明治ホールディングス、「道東カーボンファーミング研究会」中間報告を発表 不耕起栽培が土壌炭素貯留を促進と示唆

明治ホールディングス株式会社と道東サステナブル農業推進機構が設立した「道東カーボンファーミング研究会」が中間報告を発表。不耕起栽培とカバークロップが土壌の炭素貯留促進と構造改善に寄与する可能性を明らかにした。

ELEMINIST Press

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2026.04.13

再生農業が土壌の炭素貯留を促進──2年間の実証研究で示唆

明治ホールディングス株式会社と一般社団法人道東サステナブル農業推進機構が2023年に設立した「道東カーボンファーミング研究会(道東CF研究会)」は、再生農業の一つである不耕起栽培とカバークロップを用いた農法が土壌の炭素貯留を促進させ、酪農における温室効果ガス排出量の削減に寄与する可能性があることを明らかにした。

調査研究1:不耕起栽培による土壌炭素貯留量調査

調査先は有限会社中山農場。不耕起栽培(土の露出を防ぐため、田畑を耕さずに農作物を育てる農法)による土壌への炭素貯留効果を調べるため、不耕起栽培を続けていた牧草地で深さ30センチまで耕起を実施。その後、デントコーン(コーンスターチや配合飼料に利用されるトウモロコシの一種)を不耕起栽培した。以下の通り、耕起で減少した炭素貯留量が不耕起栽培により回復する傾向が確認された。

時期調査内容・状況土壌炭素貯留量増減
2024年7月土壌評価(牧草地・不耕起栽培)119 t/ha
2024年7月土壌を耕起する
2024年11月土壌評価96 t/ha▼減少
2025年春デントコーンの不耕起栽培開始
2025年10月土壌評価(デントコーン収穫後)106 t/ha▲増加

土壌を耕起すると、土壌中の微生物が外気に触れて活動が活発化し、土中の炭素を消費して二酸化炭素を排出した可能性がある。一方、不耕起栽培では微生物の活動が沈静化し、土中の炭素が消費されずに炭素貯留量の増加につながった可能性があると考えられる。

調査研究2:カバークロップによる土壌構造改善の調査

土壌硬度を測定した土壌の様子

調査先は株式会社養老牛山本牧場W.E.C。カバークロップ(土壌侵食の防止や有機物の供給などを目的として植物で土壌を覆う農法)による土壌構造改善の調査のため、放牧地に5〜8種類の草の種をまいて調査を実施。土壌硬度の測定値を改善評価の指標とした。

時期調査内容・状況土壌硬度
2024年7月土壌評価23 mm
2024年9月5種の草を種まき
2025年5月8種の草を種まき
2025年10月土壌評価18 mm(軟化)

カバークロップによってその植物の根が土壌中に張り巡らされ、土壌硬度が軟化したと考えられる。土壌硬度の軟化が土壌の通気性や透水性を高め、健康な植物を育成させ、植物の光合成を通じた土壌への炭素貯留増加につながると考えられる。

専門家コメント(北海道大学 信濃卓郎教授)

「陸地で最も炭素を貯留可能な体系は森林であるが、これを切り拓き耕地・草地として人類は活用してきた。この過程で大量の炭素が土壌から失われてきた。長年集約的に利用されてきた耕地・草地は土壌有機物が減耗し、肥沃度などの土壌機能が大きく低下している。これを回復するためには土壌に炭素を還元し、増やすことが可能な農業技術への転換が求められている。今回の研究会の取り組みは実際の生産者圃場を対象とした取り組みであり、モニタリングを継続することで今後の土壌改善の方向性が示されることが期待される。」(北海道大学大学院農学研究院 作物栄養学研究室 信濃卓郎 教授)

酪農の現場から始まる土壌再生、継続的な実証へ

今回の結果は、直ちにカーボンファーミング(温室効果ガスの排出量削減を目指す農法)に関する確証をもたらすものではなく、長期的な調査の継続が必要であると認識されている。一方で、道東CF研究会の実証は試験農場ではなく酪農家が飼料を生産している現場をフィールドとしており、多様な酪農現場に合わせた各農法が土壌に良い結果をもたらす可能性が見出されたことは意義ある成果だ。

現在は、化学肥料をまいた場合と乳牛の糞尿由来の有機肥料をまいた場合における作物栽培への効果の違いについても検証を進めている(調査先:株式会社リジッドファームズ)。明治グループは、道東CF研究会との連携を通じて、別海町を起点とした評価・研究・実践を重ね、サステナブルな酪農の実現を目指すとしている。

道東CF研究会について

生乳生産量が日本一の別海町を主なフィールドとし、大気中のCO₂を土壌に取り込み、農地の土壌の質を向上させ、温室効果ガスの排出量削減を目指す農法「カーボンファーミング」の評価・研究・実践を推進する団体。酪農の現場からカーボンファーミングを試行し、これからの酪農業のあり方を社会に提言していく、地域社会と地域住民、乳業メーカーが連携した日本初の取り組みだ。

問い合わせ先/明治ホールディングス株式会社
https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/
道東カーボンファーミング研究会
https://www.carbonfarming.jp/

※掲載している情報は、2026年4月13日時点のものです。

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