コクヨが「We-Being Project」を始動 京都大学との共同研究から〝あいだ〟に宿る幸せを提唱

コクヨが、ウェルビーイングを個人の内面ではなく人と人・人と場の関係に見出す新たな幸福の指標「We-Being」を提唱し、社会実装に向けたプロジェクトを始動。京都大学・内田由紀子教授との共同研究をもとに展開する。

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2026.09.04
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「わたし」から「わたしたち」へ——幸せを捉え直す新しい指標

コクヨ株式会社は、ウェルビーイングを個人の内面ではなく人と人、人と場との関係、すなわち「あいだ」に見出す新たな幸福の指標「We-Being(ウィービーイング)」を提唱し、その社会実装に向けた「We-Being Project」を始動する。

専門家を招いた研究会、30人の実践者へのインタビューなど、社内外にひらかれた探求活動を展開。今後は世界15カ国での調査や、We-Beingの視点にもとづく空間・家具づくりへと広げていく。京都大学・内田由紀子教授との共同研究をもとにした取り組みだ。

気軽に相談できる同僚は平均2.0人——日本の職場に広がる孤独

これまでウェルビーイング指標の多くは、自己成長や自己実現といった個人を単位とする欧米の価値観をもとにつくられてきた。この価値観は個人の人生を豊かにしてきた一方で、個人主義的な価値観が行き過ぎた結果、社会のなかでつながりの希薄化が進んでいる。

内閣府の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査では約4割が「孤独感がある」と回答。コクヨと京都大学が2025年に行った9カ国調査でも、気軽に相談できる同僚の数は日本が平均2.0人と9カ国中最少で、「1人もいない」という回答も約20%に達するなど、日本の職場でも孤独や孤立が広がっていることが明らかになった。

家族や地域、企業といった、個人と社会のあいだに位置する共同体が失われていくなかで、人々の拠り所をどのように形づくっていけばよいのか。職場においては、リモートワークやサテライトオフィスの登場により働き方は柔軟になった一方、同じ場所に集い、時間や経験を共有する機会は減っている。一体感が薄れる、周囲に相談できる同僚がいないといった課題を抱える人は少なくない。

そこでコクヨが目を向けたのが、個人の内面だけでなく、人や場との「あいだ」に宿る幸せだ。「わたし(I)」だけでなく「わたしたち(We)」の目線で幸せを捉え直すこと。そこに、職場の孤独・孤立といった、これまでの価値観では解けなかった課題を解くヒントがあると考えている。We-Being Projectは、この新しい幸せのかたちをもうひとつの選択肢として社会に提案し、職場や教育空間、公共空間へ実装していく取り組みだ。

「We-Being」とは——3つの幸せで構成される概念

We-Beingは、Well-beingの「Well」を「We」に置き換えた言葉で、「〝あいだ〟に宿るウェルビーイング」という意味を込めている。「人や場への好奇心を通して調和し、その協調関係を支えに自律的に行動できる状態」と定義され、次の3つの幸せで構成される。

わかちあう幸せ

仲間の成長や達成を、わがごとのように感じられる幸せ。

なじむ幸せ

支え合う仲間や場があり、ここに居場所があると思える幸せ。

ひとなみの幸せ

「私もやれてる」という安心感から、今の自分をやさしく肯定できる幸せ。

コクヨは、めざす未来の社会像として「自律協働社会」を掲げている。一人ひとりが自分の意思で働き方や生き方を選び取りながら、他者とゆるやかに協力し合い、ともに価値を生み出していく——個人の自律と協働的なつながりが両立する社会だ。We-Beingは、その実現に向けた現在地を測り、実践につなげるための概念となる。

30VOICES——オードリー・タン氏ら30人が語る、これからの幸せ

We-Being Project

研究者や実業家、文化人など多彩な30人に、それぞれが考える幸せのかたちやWe-Beingを叶えるためのキーワードを聞くインタビュー企画。記事・動画として順次公開される。

第一弾で公開されるのは、オードリー・タン氏(台湾の初代デジタル担当大臣/サイバー無任所大使)、ドミニク・チェン氏(早稲田大学 文学学術院 教授)、永井玲衣氏(作家/対話実践者)、フーウェイ氏(大学院生/柔道選手)、野崎瓦氏(株式会社スマイルズ代表取締役社長 兼 CCO)、カーステン・ブラウン氏(ワークプレイス・ウェルビーイング研究者)、安斎勇樹氏(株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO)、三宅香帆氏(文芸評論家)、丸山ゴンザレス氏(ジャーナリスト/編集者)、上坂あゆ美氏(歌人/エッセイスト)、近藤博子氏(「気まぐれ八百屋だんだん」店主/一般社団法人「ともしびatだんだん」代表)。

