスを始めるにあたっては、収益性とソーシャルインパクトの双方から長期的な視点を持って目標を設定することが大切なのである。

2、現地のインフラ

インクルーシブビジネスが主な対象とする開発途上国の貧困エリアは、事業を展開する上で最低限必要な上下水道や住宅、道路などのインフラすら整っていないことも多い。本来は政府が提供すべきインフラがないために、事業を始めるのが難しかったり、費用が上乗せされるケースも考えられる。

3、地域社会との信頼関係の構築

インクルーシブビジネスを成功させるためには、地域住民や地元企業などと信頼関係を築くことが必要不可欠である。貧困エリアの住人には海外の多国籍企業に不快感を持っている人もいるため、信頼関係の構築には時間がかかることがある。また、連携する地元企業やNPOが本当に信頼に値するか見極める必要もある。

インクルーシブビジネスの参画団体

インクルーシブビジネスは、いくつかの団体が推進している。代表的な団体としては、国連が2008年に開始したイニシアチブ、BCtA(Business Call to Action)が挙げられる。BCtAは、国連の掲げるミレニアム開発目標の実現に向けてグローバル企業らによるインクルーシブビジネスモデルの開発を支援しており、100を超える企業が参画している。

また、UNDPはが展開するイニシアチブであるGIM(The Growing Inclusive Markets)では、40ヵ国・110以上におよぶインクルーシブビジネスの事例研究をまとめた「Case Studies Bank」や、世界1,100ヵ所以上で展開されるインクルーシブビジネスモデルをまとめたデータベースなどを提供している。

※掲載している情報は、2020年11月25日時点のものです。

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