パンデミックで顕在化した精神的な不安「アイソレーション・エンヴィー」 その問題点と対処法とは

アイソレーション・エンヴィーとはなにを意味する言葉なのか。新型コロナウィルスのパンデミックが引き起こした、世界レベルの変化のなかで生まれた新しいワードをひもとく。その意味はもちろんのこと、どのような背景で誕生したのか。そして、それにどう対応すればいいかも考察する。

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2020.11.30
SOCIETY
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「アイソレーション・エンヴィ―」とはなにか

アイソレーション・エンヴィー(isolation envy)とは、どんな意味の言葉なのだろうか。まず、英単語でアイソレーションは、隔離や分離、孤立を意味し、エンヴィーは妬み、うらやみを指す。

それをつなぎ合わせ、新型コロナウィルスのパンデミックによるロックダウンなどによって引き起こされた精神的な不安を指す言葉として生まれた。

類似の言葉に、ロックダウン・ジェラシー(Lockdown jealousy)がある。

SNSなどを介して見聞きした、著名人や友人の充実した日常や幸せそうな姿を、冴えない自分と比較して、羨ましく思ったり、妬むことを指している。

なぜ「アイソレーション・エンヴィ―」は生まれたのか

地球規模で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し続けるなか、国内では「三密」や「コロナ禍」といった言葉が飛び出した。世界に目を向けると、「ソーシャル・ディスタンス」「New Normal」といった数々の新しい言葉が頻繁に使われるようになった。

アイソレーション・エンヴィ―も、コロナ禍で生まれた新語の一つ。これまでの慌ただしい日常では、見る機会も少なく、見てもあまり気に留めなかった他人の日常。それが、自粛で外出が制限されるなかで、急にクローズアップされた。

そのなかで、いままでは取り組めなかった凝った料理をつくったり、おしゃれなインテリアを紹介する人もいただろう。または、パートナーや家族と触れ合い、充実したときを過ごす姿をSNSにアップした人も多かった。

Stay Home期間などに、いわゆる「おうち時間」を充実して過ごしているように見える友達や知人と比べ、自分の私生活はあまりにふがいなく、パッとしない…。見比べるほどに、より孤独感を深めて妬みやうらやみも増してしまうという負のサイクルに悩んだ人もいたようだ。

アイソレーション・エンヴィ―の問題点と対処法とは?

誰かをうらやむことは、ときに前向きな原動力につながることもある。しかし、度が過ぎると自分を苦しめる。そこが最大の問題点だろう。

「アイソレーション・エンヴィ―」では、他者がSNS上で発する「すてきな日常」「かっこいい生活」に対して、自分も実際に送って発信しなければ…とプレッシャーをかけてしまうケースが多いという。

また、SNSにアップしないまでも、誰かに対する嫉妬が深まれば深まるほど、自身はダメな人間だと思ってしまい、さらに落ち込んでしまうことも考えられる。それが有名人などではなく、身近な友人や知人だとなおさらだ。

そもそも「嫉妬」という感情は醜く、みっともないととらえられがち。「妬み」や「羨ましさ」を感じたとき、とっさに抑え込んだり、観て見ぬふりをしてしまう人は少なくないだろう。

イギリスのウェブメディア「metor.co.uk」で、臨床心理士のロベルタ・ハブ博士は、2020年を「羨望の時代」だと語る。そして、まず自分が他者に対して嫉妬していることを認めることから始めることによって、嫉妬から解放されるとも述べている(※)。

「アイソレーション・エンヴィ―」とうまく付き合う処方せん

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Photo by Allef Vinicius on Unsplash

では、つらく苦しい「アイソレーション・エンヴィ―」から抜け出すためにはどうすればいいのか。すぐにでも取り入れやすい、実践的な対処法をいくつ記したいと思う。

1つ目は、誰かと自分を比べる必要はないと考える。

人はそれぞれ、顔かたちや生い立ちが違うように、誰一人として同じ生活を送っていない。自分は誰にも似ていない、特別な存在なのだと視点を変えてみてはどうだろう。

2つ目は、手放すことを覚える。

「手放す」とは、なにか不要な物を手放すほかに、不要な考え方(ネガティブで自分を傷つけるようなもの)、不要な関係性も含まれる。直接な関係性が希薄になったいまこそ、わずらわしいと感じていたモノやコトから距離を置く好機かもしれない。 

3つ目は、価値観が近い友達との時間を持つようにする。

羨望の相手となっている友人との時間を持つことは、苦痛を増大しかねない。しかし、本当に心を許し合える友人なら、悩みを打ち明けて共有し、共感してもらえるはず。友達の存在の有難さに気づき、自分が孤独でないと実感できるだろう。

4つ目は、些細な喜びを見つける。

これまで慌ただしく過ごしてきたときには、気づけなかったことに目が向くようになった。だからこそ、嫉妬も芽生えるのだが、その繊細な心を喜びを見つけることに使ってみよう。

たとえば、「今日はランチがおいしかった」とか、「たまたま帰りがけに美しい夕焼けを見れてよかった」など。驚くほど、日常はすばらしいサプライズに溢れている。 

5つ目は、自分に感謝する。

長引くコロナ禍のなか、いまここにいることそのものが奇跡なものかもしれない。自分と周りの人たちのありがたみを想うと、自然に感謝の気持ちが湧いてくるだろう。

焦らず一歩ずつ、心を軽くしていこう

上記のすべてを一度に実践しなければ、と肩に力を入れる必要はない。

自分が取り入れやすそうなものを、まずは1つか2つでも生活に取り入れてみてはいかがだろうか。それで少し気分がよくなったり、心が軽くなったと感じられたら、さらにもう1つか2つ、生活に取り入れてみる。

そうしていくうちに、誰かをうらやんでいた意識が薄らいでいくかもしれない。

「〇〇さんのようになりたい」と誰かと比べることが、成長につながることもある。しかし、心が弱っているときは、誰かと比べてがんばらなくてもいいタイミング。

“つねに成功者であり続けなければならない”という自分への重圧から、解き放たれるときが、いまなのかもしれない。

※掲載している情報は、2020年11月30日時点のものです。

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