ポストワークエコノミー(Post-Work Economy)とは、テクノロジーが人の仕事を代替していく社会を意味する。具体的に、ポストワークエコノミーを導入する企業も現れ始めている。ポストワークエコノミーで人の仕事がなくなったとき、何が起こるかを考えてみよう。
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ポストワークエコノミー(Post-Work Economy)とは、発達したテクノロジーが、ものすごいスピードで人がやっていた仕事を代替していく社会を意味する。自動運転やごみの自動回収、見積もり依頼の自動化などが該当する。
世界経済フォーラムでは、2020年には最大で500万件の雇用が機械に置き換えられるとしている。また、エコノミストや研究者のなかには、2035年までには現在の労働力の50%が機械になると予測する人もいる。
ポストワークエコノミーを実際に導入する企業は、すでに出始めている。具体的な事例を3つ紹介しよう。
Photo by Bryan Angelo on Unsplash
Amazonもポストワークエコノミーを推進する
Amazonでは、「Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)」と呼ばれるロボット倉庫を世界的に導入している。日本でも、川崎市と大阪府茨木市の倉庫に実装している。
一般的な倉庫では、人が倉庫内を移動して商品を集める。Amazon Roboticsでは、「ドライブ」と呼ばれる自動走行ロボットを使用して商品棚を動かし、人は定位置で作業する。棚から棚への移動をなくすことで、作業人員を大幅に削減できるメリットがある。
アイリスオーヤマでは、茨城県つくば市のつくば工場の無人化を進めている。つくば工場は延べ面積約11万平方メートルの大規模な工場で、主にLED照明を製造する。現在は50人ほどが勤務し、1つのラインにつき従業員1名だけが配置されている。
工場では基盤実装から商品梱包までをロボットが担当し、製品は自動搬送機で出荷場まで配送されるため、人による作業は一切発生しない。この工場では将来的に、完全無人化される可能性も高いという。
JR東日本では、IBMのAI「IBM Watson(IBM・ワトソン)」を用いて、コールセンターの効率化を進めている。IBM Watsonは、アメリカのコンピューター関連企業であるIBMが開発した質疑応答AIで、人間では取り扱えない膨大な情報を活用してデータを学習し、回答精度を高めていく。
一日あたり数千件〜数万件の問い合わせの電話があるというJR東日本では、IBM Watsonを導入して回答を効率化した。オペレーターの応答時間を30%削減しただけでなく、取り扱える電話の本数を20%増やしたという。
これまで人だけがやっていた仕事をAIやロボットがやるようになると、当然ながら人間の仕事が減ることになる。人の雇用が奪われる恐れもあるが、一方でこれまで人がやっていた単純作業をAIや機械にまかせ、人がよりクリエイティブな仕事に従事できるようになると考えることもできる。
これからポストワークエコノミーと深く関わると言われる制度が「ベーシックインカム」だ。ベーシックインカムは、政府が国民に対して生活する上での最低金額を給付するというもので、フィンランドやケニアなどで運用実験が行われている。
ポストワークエコノミーで単純作業を減らし、人はベーシックインカムを受けながら、より高度で専門的な分野で仕事をする。慈善活動や創作活動がより行いやすくなる可能性もある。
ポストワークエコノミーが、人々にとっていい時代になるのかは、まだわかっていない。産業革命による機械の導入は、私たちの生活を便利にしたが、環境破壊を引き起こした。ポストワークエコノミーで自分の暮らしはどう変わるのか、自分に何ができるのか考えてみよう。
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