自然環境を活用する「グリーンインフラ」とは? “いま”推進する意味や取り組み事例

グリーンインフラとは、自然環境が持つ多様な機能をインフラ整備に活用していく考え方である。近年、持続可能な社会や経済に寄与するものとして注目されており、国土交通省が発表した「国土形成計画」では、グリーンインフラが推進されている。グリーンインフラの意味や、各国の実例を紹介する。

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2020.10.30
SOCIETY
学び

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グリーンインフラとは? 用語の意味や目指すもの

「グリーンインフラ」とは、自然が持つ多様な機能を、インフラ整備や土地利用に活用していく考え方。グリーンとは単に「植物」という意味だけでなく、農地や河川、樹林地、公園などの自然環境全般を指す。

それらを活かした社会資本整備や土地利用を通して、国や地域が抱える社会課題の解決を目指すグリーンインフラ。近年、持続可能な社会や経済の発展に寄与するものとして世界で注目されている。

“グリーンインフラ”と“グレーインフラ”

グリーンインフラとは、グリーンインフラストラクチャー(Green Infrastructure)の略で、アメリカで発案された社会資本整備手法だ。

従来型の社会基盤であるコンクリートの人工構造物「グレーインフラストラクチャー」の対義語として位置付けられる。しかし、グリーンインフラとグレーインフラは決して対立する概念ではなく、双方の特性を組み合わせていくことが必要だと考えられている。

日本政府が掲げるグリーンインフラ

日本においては国土交通省などが中心となって、グリーンインフラへの取り組みを推進してきた。2015年閣議決定された「国土形成計画」(※1)では、社会課題への対応策としてグリーンインフラを掲げることについて次のように明記している。

「社会資本整備や土地利用などのハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制など)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラの取り組みを推進する」

また、多くの社会的課題を解決する可能性を秘めているグリーンインフラは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」と親和性が高い。行政だけでなく企業もグリーンインフラを採り入れることで、SDGsの目標達成に寄与すると期待されているのだ。

グリーンインフラが推進される背景

波が打ち寄せる海辺

Photo by Rod Long on Unsplash

グリーンインフラが誕生した背景は、自然環境保全の動きだけでない。森林をはじめ、河川や農地、緑地、海岸などグリーンインフラの構成要素は幅広い。そうした場所の衰廃は、周辺環境や地域社会などにも影響を及ぼしていると言われる。

有効活用されていなかったグリーンインフラを整備することで、既存インフラの更新や人口減少など、各国が抱える社会的課題の解決が期待されているのだ。

日本においては、少子高齢化による土地需要の変化や、気候変動などに伴う災害リスクの増加、地域経済の停滞などのさまざまな課題への対応策として考えられている。グリーンインフラはいま、経済振興や防災・減災、環境保全の取り組みをつなぐ、世界共通のキーワードになりつつあると言える。

国内外のグリーンインフラの取り組み事例

グリーンインフラは、これまで欧米を中心に取り組みが進められている。具体的にどのような活動が行われているのか。国内外の事例を紹介する。

海外の事例

アメリカ・ニューヨークの空調都市公園ハイライン

放置され治安が悪化していた鉄道の廃線跡地が、高架橋の構造を活かした空中都市公園として開園された。ハイラインの整備に伴って線路沿いの不動産価値が上昇。緑化や治安の改善につながった事例だ。

スペイン・バルセロナの街路樹整備

夏季の気温上昇が課題だったバルセロナ。高温が原因で熱射病患者が多く発生していたことから、市内の街路樹・植生帯を整備した。これによって熱射病による医療費の削減だけでなく、外国人旅行客の増加にもつながった。

国内の事例

北海道・札幌の雨水浸透型花壇

札幌市は、雨水を有効活用するための取り組みとっして、厚別公園や円山動物園などに雨水浸透型花壇を設置。舗装された都市部では流れ出てしまう雨水を花壇に誘導し、一時的に貯めることでゆっくり地中へと浸透させ、植物や土壌の力による浄化機能の回復を図っている。また、街並みを彩る効果もある。

自然環境との調和を目指す「二子玉川ライズ」の再開発事業

東京・二子玉川駅の再開発によって誕生した二子玉川ライズは、駅から二子玉川公園へとつづく緑豊かな環境に、商業施設やオフィス、住宅が配されている。

周辺の自然と調和した街づくりを目指し、大規模な屋上緑化施設を含む「水と緑の公開空地」を整備。緑被率40%以上を確保しており、ヒートアイランドの緩和や生活者の心身の健康が向上したとされている。

滋賀・草津の公園整備からつながった自然環境の再生

草津川の付け替えに伴い、市街地から琵琶湖までの全長約7kmの河川跡地を公園として整備した事例。また、市民団体と協働して公園の管理やイベント活動を通じて、新たなコミュニティーやソーシャルキャピタルを形成している。

グリーンインフラがつくる豊かな未来に向けて

人々が集まる都市公園

Photo by Marco Lenti on Unsplash

自然環境と共存した持続可能な未来を形成していくグリーンインフラ。国土交通省はさらに、2020年に産官学による「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」(※2)を設立した。自治体や関係省庁、民間企業だけでなく個人も参加可能で、より共創が活発化していくと思われる。

自然環境を整えることが、社会的課題の解決を促し、豊かな暮らしとつながっていく。ポジティブな循環に向けて、私たち一人ひとりも、地域社会における活動にしっかりと目を向けていきたい。

※1https://www.mlit.go.jp/common/001119706.pdf
※2
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000015.html

※掲載している情報は、2020年10月30日時点のものです。

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