子どもと一緒に遊んで学ぶ —「ELEMINIST MEET for KIDS」 アフターレポート【前編】

ELEMINIST MEET for KIDS

2025年12月6日、東京・代官山のTENOHA代官山で開催された「ELEMINIST MEET for KIDS」。人気イベント「「ELEMINIST MEET」の、初の親子向け体験型イベントだ。「サステナブル」「エシカル」といった言葉を、子どもと一緒にどう受け取るか。その問いに対し、体験を通して向き合う場が用意されていた。

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エレミニスト編集部

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2025.12.27

親子で“体験する”という選択

開場前から、会場の入口には列ができていた。子どもの手を引きながら順番を待つ家族の姿が続き、この日を楽しみにしていた様子が自然と伝わってくる。にぎやかさのなかにも、どこか穏やかな空気が流れていたのが印象的だった。

会場に入ると目に入るのは、子どもが主役になれる設え。説明パネルよりも先に、手を動かす、口にする、選ぶといった体験があり、親は少し後ろから見守る立ち位置に回っている。正解を教える場ではなく、親子が同じ目線で過ごす空気感だ。

エシカルな取り組みで、人と地球の未来を想うブランドたち

イベント当日は、食や暮らし、ものづくりなど、それぞれの分野でエシカルな取り組みを続けるブランドが集結。子どもと一緒に体験することで、日常につながるやさしい選択肢が、自然と浮かび上がってきた。

出展ブランド1:ウェルビーイングフード|ZENB(ゼンブ)

入口近くで多くの親子が足を止めていたのが、ZENBのブース。ザクっとした食感の黄えんどう豆スナック「ゼンブハッピー」(キャラメル、カカオ、メープル)の試食が用意され、子どもたちは楽しそうに手を伸ばしていた。

出展者によると、親子が一緒に味わうことで、子どもの率直な反応を直接受け取れることが嬉しいという。実際に、無心に食べ、「おいしい」と素直に反応する子どもの姿が多く見られたそうだ。親も声をかけながら一緒に味わい、自然と会話が生まれていく。

試食に加え、家庭でも楽しめるサンプリングが用意されていた点も特徴のひとつ。入場してすぐに“おいしい体験”があることで、会場全体の緊張がほどけ、明るい空気が広がっていった。

出展ブランド2:環境再生型オーガニックブランド|MammaBaby(ママベビー)

次はMammaBaby(ママベビー)のブースだ。容器を活用したアップサイクルのワークショップが用意され、興味を持った親子が足を止め、様子をのぞき込んでいた。

出展者は、来場者の多くがサステナブルやカーボンニュートラルに日頃から関心を寄せている層であることに手応えを感じたという。日頃からサステナブルやカーボンニュートラルに親しんでいる様子が印象的だったという。製品についても積極的な質問が寄せられ、「肌の基礎機能を守る、育む」という考え方に共感する声が多かったそうだ。

ワークショップは有料で、参加は希望者のみ。それでも、実際に参加した子どもたちは道具を手に取り、自分のペースで制作に向き合っていた。正解を示すのではなく、体験を通して考える余地を残す。その姿勢が、このブースの空気をつくっていた。

出展ブランド3:オーガニックスーパーマーケット|Bio c' Bon(ビオセボン)

3つめはパリ発のオーガニックスーパーマーケット、Bio c' Bon(ビオセボン)。ここではオーガニック植物性ミルクの試飲が行われ、子どもたちはためらうことなくカップを手に取り、飲み比べを楽しんでいた。

出展者にとっても、植物性ミルクを子どもが自然に口にし、「おいしい」と反応する様子は印象的だったという。既存の利用者だけでなく、初めて商品に触れる来場者からも関心が寄せられ、具体的な好みや感想を直接聞けたことが大きな収穫だったそうだ。

ポンせん、紙パックのカットトマト、ベビースムージーと親子で楽しめるこだわり食材のサンプリングも好評で、食をきっかけに親子の会話が広がっていた。特別な体験というより、日常の延長線にある安心感が、このブースの魅力だった。

出展ブランド4:リサイクルポリエステル繊維「エコペット®」|帝人フロンティア

1階会場のいちばん奥に位置していたのが、リサイクルポリエステル繊維「エコペット®」のブース。いくつかの体験を重ねてきた親子が、自然な流れでたどり着く場所でもある。

ここでは、エコペット®が街のどんな場所で使われているかを当てるクイズや、エコペット®生地の端切れを使ったオーナメントづくりが行われていた。見て、選び、手を動かすというシンプルな体験を通して、リサイクル素材の背景が伝えられていた。

出展者によると、子どもに直接リサイクル素材を伝える機会はこれまでほとんどなかったという。難しいのでは、という懸念に反して、実際には吸収力の高さが際立ち、循環の考え方を自然に受け取る姿が多く見られたそうだ。

ELEMINIST MEET for KIDSオリジナル企画

ELEMINIST MEET for KIDS

1階を巡ったあと、親子が立ち寄っていたのが2階のスペース。ここには、ELEMINISTによるオリジナル企画が用意されていた。

撮影した写真をその場でプリントして手渡す特別フォトブースでは、プリンター協力としてキヤノンマーケティングジャパンが参加。サステナビリティを重視した企業の姿勢も、イベントの趣旨と重なっていた。

ELEMINIST MEET for KIDS

写真のプリントを待つあいだには、mizuiro株式会社の「おやさいクレヨン」を使った塗り絵コーナーもあり、色選びに夢中になる子どもたちの姿が見られた。待ち時間さえ体験の一部として楽しめる設計が、このフロアの特徴だ。

ELEMINIST MEET for KIDS

もうひとつの「おさがりサークル」では、不要になったものを持ち込み、気に入ったものがあれば自由に持ち帰ることができる。選ぶ人も手放す人も、穏やかな表情でやりとりを交わしていた。

イベントの最後には、当日のおみやげとして「サンスター ソダテコ やさいではぐくむスムージー」が来場者全員に手渡された。香料や保存料を使用せず、国産の野菜と果物100%とあって、安心して子どもに与えることのできるスムージー飲料だ。会場では早速開封して飲み始める子どもたちのおいしそうな笑顔も印象的だった。

会場全体に通っていたのは、「教える」よりも「一緒に体験する」ことを軸にした場づくりだった。出展者は説明を重ねるのではなく、親子が自然に関われるきっかけを用意し、それぞれのペースを尊重していた。その積み重ねが、会場に明るく、のびやかな空気を広げていた。
こうした体験は、実際に参加した親子にはどのように受け取られていたのだろうか。後編では、来場者のコメントを手がかりに、このイベントが家庭に持ち帰られた小さな変化や余韻をたどっていく。

取材・執筆/河辺さや香 編集/ELEMINIST編集部

※掲載している情報は、2025年12月27日時点のものです。

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