「ジェンダーフルイド」の意味とはなにか。また、セクシャルフルイディティやノンバイナリーとどう違うのか。言葉が生まれた経緯や、第三の性やXジェンダーなど、ジェンダーに関する気になるワードもあわせて解説する。
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ジェンダーフルイドとは、性別(Gender)と流動的な(Fluid)をかけ合わせた言葉で、直訳すると「流動的な性」の意味。
性自認(こころの性)を「男性」、または「女性」に固定せず、状況や心理状態で性の認識が流動的に行き来するありようを指す。LGBTQへの理解を深めるために知っておきたい言葉だ。
このような考え方の土台には、「セクシャルフルイド/フルイディティ」と呼ばれる認識がある。
これは、性自認や性的指向(好きになる性)は、周囲の環境や経験などによって変化していくという性質があるとするもので、けっして特別なことではない。
多感な時期に、恋愛対象が以前と異なったり、性認識が一時的にでも変化したことがある人はいないだろうか。それもまた、「セクシャルフルイド/フルイディティ」なのだ。
「ジェンダーフルイド」は、1980年代のアメリカで登場したとされる。現代フェミニズム思想を代表するひとりで、哲学者のジュディス・バトラーの存在によって広められたというのが有力な説だ。
というのも、バトラー自身が同性愛者を公言し「異性愛は人為的につくりだされたもの」と主張していたため。
ただし、ジェンダーフルイドという言葉が、本格的に注目されるようになったのは21世紀に入ってからのこと。今世紀に入ってから成人を迎えた、いわゆるミレニアル世代の多くがこの考えを受け入れている。
人気シンガーのマイリー・サイラスや、トップモデルのカーラ・デルヴィーニュをはじめ、自らを「ジェンダーフルイド」であると公言しているセレブリティは少なくない。
ジェンダーフルイドと混同しがちなワードに、ノンバイナリーが挙げられる。ノンバイナリー(non-binary)は、性自認や性表現(ふるまう性)に、既存の男女という性を明確にあてはめない、また、あてはまらないとする考え方。
男女という2つの性にあてはまらないジェンダーの総称である「第三の性(Third Gender)」に含まれる。
ちなみに、「第三の性」と同意の言葉に「Xジェンダー」があるが、これは日本独自の言葉で、海外では必ずしも一般的でないことを覚えておこう。
ノンバイナリーとジェンダーフルイドは、性に対して流動的にとらえる点で似ている部分もある。
ただし、先に述べたように、ノンバイナリーにはそもそも「男性」や「女性」といった伝統的な性の概念はあてはまらない。
一方、ジェンダーフルイドには、「男性」や「女性」といった性の意識は存在している。
そのうえで、性を流動的にとらえ、いずれかに固定せず、そのときどきによって性を自分が選ぶ意識が強いと考えるべきだろう。
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