「ギグエコノミー」とは? 仕事の例や副業との違い

「ギグエコノミー」とは、業務委託で単発の仕事を請け負う新しい働き方だ。好きな仕事を選んで、好きなときに、好きな場所で働ける、夢のようなワークスタイルだ。働き手と依頼主の需要と供給をうまくマッチさせて新たな市場を開拓する、いま注目の経済の形だ。

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2020.08.27
SOCIETY
編集部オリジナル

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ギグエコノミーとは? 言葉の意味と仕事の例

ウェブデザインをする女性

Photo by Campaign Creators on Unsplash

ギグエコノミーとは、自らが自らのボスとなって一時的な単発の仕事を請け負い、会社に雇われないで自由に働く労働市場のことだ。

働く側はギグワーカーと呼ばれ、自分の都合に合わせて、好きなときに好きな場所で働くことができる。

例えば、ど田舎でのんびりしながら働いてもいいし、海外を旅しながら稼ぐことだって可能だ。単発で1回だけ働くのも、フルタイムのギグワーカーとして精を出すのも個人の自由。

大体は個人事業主として働くことになるので、自分のスキルを存分に生かせるし、自分の頑張りがそっくりそのまま収入に反映されるので、やりがいを感じることができる。

基本的に上司や同僚はいないので、指図されるのが嫌だったり、チームワークが苦手な人にぴったりなワークスタイルだ。

ギグエコノミーの「ギグ」はもともと、ライブで他の人と突発的にセッションすることを指す言葉として使われていた。それがいまでは「単発の仕事」という意味で使われている。

これまでは、学校を出たら正社員として就職し、転職は人生で多くても3回くらいまで、というのが世間の常識だった。しかし、いろいろな働き方がある昨今、何十年も同じ会社に通い続け、会社に忠誠を誓って働くスタイルに魅力を感じる人は昔ほど多くない。

自由なワークスタイルを求めるギグワーカーたちは、クラウドワークスやココナラなどのプラットフォームを使って、ウェブデザインや事務代行など、PC一つでできる仕事を日々ゲットしている。海外ではfiverrやfreelancer.comなどがとくに人気だ。

フレキシブルな働きやすさが時代にぴったりフィットし、欧米ではすでに働き方の新たなスタンダードになっている。

副業やシェアリングエコノミーとの違いは

笑顔でPCを叩く女性

Photo by Mateus Campos Felipe on Unsplash

副業との違いは、本業の有無を問わないところだ。ギグワーカーの属性は多種多様で、本業の合間にちょこっと単発で働く人もいれば、フルタイムでコミットする人もたくさんいる。

また、カフェやコンビニなどで副業するときは、少なくとも数ヶ月はそこで働くことを見越した契約を結ぶのが一般的だが、ギグワーカーは働く期間も相当フレキシブルだ。10分で終わるタスクを請け負う場合もあれば、継続的に同じ依頼主から仕事をもらうこともある。

シェアリングエコノミーとの大きな違いは、ギグエコノミーが個人のスキルが売り物であるのに対して、シェアリングエコノミーはモノ・コト・場所などの眠っている資源を有効活用して、他人とシェアすることがサビースの基本だ。

配車サービスのUberの場合は「車の空席をシェアする」という視点から考えればシェアリングエコノミーのサービスだし、「ドライバーが単発でフレキシブルに働く」という視点から言えば、ギグエコノミーのサービスだと言える。

ギグエコノミーの歴史

農作業をしている男性

Photo by Jed Owen on Unsplash

1915年ごろの音楽シーンで、よそからメンバーを借りて演奏をすることをギグと呼んだのがギグエコノミーの始まりだ。

その後、1930年代の世界恐慌のときには、世界中で失業者が急増。アメリカでは仕事を求める人たちが、農場で日銭を稼いで生活苦をしのいだ。

そして時は流れて1995年。インターネットが普及したこの頃、掲示板サイトの元祖とも言われるCraiglist(クレイグリスト)がアメリカで誕生。

最初はメール配信や開業のお知らせなどに使われていたが、口コミが広がるにつれて求人広告掲載のニーズが増えたため、2004年には単発の求人広告を掲載できるページがつくられた。これがギグワークの先駆けとなり、しだいに世界中に広まっていったのだ。

それから仕事の内容は多様化し、引越しの手伝いや芝刈りなどの肉体労働系から、テレワークやウェブデザインなどのオフィス系の仕事まで、いまでは実にさまざまな職種がある。

変わり種だと、会社で搾乳したお母さんに代わって、託児所に哺乳瓶をデリバリーするだとか、忘れ物を家に取りに行ってもらうなどのタスクもある。

基本的にはインターネットを通じて業務を請け負うギグワークだが、人と人のつながりを感じられる仕事もあるのが面白いところだ。

ギグエコノミーのメリット・デメリット

メリット

つままれたハイヒール

Photo by Andrew Tanglao on Unsplash

働く側のメリットは、とにかく自由の一言に尽きる。スキルしだいでは、1日3時間くらい働いて残りの時間は遊んで暮らすなんて生活も可能だ。

本業の前後に1〜2時間働いて貯金の足しにするのもアリだし、勤め人として働くのと比べると、フレキシブルさが半端ない。もしプログラミングやウェブデザインのような専門的な知識がなくても、データ入力やテレアポなどのハードルが低めな仕事もたくさんある。

海外のフリーランス用のサイトで仕事を探せば、日本にいながらにして外国の人と仕事をすることも夢じゃないし、逆に滞在費用の安い国に住んで日本の仕事を請け負うこともできる。

それに、会社員のように服装規定がないことがほとんどだから、メイクをしなくても構わないし、パンプスで足を痛める必要もない。寒い時に無理にスカートをはかなくたって誰も文句を言わないし、ヘアスタイルだって自由だ。自分のスタイルを大事にしつつ、ラクに働けるところもポイントが高い。

実力主義の人は、自分の価値をクライアントから直接評価してもらえるので、充実感を得られるだろう。同じような働き方をしている人はたくさんいるので、セミナーやSNSグループなどに参加して、情報交換しながらスキルアップするのも楽しい。

雇う側の目線から言えば、従業員を雇うコストがかからないのが最大のメリットだ。年金、健康保険、交通費など、人を雇うときは給与以外のコストが案外かかる。

しかし、ギグワーカーは基本的に業務委託なので、これらの余分な費用をセーブすることが可能だ。能力があって即戦力になる人に直接仕事をお願いすることによって、人材育成にかかる費用や時間も削減できるし、場合によっては引き抜きできる可能性もある。

人を正規雇用する余裕のないスタートアップ企業や、自分の趣味のためにプロの手を借りたいときなど、活用方法は多岐にわたる。

また、業務委託契約は労働基準法の対象外なので、最低賃金以下で委託したり残業代を支給しなかったりしても問題ない。簡単なタスクをなるべく安く引き受けてもらいたいときにも、重宝するのではないだろうか。

デメリット

母親とタブレットを触る子ども

Photo by Alexander Dummer on Unsplash

ギグワーカー共通の悩みは、どうしても仕事が不安定になりがちだということ。仕事を依頼する側は、必要があるときにだけギグワーカーに依頼してくるので、ニーズがないときは必然的に収入はゼロになる。

かといって、雇用保険があるわけでもないし、健康保険料や年金は全額自分持ち。国民年金は厚生年金より将来もらえる金額が低いので、いまはよくても老後のことを考えると心配になることもしばしばある。

産休や育休は望めないので、スキルが高くないうちにフルタイムのギグワーカーになると、その先には貧困が待っているかもしれない。自由を求めてフライングする前に、勉強や貯蓄はしっかりしておいたほうが身のためだ。

また、労働者組合が特段あるわけではないので、セクハラや業務上のトラブルは、すべて自力で解決しないといけない。やるせないが、トラブル対応をしてる間はもちろん無給だ。

それに、会社員だったらトイレ休憩や一服しているときにも給料が発生するが、雇われの身でなくなると、そんな甘い蜜はもう吸えなくなる。有給だって一切ないから、風邪で休んだらその分収入が減ってしまうリスクがある。

仕事を依頼する方のデメリットは、必要なときに絶対に人員を確保できるとは限らないところや、ワーカーに期待していたスキルと実際の能力に、差がある場合もあるかもしれないというところだ。

人気のある人はすぐに予約が埋まってしまうから、クオリティの高い仕事を依頼したいときは、時間に余裕を持って臨んだ方がよさそうだ。

今後の動向

いい面と悪い面があるギグエコノミーだが、PCやスマホ一つで仕事ができるようになったいま、世界中でどんどん拡大していくことが容易に考えられる。2023年にはアメリカ一カ国だけでも4550億米ドル規模のマーケットに成長すると予想されている。(※1)

日本も最近は副業を解禁する企業が増えてきたこともあり、市場が拡大していくことが期待されている。

自分のスキルを存分に活かせるうえ、努力を惜しまなければフリーランスとして自由に働くこともできるので、新しい働き方として定着するのも時間の問題だろう。

また、少子高齢化が顕著な日本では、高齢者の労働力が豊富だ。ギグワークなら、体力がなくても稼げるタイプの仕事も豊富にあるので、定年してから年金の受給が始まるまでの小遣い稼ぎとしても、ギグワークは十分に活用できそうだ。

若者でも高齢者でも「働きたい」が叶うギグエコノミーは、今後ますます目が離せない市場だ。

※1
Projected gross volume of the gig economy from 2018 to 2023|statista
https://www.statista.com/statistics/1034564/gig-economy-projected-gross-volume/

※掲載している情報は、2020年8月27日時点のものです。

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