「コレクティブハウス」とは、いま注目されているコミュニティを重視した集合住宅のかたちだ。多世代がともに暮らすことで、お互いに必要な知識や知恵をシェアしたり助け合い、新しい形の大きな温かい家族を生み出している。
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コレクティブハウスとは、高齢者や小さなこどもがいる共働き夫婦など多世代がともに暮らすなかで助け合い、より豊かなコミュニティを築くことを目的につくられた都市型集合住宅のことである。
発祥は1970年代のスウェーデン。建築家のスヴェン・マルケリウスが、ノーベル平和賞受賞者のアルバ・ライマル・ミュルダールとともに1925年〜1935年に計画した居住プロジェクトがはじまりだ。高齢化が進む昨今、その生活様式が注目され今世界中に広がってきている。
家賃を安くすることが目的のシェアハウスとは違い、各部屋にお風呂やキッチン、トイレなどそれぞれ個別に確保されており、代わりに食事や育児などを協力し合う共用空間を設けている。
コレクティブハウスの最大のメリットは、多世代が同居することによって生まれる豊かな助け合いのコミュニティだろう。
例えば子育て世代は高齢者が同居することで、人生の大先輩にアドバイスを受けることができる。高齢者は若い世代と同居することで、体調が悪いときや手伝いが必要なときに気軽に声をかけられる。
多くの家族と同居することで、子どもたちは家族を超えたたくさんの兄弟たちとともにさまざまな刺激を受けながら成長することができる。学生の一人暮らしなどの単身者の入居者は、周りに頼れる大人たちがいることで安心した生活が遅れる。
また近年核家族化が進むなか、コレクティブハウスに住むことによって「大家族」というコミュニティも経験できる。コロナを通して人とのつながりと助け合いの大切さを実感した2020年は、コレクティブハウスはさらに注目されそうだ。
多くのメリットを紹介したが、もちろんデメリットもある。コレクティブハウスは現代版「大家族」とはいえ、もともと違う考えやバックグラウンドを持った人々の集まりだ。
だからこそ刺激しあえるコミュニティになるのだが、それぞれの価値観の違いから縺れが生じる可能性がある。
それが原因で住民が入れ替わるというケースも起こる。コレクティブハウス生活は、住民同士の相性とコミュニケーションが鍵になってくるのだ。
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デンマークは日本より先に高齢化社会を迎え、その対策として多世代共生居住であるコレクティブハウスプロジェクトが多く立ち上がっている。
例えば、デンマークのオダー市にあるシニア向けコレクティブハウスでは助け合いのコミュニティや共同スペースの工夫だけでなく、住民同士の交流のきっかけになるようなある仕かけがある。
それぞれの住居前には小さな庭をつくり、その庭の世話をする住民とそこを通りかかった住民のと会話や交流を生み出すきっかけになっているのだ。また、緑とともに暮らす生活は心身ともにリラックスすることができる。(※1)
日本には、東京都荒川区に2000年からスタートした「コレクティブハウスかんかん森」(※2)がある。「日暮里コミュニティ」ビルの2、3階部分がコレクティブハウスで、4階から上は高齢者施設、1階は認証保育園だ。
かんかん森には0歳から80代までの大人とこどもたちが暮らしており、週に2~3回共同の食事の時間を設けている。そこが住民たちの大切な交流の場だ。
食材の購入、予算管理などは当番制にしてきちんと管理。また野菜や草花を一緒に育てたり、コンポストも運営している。
また住民たちが共有しているダイニングスペースは、一日中誰でも自由に使うことができる場所だ。Wi-Fiも完備されており、コワーキングスペースとして活用したり、ママ友同士の交流の場になったり、放課後はこどもたちが一緒に遊んだり宿題をする。夜は大人の時間、お酒を飲みながらの語らいの場として利用されているという。(※3)
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ときには価値観の違いなどで、気持ちのすれ違いもあるかもしれない。しかしその違いに触れ、新しい価値観に出会えることもコレクティブハウスの魅力で、共同生活をおくる醍醐味なのではないだろうか。
※1 ユルレポ海外
http://www.yurutsuna.jp/report_oversea/pg212.html
※2 コレクティブハウスかんかん森
https://chc.or.jp/chcproject/kankan.html
※3 かんかん森の暮らしとコモンスペース
https://www.collectivehouse.co.jp/kankanmori/life.html
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