違法労働はこびる「スウェットショップ」とは? コスト削減のしわ寄せが開発途上国に 

エシカル消費が叫ばれるなか、いまだ世界中でスウェットショップがなくならない。「非倫理的に労働力を搾取している職場」という意味のこの言葉、バングラデシュのラナプラザ崩壊事故のニュースで耳にした人も多いのでは。賢い消費者になるために、私たちにできることとは?

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2020.09.23
FASHION
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スウェットショップとは?

有刺鉄線の前で呆然と座っている海外の児童

Photo by Ben Richardson on Unsplash

スウェットショップとは、「違法な環境下で労働者を働かせる職場」という意味。開発途上国にあるアパレル工場やコットン畑、コーヒー農園などでは、しばしば児童労働やパワハラ・セクハラなどが横行している。

世界では5〜17歳の子どものうち、約1億5,000万人が生活のために働いている。(※1) 子どもは大人よりも安く雇えるし、労働ユニオンを立ち上げて雇い主を訴えるとは考えづらい。先進国の期待に応えて生産コストを抑えるには、欠かせない働き手なのだ。

自分の意思に反して強制的に働かされる彼らは、満足に教育も受けられないでいる。人身売買により農園に連れてこられる子もいる始末だ。字が読めず、小学生レベルの計算もできないまま大人になる彼らが貧困から逃げ出すのは、そう簡単なことではない。

劣悪な職場においては、女性の労働条件の悪さもなかなかだ。有給の育休や産休を取らせてもらえなかったり、家庭があるのに強制的に残業させられたりと、女性の権利が守られているとは言い難い。

それでも「家計の足しになるなら」だとか「他に働き口がないから」などの理由により、自ら勤めにくる女性があとを絶たない。とくに縫製工場は、農業と違って天候に左右されないため、安定した収入を求める人たちにとって大事な働き口となっている。

「ラナ・プラザ」の悲劇で、ファッション業界の問題点が浮き彫りに

バングラデシュの子どもたち

Photo by Adrien Taylor on Unsplash

なかでもアジア最貧国のバングラデシュは、国の総輸出額の約80%を衣料品・縫製品産業が支えている。(※2) かつて衣類は中国製が多かった。しかし著しい経済成長によって最低賃金がみるみる上がり、安価な生産が見込めなくなってしまった。

そこで先進国のファッションブランドは、こぞってバングラデシュに工場を建設。一般的な工場作業員の給料は中国の4分の1以下(※3)で、平均年齢は24歳と労働力が豊富な同国は、コストを抑えて生産するにはもってこいなのだ。

そのバングラデシュで2013年、痛ましい事故が起きた。複数の縫製工場や商店などが入っていた商業ビル「ラナ・プラザ」が、違法増築やミシンの振動などが原因で崩落。少なくとも死者1,132人、負傷者2,500人以上を出す大惨事となった。(※4)

事故が起きる前日には、ビルに亀裂が入っていることが確認されており、地元警察はビルへの立ち入りを禁止していたうえ、従業員たちも「安全のために休みたい」と申し出てていたが、納品日を守りたい工場側はこれを聞き入れずに縫製作業を強行。痛ましいこの崩壊事故は、人為的な要因が積み重なって発生したのだ。

このラナプラザの悲劇により、ファッション業界の裏側が、国内外に広く知れ渡ることとなる。バングラデシュの労働者たちは、いままで自分たちが働いていた環境が異常だったことに気づき、雇用主からの報復を覚悟でストライキを起こすようになった。

かくして政府は、縫製工場で働く人たちの最低賃金を徐々に上げていき、2010年には3000タカだった最低賃金が、2019年1月13日には8000タカまで引き上げられた。(※5)

労働者たちは安全で公正な労働環境を求めて、いまも戦い続けている。

消費者としてどう行動するか

手帳をつける消費者

Photo by Thought Catalog on Unsplash

エシカルじゃないものは買いたくない。それなら、まずは自分が賢い消費者になろう。たとえば、チョコレートやコーヒーを買うときは、フェアトレード認証のあるものを選ぶ。

一般的な商品より少し高いが、危険な農薬は一切使われていないので、安心してギルトフリーな買い物ができる。ファームで働く人たちを中毒死や皮膚病から守れるし、食べる人の体にもやさしいので、友達へのプレゼントとしても最適だ。

また買い物の前に情報収集するときは「なぜ?」を念頭におくこと。広告やSNSの投稿をすべて鵜呑みにするのはナンセンスだ。私たちの脳は、新しいものがほしくなるようにプログラムされている。そのため、企業側は広告やマーケティングに多額の資金を費やし、私たちの購買意欲を満たすためにあの手この手でアプローチしてくるのだ。

魅惑的な情報に流されずに、知的で倫理的なショッピングを楽しむためには、自ら必要な情報を取りにいくのが一番。買い物しないのは、人間にとってはただの苦痛だから、心から「喜んでお金を払いたい」と思えるモノやサービスを自分で見つけて、ショッピングを楽しむようにしたい。

※1 世界では5〜14歳の子どもの内、約1億5,000万人が生活のために働いているhttps://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html

※2 国の総輸出額の約80パーセントを衣料品・縫製品産業が支えている
https://www.hrw.org/ja/news/2015/04/22/269717

※3 一般的な工場作業員の給料は中国の4分の1以下
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/cbdf0cefc691ae25.html

※4 少なくとも死者1,132人、負傷者2,500人以上を出す大惨事となった
http://www.oit.org/global/topics/geip/WCMS_614394/lang--en/index.htm

※5 2010年には3000タカだった最低賃金が、2019年1月13日には8000タカまで引き上げられた
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/01/15b73d00f056be3f.html

※掲載している情報は、2020年9月23日時点のものです。

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