We-Being Dialogue——専門家との鼎談を4テーマで実施

We-Being Dialogue

分野横断的な専門家や実務家との対話を通じて、We-Beingを実践するアプローチを探る研究会。2026年は4つのテーマで鼎談を実施し、レポート記事や音声コンテンツを順次公開する。第1回目には、安斎勇樹氏、馬場正尊氏(株式会社オープン・エー代表取締役/建築家/東北芸術工科大学教授)、柳澤田実氏(哲学者/関西学院大学神学部准教授)がゲストとして迎えられた。

2026年のテーマは以下の4つ。

1.職場に「私たち」という感覚をどう立ち上げるか?──オフィスにおける記憶・思い出・組織アイデンティティから探る
2.働く上で「仲間」って何だろう? これからの〝助け合える〟チームのあり方を考える
3.「幸せに働く」を支える、都市・地域のあり方を探る
4.AIエージェント・ロボティクス時代における、新しい職場づくり

各ダイアローグに出演するゲストを招いた振り返りコンテンツは、ポッドキャスト番組「「わたしたち」から働く幸せを考える〜We-Being Radio〜」にて音声配信される。

自律協働型AI「We-chan」と事例リサーチ

自律協働型AI「We-chan」

「We-chan(ウィー チャン)」は、プロジェクトに並走する自律協働型AIエージェント。We-Beingを構成する3つの価値観(わかちあう幸せ、なじむ幸せ、ひとなみの幸せ)が内部に共存し、自律協働的な思考を行う。知識を噛み砕いて解説し、日常の場面に例えながら、We-Beingをより自分ごととして理解するサポートを行う。プロジェクトのリサーチ結果を学習し、社会実装に向けて成長していく仕組みで、公式サイトで対話が可能だ。

また事例リサーチとして、We-Beingな要素を含む国内外の場・空間の調査や分析を行い、実践に向けたヒントをレポート記事としてまとめていく。

今後は、世界15カ国を対象にしたWe-Beingに関するグローバル調査や、We-Beingを体験できるイベントの開催などさまざまなリサーチおよび活動を予定しており、詳細は2026年秋にあらためて発表される(イベントは招待制での開催)。

「We-Beingを生産性の道具にせず、囲い込まない」——プロジェクトリーダーの言葉

コクヨ ヨコク研究所の田中康寛氏は、プロジェクトリーダーとして次のようにメッセージを寄せている。

「個人の成功や幸せを追い求めるだけでは、取りこぼしてしまう豊かさがあります。調査と対話を重ねるほど、その思いは強くなりました。私たちがめざすのは、周囲の人や集団とともに幸せを築いていく社会です。仲間の達成をわがごとのように分かち合い、居場所と呼べる場になじみ、その協調を支えに、一人ひとりが自律的に動き出す。We-Beingは、そんな人と場を社会に増やしていくための概念です。

だからこそ、コクヨはWe-Beingを生産性の道具にせず、囲い込みません。共感してくださる企業や組織、研究者や実践者のみなさんと協力しながら磨き、社会にひらいて広げていきます。実装の場は職場から、学び舎や公共空間へ。日本にとどまらず、アジアのウェルビーイングもひもといていきます。その先に見たいのは、頼れる誰かがいる拠り所と、騒がしさから少し離れられる逃げ場が、社会のあちこちにある風景です」

関係性のなかに幸せを見出す文化で、協調が崩れている

職場における幸せの捉え方は文化によって異なる。コクヨと京都大学が行った9カ国調査では、日本においてはチームワークや顧客からの感謝など、関係性のなかに幸せを見出しやすいことがわかった。また、過去の職場での思い出(特に仲間との記憶)を現在の活力にする人が多いのも特徴だ。

一方で、協調性の高い文化といわれながら、気軽に相談できる同僚の数は平均2.0人と9カ国中最少。「1人もいない」という人も約20%に達した。関係性が日本の幸せを高める一方で、実態として現状の職場における協調関係は崩れている。同社は、We-Beingがこの課題を解決し、幸せな職場を取り戻す方法のひとつになると考えている。

幸せを個人の内面の状態としてではなく、人と人のあいだに置く。測る対象を変えることで、これまで見えていなかった職場の課題が輪郭を持ちはじめる——そんな視点の転換を促すプロジェクトだ。

プロジェクト概要

We-Being Project

We-Being Projectに関する情報やコンテンツは、Webサイトや各種SNSで更新されていく。

プロジェクト公式サイト:https://we-being.net/
Instagram(@we_being_pj):https://www.instagram.com/we_being_pj/
Facebook(@We-Being):https://www.facebook.com/webeing.pj
YouTube(@We-Being):https://www.youtube.com/@We-Being
Spotify(@We-Being Radio):https://open.spotify.com/show/5VWxfXcHMUxOAekmZSoJBc

※参考:「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年実施)」(内閣府)

問い合わせ先/コクヨ株式会社
https://www.kokuyo.com

※掲載している情報は、2026年9月4日時点のものです。

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