オバマ元大統領が提唱した「オープンガバメント」とは、「開かれた政府」の意味である。国民の知る権利を重視して情報の透明性を高め、官民連携を目指すものだ。日本の自治体でもオープンガバメントへの取り組みが始まっている。
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オープンガバメントとは、「開かれた政府」を意味している。国民が政治や行政に参加しやすくなるシステムの構築が目的だ。情報公開の透明性、国民参加、官民協働が鍵となっている。
日本国内におけるオープンガバメント取り組みの流れを見てみよう。とくにインターネットの活用に重点を置き、情報共有の重要性を示している。
日本では2011年5月、内閣のIT戦略本部が「新たな情報通信技術戦略」内で、オープンガバメントの確立を示した。2013年までに二次利用が可能な行政情報を、インターネットで閲覧できる目標を設定したのだ。
各自治体では「オープンガバメント推進協議会」が中心となり、活動を推し進めている。企業・大学・行政が連携し、ビッグデータ・オープンデータを活用する方向性だ。インターネットでの安全な情報公開が重視され、統計情報、測定情報、防災情報などが市民に届きやすくなった。
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オープンガバメントには、メリット・デメリットがある。国民・行政のそれぞれの観点で見ると、どのような違いが現れるのだろうか。
まずは、国民の立場でのメリット・デメリットを挙げてみよう。
・行政との情報共有速度が上がる
・新たなシステムへの順応が難しい層の発生
インターネットを活用するオープンガバメントでは、行政が発信する情報を国民が素早く共通できることが大きなメリットだ。例としては、災害時の公的情報を24時間キャッチでき、安全確保につなげられるというものがある。
対してデメリットは、新しいシステムを導入したことにより、順応できない層が発生する可能性だ。とくにインターネットに不慣れな高齢者やデジタルに疎い人は、不満を抱くかもしれない。
次に行政視点でメリット・デメリットを考える。
・コストの削減に繋げられる
・データ管理に対する厳重な体制の確立、運用が必須
オープンガバメントにより行政が効率化し、問題の解決までの速度や質の上昇が期待される。コストの削減にも繋げられる可能性が高く、大きなメリットだと言えるだろう。
一方、オープンガバメントでは、情報管理が最重要だ。透明性のある情報公開を目指すとはいえ、個人情報などのデリケートなものは、厳重な管理が必要となる。管理体制を確立し、運用する重責はデメリットに入るだろう。
オープンガバメントに積極的に取り組む自治体について見ていこう。ここでは千葉市、鯖江市、東京都をピックアップする。
千葉市では、市民からの情報提供が簡易な「ちばレポ」を運用している。ホームページやスマートフォンアプリから手軽に情報がアップロードできるため、市民の情報提供が身近なものになっている。
「ちばレポ」を活用した取り組み
「ちばレポ」によって提供される情報は、道路の混雑や公共環境の損傷など身近なものが多い。提供情報は、ほぼリアルタイムで市民に可視化される。
千葉市の成果と今後の課題
情報をもとに対応部署のスピーディーな手配が可能なため、市民の生活環境向上に役立っている。一方、デジタルに不慣れな層が取り残されない情報共有方法が課題と言える。
鯖江市はIT分野に力を入れ、いち早くオープンガバメントに着手している。「データシティ鯖江」と名乗り、市民からの情報提供を問題解決に活用する方針だ。
「データシティ鯖江」のIT活用と取り組み
市民にとって身近な公式ホームページやSNSの活用で情報提供を募り、市からの発信を行っている。SNSがきっかけで町おこしが行われた事例や、高校生が行政に参加する事例につながった。
鯖江市の成果と今後の課題
鯖江市のオープンガバメントは、地域の活性化に成功している。SNSの活用で若い世代へのアピールが成功したことは大きな成果だ。今後の課題としては、現在はホームページを通すしかない情報提供方法の簡易化が考えられる。
東京都では「東京都オープンデータカタログサイト」を設置し、収集した膨大なデータの公開を行っている。また、区民から提案された事業の予算を、区民の投票によって決定するなどの官民協働型のコンテンツも多い。
東京都のビッグデータ活用の取り組み
ビッグデータをもとにした事業計画や都市整備が推し進められている。今後は複雑な交通網をアプリで一括手配、電子マネー利用の拡大化といった大型コンテンツも視野に入れられている。課題としては情報公開の透明性の更なるアップデートだろう。
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