トリプルボトムラインとは？　意味とSDGs・CSRとの関係をわかりやすく解説

トリプルボトムラインとは？

トリプルボトムラインとは、人々・地球・利益の３つに焦点を当てた、持続可能なビジネスパフォーマンスを測定するための会計フレームワークである。英語で「TBL（Triple bottom line）」という。

ボトムラインとは、企業の財務的評価である損益計算書の「最終損益」を意味する。この場合、以下の３つのボトムラインを含んでいるため、トリプルボトムラインと呼ばれている。

人

ビジネスに関係する人々に与える影響について。これには、CEOからサプライチェーン、農家や労働者まで、すべての人が含まれる。公正な給与を提供しているか？　ビジネスは社会に還元しているか？　企業は関わるすべての人への影響を考慮する必要があり、ここではその精度を測定する。

地球

ビジネスが地球に与える影響について。地球の未来を考えてビジネスを運営することは、もっとも倫理的な方法であるだけでなく長期的も大きな利益をもたらす可能性がある。2015年にSDGsが制定されてから、持続可能な企業イメージは消費者にとってますます重要になってきているからだ。

持続可能な方法で調達された原材料のみを使用しているか？　その商品は、地球環境にどのような影響を与えるのか？　ここでは、企業が持続可能な取り組みをどれだけ追求できているかを測定する。

利益

最後にそのビジネスが生み出している利益について。利益はすべてのビジネスにとって重要である。なぜなら利益を生み出すことができるからこそ、ビジネスに関わる人々、地球環境に還元できるからだ。利益は、企業やその株主だけでなく、コミュニティ全体に力を与えるのに役立つ。

トリプルボトムラインの３つの側面

トリプルボトムラインでは次の３つの側面で評価を行う。

環境的側面

環境に配慮した取り組みがおこなわれているか測る。CO２削減、廃棄物削減、温室効果ガスを排出していないかといった内容だ。

社会的側面

地域の社会や日本の社会に、より良い事業をおこなっているか、という視点で評価する。労働条件の悪いなかで従業員を雇用していないか、多様な働き方を認めているかといったことだ。

経済的側面

最後は、経済的な側面での評価だ。企業が持続可能なかたちを求めるためには、利益を上げることが欠かせない。そのための視点だ。

トリプルボトムラインの提唱者

1990年代半ば、シリアル起業家でVolansの共同創設者であるジョン・エルキントン氏がアメリカの企業における持続可能なパフォーマンスという新たな概念を測定しようとして、「トリプルボトムライン」というフレーズを生み出した。

SDGsとの関係は？

トリプルボトムラインが注目されるようになってきた背景に、SDGsがある。SDGsは2015年の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標のこと。貧困、ジェンギャーギャップ、気候変動など、世界が抱えるさまざまな課題を解決しようというものだ。これは、トリプルボトムラインにも共通する考えであると言える。

CSRとの関係は？

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、企業の社会的責任のことをいう。これは、環境に配慮したり社会に貢献したり、利益ばかりを追い求めるのではなく、社会的にも責任のある行動をとることだ。

そして企業のCSRの取り組みを評価するときに、トリプルボトムラインを評価のフレームワークとして利用することができる。CSRの取り組みをより具体的に示す指標として利用できるのだ。

CSRとトリプルボトムラインは意味が似ているが、CSRは社会的責任の概念や取り組みであるのに対して、トリプルボトムラインは環境的・社会的・経済的の側面で評価を行う考え方だ。

このようにトリプルボトムラインでは、会計ソフト上で生まれる数字の利益だけでなく、ビジネスが生み出す本質の豊かさに焦点を当てたパフォーマンスを測定している。

企業の社会的責任と持続可能な取り組みについての改善を考えているのなら、これは心に留めておくべき素晴らしい概念である。企業の長期的な成長を考慮し、ESG投資を考えている場合もトリプルボトムラインを使用することは有効だ。

また、顧客の心に語りかけるようなブランドをつくっていくことも可能だろう。

参照サイト
What Is the Triple Bottom Line?｜GoCardless
https://www.business.com/articles/triple-bottom-line-defined/