
再春館製薬所が2026年10月22日、自然環境を回復・再生させることを専門に推進する新プロジェクト「ビヨンドSDGsリジェネレーション推進本部」を発足。サステナビリティの先にある「再生」を目指す。

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株式会社再春館製薬所(熊本県上益城郡益城町)は2026年10月22日、自然環境を回復・再生させることを専門に推進する「リジェネレーション(環境再生)」の新プロジェクト「ビヨンドSDGsリジェネレーション推進本部」を発足した。
美容業界において先駆けとなる本プロジェクトは、環境負荷を減らす従来の「サステナビリティ(維持)」の枠を超え、事業活動を通じて自然環境をより良い状態へ導く「リジェネレーション(再生)」を専門に推進する全社横断型の取り組みだ。
昨今の「ネイチャーポジティブ(自然再興)」で注目される、使用した水以上の量を地下水として還す「涵養(かんよう)」など、同社がすでに実績を重ねてきた施策に加え、領域を拡張する本格稼働により、さらに一歩踏み込んだ(土壌・水資源を含む)環境の再生を目指す。

2030年までの達成目標として掲げられた「SDGs」の期限が迫るなか、生物多様性の喪失や気候変動の限界が懸念される「2030年問題」にも直面する現在、企業の環境活動に求められているのは「マイナスを減らす」だけでなく、自然を回復させるパラダイムシフトだ。
同社が本社を構える熊本県においても「生物多様性くまもと戦略2030」が策定され、地域一体となった自然環境の保全が推進されている。加えて「ネイチャーポジティブ」という概念が国家戦略として位置づけられたことで、国内企業の動きはさらに加速しつつある。
代表的な施策のひとつが、雨水を地中にしみ込ませて帯水層に「還す」ことで地下水を守る「涵養」だ。再春館製薬所は、東京ドーム6個分に相当する29万平方メートルの7割を占める広大な緑地を介して、使用した水の1.6倍に相当する推定20万トンもの涵養を実践している。
また、漢方の製薬会社である同社が重視するのは「人間も自然の一部であり、生まれながらに持つ〝自己回復力(生命力)〟を助ける答えも、また自然界に存在する」という発想だ。この理念のもと、社内には40年以上前から「自然の力なくして、私たちは存在しない」という考え方が通底しており、「サステナビリティ」などの言葉が誕生する前から「自然の恩恵を享受し、感謝の形として返す」活動を長年行ってきた。
そのため、直面する環境危機を前にして「恩返し」という発想の枠を超え、「受け取った以上に豊かにして還す=環境再生・回復(リジェネレーション)」へといち早く舵を切ることは、同社にとってある意味必然的な流れといえる。
世界的な潮流として環境再生の概念を企業戦略の中核に据える動きが加速するなか、「リジェネレーション」は国内美容業界において未だ先例の少ない領域だ。この状況下で、同社はいち早く本格稼働の体制を敷き、業界の先駆けとして自然再生のモデル構築に挑む。
「リジェネレーション」とは、マイナスをゼロにする防御の姿勢(従来の「サステナビリティ」)から、「人の手が介在することで地球の〝自己回復力〟を向上させ、元よりも豊かな状態へ再生する」能動的な姿勢への転換を指す。
同社が見据えるのは、原料調達から製造、顧客の手元に届き使い終えるまでの企業活動全体を貫く指針。特定の部署に限定される「会社としての取り組み」や「ものづくり」といった自社完結の枠組みを超え、製品を使うことが地球再生へとつながる新たな関係づくりに貢献する『参加型(共創)』の環境再生モデルの確立を進める。

活動の第一歩となるのが、長崎県雲仙で在来種野菜の自家採種を40年以上にわたり続ける農業界の第一人者・岩﨑政利氏への活動支援だ。
無農薬・無化学肥料で育てられる岩﨑氏の野菜は、在来種特有の強靭な生命力で地中深くに根を張り、光合成で吸収した炭素を土中に留める役割を果たす。微生物を活性化させ、さらに深く根を張る植物がより多くの温室効果ガス(CO2)を引き込む——この「炭素の好循環」は、地球環境再生の最大のカギとして世界的な注目を集める要素のひとつだ。
環境再生型農業の本場アメリカで概念が定着する前から、単身でこの「リジェネラティブ農業」を実践し続けてきた岩﨑氏の先見性は高く評価されている。その土地の風土を記憶する「種(たね)」でその「種(しゅ)」を次世代へつなぐ同氏の活動は、漢方理念でとらえる「種」の強靭な生命力の追求と、原料採用を通じて希少な在来種の国内栽培を支援して「種」を守るという再春館製薬所のものづくりの姿勢との共通項を備えている。
1950年生まれ、長崎県雲仙市で農業に従事。40年以上前から、無農薬・無化学肥料で在来種・伝統野菜の種を自ら採り、野菜を育て守り続ける農業界の第一人者として、その高い評価から「生きる伝説(レジェンド)」という異名を持つ。
2022年に黄綬褒章を受章し、昨今は大阪・関西万博の「EARTH MART」パビリオンにおける作品展示でも話題を集めた。
具体的な施策として、今後発売予定の新スキンケアブランドの売上の一部を「雲仙市伝統野菜を守り育む会」に寄付することで岩﨑氏の活動を支援する。これを皮切りに、プロジェクトの取り組みを本格化させる。
また支援開始に先駆け、2026年10月24日(土)に開催された大感謝祭イベント「再春館製薬所 ファンフェスタ」では、岩﨑氏と野菜バイヤーの小堀夏佳氏を迎えたミニセミナー「今日から始める、地球の自己回復力を上げる小さな一歩」を実施。カフェテリアでは岩﨑氏の野菜を使った特別メニューを提供し、来場者がリジェネレーションの概念を「五感」を通じて体感できる機会を創出した。
今後は国内での先進的なリジェネレーション事例の視察や、メディアや各界のオピニオンリーダーといった共感層との連携を通じ、独自のリジェネレーションの輪を社会全体へと広げる活動を展開していく。将来的には「リジェネラティブな農法で得られた原料の、自社製品への応用」を果たし、「製品そのものが、直接的な地球再生につながる設計」という新たなステージを目指す。
「ビヨンドSDGsリジェネレーション推進本部」代表の早川陽子氏は次のようにコメントしている。
「今後発売予定の新製品には、その設計上『結果的に』環境再生へ繋がっている原料も含まれます。しかし今後はさらに意図的な設計を推し進め、『使うこと自体が直接的な地球再生につながる』側面を強化し、リジェネレーションの循環を社会全体へ広げていくことが私たちの目標です」
プロジェクト発足と同時にnoteでの発信もスタートしている:
https://note.com/saishunkan/n/n6f2e74015af2
水資源マネジメント
熊本地域は、天然のミネラルを豊富に含んだ清冽な伏流水に恵まれ、国内屈指の水質を誇る。敷地の7割を緑地が占める本社「再春館ヒルトップ」では、雨水を地中へ浸透させ帯水層に供給する「涵養」の継続的な実践が行われており、製品に使用する水量の1.6倍に相当する推定20万トンもの水を地下水として返還している。
「不知火菊」など絶滅危惧種や在来種の保全活動
熊本県不知火地方にのみ受け継がれ、その地でしか育たない特性を持つ在来種「不知火菊」は、同社が世界で初めて化粧品原料としての応用を実現した植物。出合った当時は学名も持たなかったこの希少な植物の安定確保に向け、現在は熊本県宇城市と連携した耕作放棄地での栽培を推進している。あわせて絶滅危惧種「スイゼンジノリ」の加工残渣(廃棄部位)を活用した国内栽培支援など、「種の保全」活動を継続的に展開している。
「自給率100%」の太陽光発電
2001年に導入を開始した太陽光発電システムは、2014年の時点で本社敷地内の年間使用電力量に相当する「電力自給率100%」を達成。現在稼働する約3万枚のパネルによるクリーンエネルギーの創出に加え、東京ドーム6個分の緑地に繁茂する草木がCO2を吸収する環境を整備し、ゼロエミッションを実現している。
使った分を返す、という考え方は、サステナビリティの基本的な発想として広く共有されてきた。再春館製薬所が40年以上続けてきた涵養も、本来はその枠にある取り組みだ。
その先に置かれたのが「受け取った以上に豊かにして還す」という言葉だ。水の1.6倍という数字がすでにそれを示しているが、今回は土壌、そして種にまで範囲が広がる。雲仙で40年種を採り続けてきた一人の農家への支援から始まるというスケール感が、この転換の現在地を物語っている。
1932年熊本で創業の同社は、「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」をはじめ、漢方理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売を行う「漢方の製薬会社」。2032年の創業100周年に向け「ポジティブエイジカンパニー宣言」を発表している。
問い合わせ先/株式会社再春館製薬所
https://www.saishunkan.co.jp/
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