サンシャイン水族館「サンゴプロジェクト」が20周年 沖縄・恩納村と連携した保全活動の軌跡

サンシャイン水族館、「サンゴプロジェクト」

サンシャイン水族館(東京・池袋)が沖縄県恩納村と連携して2006年から取り組む「サンゴプロジェクト」が4月27日で20周年を迎える。白化現象による危機や産卵成功を経て積み重ねてきた20年の歩みを年表で振り返るとともに、恩納村との包括連携協定の締結も発表された。

ELEMINIST Press

最新ニュース配信(毎日更新)

サステナブルに関わる国内外のニュース、ブランド紹介、イベントや製品発売などの最新情報をお届けします。

2026.04.20

全海洋のわずか0.2%に海洋生物種の25%が集まる、サンゴ礁という生命の拠点

サンシャイン水族館、「サンゴプロジェクト」

サンシャイン水族館(東京・池袋)が沖縄県恩納村と連携してサンゴの保全に取り組んできた「サンゴプロジェクト」が、2026年4月27日で20周年を迎える。同館はこれまで「感じる(知る)・伝える・守る」をキーワードに、サンゴの展示やイベントを通じてサンゴ保全の重要性を発信し、恩納村の海ではサンゴを守り・殖やす活動を続けてきた。20周年の節目となる今年は、来館者がサンゴ保全のために「実践する」きっかけを創ることを新たなテーマとして掲げ、サンゴをテーマにした複数のイベントを実施する。

サンゴのことを知っていますか?

植物のようにも見えるサンゴだが、実はイソギンチャクと同じ刺胞動物の仲間で「動物」だ。全海洋域におけるサンゴ礁の面積比はわずか0.2%にもかかわらず、そこには海洋生物種の約4分の1(25%)が暮らしていると言われている。まさに「生き物たちのオアシス」であり、海洋資源を守る大切な生態系だ。サンゴ礁は観光・医療・教育など人間にとっても多様な恩恵をもたらす一方、気候変動により世界中のサンゴ礁が危機に瀕している。こうした状況の中、サンシャイン水族館が2006年に立ち上げたのが「サンゴプロジェクト」だった。

なお、サンゴは「生き物そのもの(個体・群体)」を指し、サンゴ礁は主に造礁サンゴが積み重なって形成された「海中の地形」を指す。

サンシャイン水族館の「サンゴプロジェクト」

サンゴプロジェクトは、純粋な「サンゴを知ってほしい・サンゴを守りたい」という想いからはじまった。海の生き物たちの命を預かる水族館としての使命でもある。2006年、沖縄県恩納村の協力のもとスタートしたこの活動は今年で20周年を迎える。

サンシャイン水族館、「サンゴプロジェクト」

プロジェクトは2つの活動を軸にしている。1つ目は「サンゴ返還プロジェクト」——サンシャイン水族館で育て・殖やしたサンゴを海へ還す無性生殖による保全活動だ。人工管理下での飼育は自然災害によるダメージを受けにくく、自然界での万が一の死滅に備えた「種の保存(遺伝子の保存)」が可能。また、サンゴ礁と関わりの少ない都市部の人々へ実際に生きているサンゴを展示することもできる。2つ目は「サンゴ礁再生プロジェクト」——沖縄県恩納村の海域でサンゴを育成し、産卵によりサンゴを殖やす有性生殖による保全活動だ。

サンゴプロジェクト20年の道のり

サンゴプロジェクト 20年の道のり

年月出来事
2006年4月サンゴ返還プロジェクト始動。水族館内の水槽改修を機に、恩納村から預かった養殖サンゴの展示・育成を開始。「水族館として海で起きていることを正しく伝えたい」という使命感からスタート。
2008年サンシャイン水族館育ちのサンゴを初めて恩納村の海へ返還。
2011年水族館全館リニューアルオープン。サンゴ礁の生態系を再現した水槽と恩納村の養殖サンゴ育成水槽が新たに誕生。
2014年12月サンゴ礁再生プロジェクト始動。産卵による自然海域の次世代サンゴへの継承を願い、恩納村海域でのサンゴ育成をスタート。メンテナンス(植え付け・撮影・計測・環境調査等)を年2回実施。魚種観測では観測初期より魚の種類の増加を確認。
2016年海水温の高い状態が続き、恩納村海域のサンゴが大規模な白化に見舞われ、一部が死滅。植え付けエリア再検討のきっかけとなった。
2017年6月プロジェクト始動以来初のサンゴの産卵を確認。受精に成功した卵をスタッフの手で採集しサンシャイン水族館へ空輸。水族館での本格的な稚サンゴ(サンゴの幼体)の飼育が始まった。

