EARTH

専門団体に聞いた「RE100」のキホン 参加企業の取り組みに学ぶ、脱炭素社会への道筋とは

RE100とは、2050年までに再生可能エネルギー由来の電力100%での事業運営を目指す企業が参加する国際的な取り組みだ。世界中の大企業が続々と参加を表明しているが、まずは日本企業の参加状況や海外との違いを知ることからはじめよう。RE100の地域パートナーである日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)への取材をもとに、RE100の基本をわかりやすく解説していく。

2020.10.13

世界的な“脱炭素化”の流れ 再生可能エネルギーが大切な理由

そもそも再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力といった自然に由来するエネルギーと定義されている。化石燃料のように枯渇する心配がなく、半永久的に使えるため“再生可能”といわれる。再生可能エネルギーがサステナブルな社会にとって重要なことは、多くの読者も知っているだろう。

発電するときに二酸化炭素を出さないことが、再生可能エネルギーの大きなメリットのひとつだ。再生可能エネルギーのなかでもとくに世界的に導入が進む太陽光や風力は、自然のエネルギーを私たちが使いやすい電気に変換している。

このプロセスで燃料の燃焼がないため、地球上の二酸化炭素が増えることはない。クリーンな再生可能エネルギーへのシフトは“脱炭素化”と呼ばれている。

世界各国ではいま、脱炭素化へのシフトが活発化している。この背景にあるのは、地球温暖化に代表される気候変動(Climate Change)の深刻化とされてきた。

しかしここ数年、世界中で100年に1度といったレベルの異常気象が頻発。気候変動を超え、もはや気候危機(Climate Crisis)という認識が世界共通のものになっている。

名だたる海外企業が参加 社会のエネルギー転換を目指す「RE100」とは

RE100のロゴ

RE100(アールイー100)とは、“100% Renewable Electricity”を意味し、再生可能エネルギー由来の電力100%による事業運営を目指す国際的な取り組みだ。

電力の供給を受けている企業が集まり、脱炭素化のニーズを市場にうったえ、社会のエネルギー転換を促進することを狙いとしている。気候変動など環境分野に取り組む国際NGO・CDPのパートナーシップのもと、国際非営利組織・クライメイトグループ(The Climate Group)が主催している。

RE100への参加条件は、日本企業の場合は年間消費電力量が50GWh(ギガワットアワー)以上の大企業が対象となる。一般的な家庭で使われる1年間の消費電力量を約3,000kWhとすると、実に1万5,000世帯以上に相当する量だ。

ちなみに世界基準は100GWh以上が参加条件となっており、日本の再エネ導入と普及における環境整備の状況や、日本企業の技術力・資金力などグローバルな重要性を考慮して、ボーダーラインが低く設定されているという。

RE100に参加した企業は、遅くとも2050年までに再生可能エネルギー電力100%を達成しなければならない。また投資家や政策立案者など強い影響力をもつ者に対して、再生可能エネルギーのニーズを発信したり、RE100に参加するほかの企業と情報共有したりして、再生可能エネルギー普及を促進させることが求められる。

需要家が声をあげることの重要性

多くの電気を使う大規模な需要家が再生可能エネルギーの必要性を主張することは、電力会社や行政に向けた強いメッセージとなる。RE100が目指すのは、消費者である需要家が声をあげ、電力市場や投資家、政策立案者を再生可能エネルギー志向へと動かしていくこと。最終的に、経済そのものをクリーンなエネルギーで循環させることを目指している。

マーケット全体が変われば、めぐりめぐって参加企業自身のメリットにもなる。再生可能エネルギー由来の電気を調達する手段の増加や、エネルギー価格の低下につながるためだ。再生可能エネルギー化に取り組む企業として、顧客からも評価され他社との差別化も図れるだろう。

また参加企業の取引先が再生可能エネルギーにシフトすることで、RE100の参加企業増加や再エネのさらなる拡大と普及も期待できる。大規模需要家が声をあげることは、取引先や顧客のアクションを促すのだ。

日本のRE100への取り組みはどうなっている?

地面に設置されたソーラーパネル

参加企業は右肩上がり

日本の再生可能エネルギーの普及状況は、世界的にみて進んでいるとはいいにくい。再生可能エネルギーを調達するための手段が、日本にはまだ少ないといわれているのだ。

最近の事例でいえば、自社の屋根に設置した太陽光発電設備で発電した電気を利用する「自家消費」というスタイルが、これまでの電気代と同等以下で導入できる状況となり、広まりを見せている。

一方で屋根に置ける太陽光パネルには限りがあり、必要な電力を自家消費だけでは賄えないケースも多い。

今後は、送電線を通して購入する再生可能エネルギーもリーズナブルな価格にしていく必要があり、投資家や需要家自身が発電所に投資しやすい環境や、多くの企業が再生可能エネルギー電気を買いやすい契約のあり方などを整えていかなくてはならない。

一方で日本企業のRE100への参加状況は非常に好調だ。2020年10月1日現在で参加企業は40社で、なんと世界で3番目に多い。2017年、株式会社リコーが日本で初めてRE100に参加したことを皮切りに右肩上がりに増えている。日本の状況は、ここ数年で急成長していると国際的にも高く評価されている。

普及を牽引するパイオニアのリコー

リコーが日本企業として初めてRE100に参加したのは、2017年4月。

RE100の日本での参加窓口である日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局は「当時、日本企業のRE100参加は困難との空気が色濃くあったなか、もし、リコーのリーダシップがなかったとしたら、いま日本の参加企業はここまで増えていないと思います」と、トリガーとしてのリコーの存在感を振り返る。

リコーがRE100に参加するきっかけは、2015年のパリ協定だという。テロが警戒される状況下での開催だったCOP21に、リコーは公式スポンサーとして参加。外務省のテロ対策担当官の指導も仰ぎながら安全確保に努め、歴史的なターニングポイントとなったパリ協定の現場に立ち合った。

これがRE100参加のきっかけとなり、日本国内にも大きなインパクトをもたらした。
※掲載している情報は、2020年10月13日時点のものです。