いまやプラスチックは私たちの日常生活に欠かせないものとなっている。しかし、環境意識への高まりからプラスチックの使用を抑制する動きも出てきた。この記事では消費者として私たちが知っておきたいプラスチックの種類とリサイクルの可否を解説する。
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私たちの身の回りには多くのプラスチックが使われている
プラスチックが使われているシーンは実にさまざま。身の回りのものだけでも肉や野菜のトレー、買い物袋、ペットボトル、雑貨や家電、服など枚挙に暇がない。プラスチックがまったく使われていないものを探すことの方が難しいだろう。
なかには燃えるごみよりもプラごみの方が多い人、資源ごみの回収日は限られているし分別に手間がかかるので、燃えるごみで出してしまっている、という人も少なくないかもしれない。
ところが、プラスチックの種類は多く、一度混ぜてしまうとリサイクル処理するのはとても困難だ。プラスチック容器包装リサイクル推進協議会の調査によると、家庭で使われたプラスチック製容器包装のうちリサイクルされているのは約46%。新たなプラスチックの材料になるのは、36%ほどである(※1)。
プラスチックは発熱量が高く、燃えると高温になるのでごみ発電には役立ちますが清掃工場の焼却炉を傷める原因にもなっている。
プラスチックは元々、可塑性という意味の英語plasticityに由来している。可塑性とは、形を自由に変形でき、力を取り除いた後のその状態が残る性質のこと。
私たちが日常生活で使っているプラスチック製の皿やコップなどは、熱を加えると粘土のように自在に曲げられるプラスチックの性質を上手に利用しているのだ。
※1 http://www.cjc.or.jp/j-school/c/c-1-5.html
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分類が難しいと感じるほどプラスチックはたくさんの種類がある
プラスチックにはたくさんの種類があり、成分によって性質が異なる。一般家庭で資源ごみとして回収できるプラスチックを見分ける簡単な方法のひとつは、商品の箱や袋のマークを確認することだ。
飲み物やしょうゆなどのリサイクルできるペットボトルにはPETマークが、それ以外のプラスチックでてきた容器や包装にはプラの識別マークがある。
プラスチックは大まかに、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2つに分けられる。熱可塑性樹脂とは熱を加えるとやわらかくなるプラスチックのこと。再び冷やすと固まり、比較的安価で加工しやすいのが特徴だ。
私たちの身の回りの多くのプラスチック製品は熱可塑性樹脂と考えてよいだろう。食品用フィルムやペットボトルは、この性質を利用してリサイクルされている。熱可塑性樹脂のプラスチックは耐熱温度100℃を基準に、さらに細かく分類できる(※2)。
一方、熱を加えると硬くなるのは熱硬化性樹脂だ。温度変化による影響を受けにくいのが特徴で、電機部品や飛行機の構造材料や化粧板、浴槽など、機械的強度や耐熱性が必要なプラスチック製品に向いている。
近年は環境意識への高まりなどから、リサイクルできる熱可塑性エストラマーや、微生物が分解できる生分解性プラスチック、植物などのバイオマスを利用するバイオマスプラスチックも登場している。
※2 https://seihin-sekkei.com/plastic-design/thermoplastics
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食品用の包装は私たちにとってもっとも身近なプラスチック
私たちの身の周りには、熱可塑性樹脂のプラスチックがたくさんある。種類をもう少し詳しく見ていこう。
もっとも身近なプラスチックのひとつ。ポリ袋、食品容器、ラップ、紙パックの内張などに使われている。リサイクルできる低密度ポリエチレンにはプラマークがついているので確認してみよう。
資源ごみの日に出したプラスチックごみは、リサイクル工場に運ばれてプラスチック製品や化学製品の原料として生まれ変わる。
不透明なプラスチックで、スーパーのレジ袋や、化粧品やシャンプーなどの容器、バケツや洗面器、灯油用ポリタンクなどに使われている。衝撃や薬剤に強いのが特徴だ。一般家庭で分別してリサイクルするのはめずらしいかもしれない。
荷造りひもや、野菜、果物の袋、フィルムに多く使われるプラスチック。ペットボトル飲料のキャップの多くは、ポリプロピレンでつくられていてリサイクルも進んでいる。
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