年月出来事
2018年水族館での育成期間を経て、卵から育てたサンゴを恩納村海域へ初植え付け。サンゴも増え、魚も増え、順調な成長を記録。
2023年再生プロジェクトのサンゴが約10年で1m近いサイズに成長し、複数回の産卵も確認。周囲でもサンゴの増加が確認されたことから、別エリアでもサンゴの育成をスタート。
2024年7〜9月の約3ヶ月にわたる高水温により再び大規模白化が発生。植え付けサンゴの83%(44/53群体)、ひび建て式で育成中のサンゴの61%(58/95群体)が死滅。
2025年白化を乗り越えたサンゴたちでプロジェクトを再スタート。新たな返還・増産を進め、歩みを止めず地道な活動を継続。
2026年サンゴプロジェクト20周年。初めての返還、産卵、そして白化——うれしいことも悲しいことも経験した20年。「サンゴが棲む自然環境そのものを守ること」を使命として、取り組みを継続。

プロジェクトを20年見守ってきたスタッフの声

サンシャイン水族館飼育スタッフ 鶴橋梓 氏

サンゴプロジェクトは、私がサンシャイン水族館で働き始めた頃に始まったプロジェクトです。長いようで、あっという間の20年でした。プロジェクトに携わった当初はサンゴの知識も少なく、見ること・やることほとんどが初めての経験でした。一筋縄ではいかないサンゴの飼育では、光・水の流れ・水質の維持などに四苦八苦、沖縄では自然の脅威に打ちのめされることもありました。この20年、歩みを止めることなく進めてこれたことを誇りに感じるとともに、「恩納村でのサンゴの回復」を体感できたことが何よりも嬉しく、希望を感じました。

残念ながらサンゴを取り巻く環境が危機的状況なのは変わっていません。多くの生き物たちが暮らす豊かな海「サンゴ礁」を未来につないでいけるよう、これからもサンシャイン水族館ができることを推進していきます。(サンシャイン水族館飼育スタッフ 鶴橋梓 氏)

プロジェクト関連グッズ・募金箱の設置

館内2Fの「ショップ アクアポケット」では、プロジェクトに連動したグッズを販売中だ。「Sunna(サンナ)ちゃんの恩返し黒糖」(432円)は売上の一部がサンゴの植え付けや保全活動に活用される。「サンシャイン水族館オリジナル アクアリウムタンブラー」(2,750円)は、泳ぐペンギンと漂うクラゲの2種類のデザインで、ペットボトルごみの削減や資源節約につながる環境配慮型ライフスタイルを取り入れるアイテムだ。なお、Sunna(サンナ)ちゃんは沖縄県恩納村のSDGsプロジェクト「サンゴの村宣言」のイメージキャラクター。

サンゴプロジェクト募金箱

また、サンゴプロジェクト20周年を記念して館内に募金箱も設置。集まった募金は「サンゴの村宣言」をしている沖縄県恩納村に寄付され、サンゴの植え付けやサンゴの健康チェック・ビーチクリーンなどの活動に使用される。

サンシャインシティと沖縄県恩納村が包括連携協定を締結

株式会社サンシャインシティは、サンゴプロジェクトが20周年を迎えることを機に、これまでの活動を基礎として環境・観光・教育・文化といった幅広い分野への連携を強化するため、沖縄県恩納村(村長:長浜善巳)と包括連携協定を2026年4月17日(金)に締結した。地域活性化および持続可能な社会の実現に資することを目的とした協定だ。

恩納村とは2006年より「サンゴプロジェクト」を推進し、2009年からはサンシャインシティ全館で沖縄を体感できるイベント「サンシャインシティ 沖縄めんそーれフェスタ」を共催するなど、長年にわたり協力関係を築いてきた。本協定を通じて、サンゴの保全をはじめとする環境保全活動や、恩納村の豊かな自然・文化を生かした観光振興・環境教育など多岐にわたる取り組みを展開し、「世界一サンゴにやさしい村」を目指す恩納村の持続可能な地域社会の実現に貢献するとしている。

サンシャイン水族館

項目内容
所在地東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル・屋上
営業時間10:00〜19:00(最終入場は終了30分前)※時期や特別営業時等により変動
入場料大人(高校生以上)2,600〜3,200円、こども(小・中学生)1,300円、幼児(4才以上)800円 ※時期や特別営業時等により変動
公式サイトhttps://sunshinecity.jp/aquarium/
サンゴプロジェクト詳細https://sunshinecity.jp/file/aquarium/coral_project/

問い合わせ先/株式会社サンシャインシティ
https://sunshinecity.jp/file/aquarium/coral_project/

※掲載している情報は、2026年4月20日時点のものです。

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends