Photo by 兵庫県豊岡市
パタゴニア日本支社が2026年11月15日、第4回「リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス」をオンライン開催。兵庫県豊岡地域の経験から、水田が社会にもたらす多面的な価値をどう支えるかを考える。

ELEMINIST Press
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アウトドア企業のパタゴニア日本支社は、リジェネラティブ・オーガニック(RO)を指針に農業分野における取り組みを進めている。2026年11月15日(日)には「リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス 2026」を開催する。
第4回となる今回のテーマは「水田の公共的価値をどう捉え、どう社会で支えていくか」。生物多様性を入口として、兵庫県豊岡地域の経験から水田の公共的価値を環境再生型の視点で捉える。
水田が米を生産する場所であるだけでなく、水循環、防災・減災、景観、生物多様性など社会にもたらす多面的な機能や価値に目を向け、日本の水田農業と地域社会の未来を考える内容となる。
パタゴニア日本支社は、国内におけるリジェネラティブ・オーガニック農業を推進する取り組みの一環として、2023年から毎年「リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス」を開催してきた。
2023年:解決策としての農業をともに考える
2024年:国内の畑地システムにおける実践とこれからの発展に向けて
2025年:水田稲作システムと日本における可能性
第4回となる今回は、これまで探ってきた水田稲作システムの可能性から議論をさらに発展させ、日本の暮らしや地域社会を支えてきた水田がもたらす多面的な価値と、それを支えてきた農業者や地域社会の役割に注目する。その価値を社会のなかでどう認識し、未来へ引き継ぐための仕組みを考えていく。
気候変動や生物多様性の喪失、地域社会の人口減少や農業の担い手不足など、私たちは地球規模の変化から地域が抱える問題に至るまで、異なるスケールで複雑に絡み合う環境・社会課題に直面している。農業は食料を生産するだけでなく、農地の適切な管理を通じて水資源や土壌を保全し、地域の暮らしや文化、人と自然の関係を支える重要な営みだ。
とりわけ、日本を含むアジアモンスーン地域に広がる水田は、米を生産する場所であると同時に、水循環、防災・減災、景観、生物多様性など、社会にさまざまな機能と価値をもたらしている。こうした水田は、長年にわたり農業者や地域社会によって支えられてきた。
一方で、こうした価値は社会全体で十分に認識・共有されているとは言えない。またその維持や保全・再生に必要な責任や負担も、広く分かち合われてきたとは言い難い状況にある。これらの機能や価値が失われれば、生態系のレジリエンスの低下や地域社会の脆弱化を通じて、私たちの暮らしにも大きな影響が及ぶ可能性がある。
だからこそ今、水田が持つ公共的価値と、それを支えてきた農業者や地域社会の役割を捉え、その価値を社会でどのように支え、未来へ引き継ぐことができるのか、議論の出発点をつくることが重要だとしている。
今回、具体的な実践として焦点を当てるのは兵庫県豊岡地域。同地域では、コウノトリの野生復帰を契機に、「コウノトリ育む農法」などを通じて農業、自然環境、地域経済の好循環を生み出す取り組みが進められてきた。
本カンファレンスでは、生物多様性を入口に水田が持つ公共的価値を捉え直す。行政、農業協同組合、農業者、研究者など多様な立場から豊岡地域の経験をひもとき、水田と生きものの関係に目を向けながら、水田が持つ公共的価値が地域のなかでどのように形づくられ、維持されてきたのかを考える。
そのうえで、生物多様性の保全にとどまらず、水源涵養や土壌保全、防災・減災、景観、地域文化など、水田が社会にもたらす多面的な機能や価値への理解を深める。他の地域にもつながる示唆を探りながら、こうした価値を社会がどのように認識・評価し、支えていくことができるのかを問いかける。
名称:リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス 2026「水田の公共的価値をどう捉え、どう社会で支えていくか」
日時:2026年11月15日(日)13:00〜16:30
参加費:無料(要申込)
参加方法:オンライン視聴 ※申し込み者を対象に期間限定のアーカイブ配信を予定
主催:パタゴニア日本支社/協力:兵庫県豊岡市
オープニング:パタゴニア日本支社 近藤勝宏、木村純平
第1部:兵庫県豊岡地域の実践に映る水田の公共的価値
・「コウノトリと共に生きるまちづくり」兵庫県豊岡市 門間雄司
・「コウノトリ育む農法が、地域農業を支える」たじま農業協同組合 山下正明
・「コウノトリ育む農法を世界基準の農業へ-RO認証から考える、地域農業の未来-」坪口農事未来研究所 平峰拓郎
第2部:水田の公共的価値をひもとく
・「生きものを育む水田環境とは何か-豊岡盆地のビオトープ・マルチトープから考える-」倉敷芸術科学大学/兵庫県立大学 渡辺黎也
・「見えない生物多様性を可視化する-豊岡地域のこれまでと未来の生態系ピラミッド」シンク・ネイチャー 久保田康裕
・「水田の公共的価値をどう支えるか-農業環境公共財という視点-」東洋大学 竹田麻里
第3部:地域に根ざした水田の公共的価値を社会で支えるために
・上記登壇者ほか、農林水産省 神林悠介
パタゴニアは「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションステートメントに掲げている。1996年には製品に使用するコットンをすべてオーガニックコットンに切り替え、2016年には責任ある方法で調達された食のコレクション「パタゴニア プロビジョンズ」を日本で開始した。
2017年には「リジェネラティブ・オーガニック認証(Regenerative Organic Certified;ROC)」の制定と、それを監督する組織リジェネラティブ・オーガニック・アライアンスの創設をサポート。現在、世界では約900万haの農地、540を超える農場・牧場、5万5千人を超える小規模農業者が認証を取得している。
パタゴニア日本支社はその創設組織の日本法人として、2021年より国内におけるリジェネラティブ・オーガニック農業の発展に向け、生産者や研究者、地域社会との協働を進めてきた。2025年には福島県郡山市の仁井田本家の生産法人が国内初となるRO認証を取得し、日本初のRO認証製品となる日本酒が誕生している。
水をたたえた田んぼは、下流の洪水を和らげ、地下水を涵養し、生きものを育み、景観をつくる。そのどれも、米の価格には含まれていない。
価値が認識されず、維持の負担も分かち合われないまま、担い手だけが減っていく——カンファレンスが立てる問いは、農業政策の議論であると同時に、米を食べる側の問題でもある。「農業環境公共財」という視点が第2部に置かれていることからも、議論の射程がうかがえる。
本カンファレンスは、今年始動した、農業と私たちの暮らし、そして故郷である地球とのつながりを学ぶ「リジェネラティブ・オーガニック ラーニングシリーズ」の一環として開催される。
参考:リジェネラティブ・オーガニック 水田稲作|パタゴニア https://www.patagonia.jp/regenerative-organic-paddy-rice.html
問い合わせ先/パタゴニア日本支社
https://www.patagonia.jp/regenerative-organic/
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