JALとANA、SAF共同レポート第2版を策定 2050年CO2排出実質ゼロへ向け社会全体で

JALとANAが2050年航空輸送のCO2排出実質ゼロに向けたSAF共同レポート第2版を策定。世界のSAF供給量が全航空燃料の0.6%に留まる中、供給能力を踏まえた「日本型モデル」の構築と社会全体での脱炭素コスト分担を呼びかける。

ELEMINIST Press

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2026.06.02

「認知」を超えた段階へ——JALとANAのSAF共同レポート第2版が示す航空脱炭素の現実

日本航空株式会社(JAL)と全日本空輸株式会社(ANA)は、2050年の航空輸送におけるCO2排出実質ゼロの実現に向け、持続可能な航空燃料(SAF)の現状と課題、そして社会全体での取り組みの必要性をまとめた共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて(第2版)」を策定した。2021年の初版発表から5年、新たなフェーズ「社会全体で進める脱炭素」へと歩みを進める。

2021年から5年——世界の動向は想定を上回るスピードで変化

2021年の初の共同レポート発表から5年、両社は国産SAFの社会実装に向けさまざまな取り組みを進めてきた。SAFの必要性に対する認知度は社会的にも高まっている。しかし、海外諸国の急進的な制度設計や世界的な原料獲得競争の激化など、世界の動向は両社の想定を上回るスピードで変化しており、航空脱炭素に向けた取り組みは新たな段階へと入っている。

SAFは「認知と啓発」の段階を超え、2026年現在では世界的な燃料生産量不足や従来の航空燃料の数倍に達する製造コストなど、具体的かつ極めて難しい課題と向き合い、解決策を模索する段階にある。SAFの確保はもはや一企業の環境対策の範疇を超え、島国である日本の国際交流と経済成長、そして地方・離島を結ぶ航空ネットワークを将来的にも維持するために不可欠な課題となっている。

レポートの主なポイント

①SAFの供給量は全航空燃料のわずか0.6%
2050年のCO2排出実質ゼロに向けてSAFの導入は最大の鍵だが、2025年時点で世界のSAF供給量は全航空燃料のわずか0.6%に留まる。今後5年間の具体的な増産計画や公的支援がなければ、目標達成が不可能、または膨大な社会的コストが発生すると指摘されている。

②航空ネットワークは年間約17兆円規模の経済波及効果
日本の航空輸送は年間約17兆円規模の経済波及効果をもたらしている。訪日客6,000万人の目標達成や、離島・地方にとっての生活インフラとしての航空ネットワークを維持するためには、安定的な燃料確保が不可欠だ。

③欧州の急進的義務化を教訓に「日本型モデル」の構築が必要
急進的なSAF導入義務化が価格高騰を招いた事例を踏まえ、日本においてはSAFの供給能力を鑑みた実効性の高い「日本型モデル」の構築が必要だ。

④Scope3削減を支援する「共創モデル」を推進
両社は企業顧客のScope3(事業活動における間接的なCO2排出)削減に貢献するSAFプログラムの提供を通じ、高コストなSAF導入を社会全体で支え合う「共創モデル」の推進にも取り組んでいる。

⑤競合の垣根を超えて持続可能な航空輸送の実現へ
日本の空を支える両翼として競合や産業の垣根を超えてこの課題に取り組み、持続可能な航空輸送の実現を通じて日本経済の持続的な成長への貢献を目指す。

「日本型モデル」構築と、次世代への対話

この高い障壁を乗り越えるためには、欧州などの先行事例を教訓として、導入速度と供給能力を同期させた実効性の高い「日本型モデル」の構築が必要だ。両社は政府、産業界、そしてお客様とともに、透明性・公平性のある仕組みを通じて脱炭素コストを分担し、持続可能な航空ネットワークというバトンを次世代に渡していくための対話と行動を、本レポートを通じて呼びかける。

両社は今後もSAFの量産と活用について幅広く発信し、日本と世界をつなぐ重要な社会インフラとして航空輸送を次世代に継承するために、政府ならびに関係者と連携してSAFの普及に取り組んでいく。

問い合わせ先/日本航空株式会社・全日本空輸株式会社

※掲載している情報は、2026年6月2日時点のものです。

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