次世代農業ベンチャー・BGが「Next Green Revolution」を始動 土を起点とした新たな食と農の運動

Next Green Revolution キービジュアル

次世代農業ベンチャー・株式会社BGは、よりよい次世代の農業へとシフトする“土” を起点とした新しい食と農の運動「Next Green Revolution」の始動を発表した。今後は事業を軸として、人と地球がともに持続できる未来のフードシステムの構築を2030年までに目指していく。

ELEMINIST Press

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2025.07.14

「Next Green Revolution」が始動 人と地球がともに持続できる未来のフードシステム構築を目指して

Next Green Revolution キービジュアル

「今までにない視点で、農業のまだ見ぬ価値を発見し、社会に共有し続ける」をミッションとして、2021年に創業した次世代農業ベンチャー・株式会社BGは、深刻な環境や経済的課題に直面する日本の農業と、持続可能性が危ぶまれる食の未来を守るため、人と地球によりよい次世代の農業へとシフトする、“土” を起点とした新しい食と農の運動「Next Green Revolution(ネクストグリーンレボリューション)」を始動した。

「おいしい」が地球と持続可能な未来を育くむような社会の実現に向け、食べ手とつくり手をつなぐ「食べる革命|Next Green Vegetables(ネクストグリーンベジタブル)」と、「つくる革命|Next Green Method(ネクストグリーンメソッド)」という2つの事業を展開し、環境の変化に対応した、人と地球がともに持続できる「未来のフードシステム」構築を、2030年までに目指すという。

“土”が持続可能な農業への第一歩に

畑の写真

1960年代から70年代にかけて、科学技術によって収穫量を飛躍的に増やし、食糧難に苦しむ国や地域を救った農業技術の革新は、「緑の革命」と呼ばれ、世界の農業に大きな恩恵をもたらした。

しかし現在、土壌劣化や気候変動、農業資材の高騰といった課題が、世界規模で深刻化している。収穫量や品質の低下により、農業経営は危機に直面。また、温暖化や水質汚染、生態系への悪影響など、地球環境への負荷も高まり続けている。
株式会社BGは、こうした現在の課題解決に向け、“収穫量”、“おいしさ”、“環境への配慮” のすべてを諦めない「トレードオフのない農業」を数十年にわたり実践してきた全国の農家を訪ねるなかで、“土”が共通の鍵となっていることに気づかされたという。

どの農家も、畑の土を自然界が本来もつ多様な土壌生態系に近づけることで、野菜をよりおいしく、健康に育て、安定した収穫へつつなげることができていたという。また、それは農業をより環境負荷の少ない取り組みへと変えることにも寄与していた。

“土”を起点にした2つのソリューション

農業経営の危機の背景には、「食べ手とつくり手の分断」が挙げられる。しかし、現在の生産から流通、消費に至るまでのフードシステムでは、食べ手がつくり手の取り組みや想いについて十分知ることができず、限られた情報のなかから野菜を選ばざるを得ない状況にある。

その結果、農家の努力や工夫は評価されにくく、いい土づくりに取り組む意義や価値が見出されない構造が続いていたのである。

事業イメージ図

株式会社BGでは、構造的な課題を解決するべく、実践者である篤農家をはじめ、国立研究機関や大学の研究者など、農業における国内の第一人者たちの知見を結集させ、数年にわたるリサーチと基礎研究を重ねたうえで、2つのソリューションを開発した。

1.“おいしい理由”が見える野菜ブランド 「Next Green Vegetables」

Next Green Vegetables キービジュアル

「Next Green Vegetables」は、日本初となる、“おいしい理由”が可視化された野菜ブランドだ。

土壌の価値を可視化する仕組み「Agri LCA+」により評価・選定された野菜を、つくり手・食べ手双方にとって適正な価格で展開。さらに、「Next Green Method」によってつくられる“いい土”から育ち、「Agri LCA+」の基準をクリアした野菜が、順次ラインアップに加わる予定だ。

土壌の価値を可視化する仕組み「Agri LCA+」

「Agri LCA+」では、農業の営み全体を総合的に評価し、土の生態系や野菜と微生物の住環境、地球環境への影響などの指標を通じて、野菜のおいしさや健康、環境影響評価などの観点から、目的に応じて多角的に「土壌の価値」が可視化される。

なお地球環境への影響については、国立研究開発法人 産業技術総合研究所とともに開発した「環境影響評価スキーム」を活用しているという。

販売イメージ写真

「Next Green Vegetables」では、以下3つの観点から評価を行うことで、おいしい理由として一般野菜との違いを定量的に可視化している。

1.【土の生態系】土をつくる多様な生態系の働きを高める取り組みの評価
2.【野菜と微生物の住環境】作物や微生物にとって健全で住みよい土壌環境づくりへの取り組みの評価
3.【地球環境への影響】気候変動、生態系保全、水資源など、地球規模での環境影響を多面的に評価

2.誰もが100年続く農業経営へのシフトを叶えるワンストップソリューション「Next Green Method」

Next Green Method キービジュアル

「Next Green Method」は、おいしく育つ土をつくる「Soil Solution(ソイルソリューション)」と、土壌の価値を可視化する「Agri LCA+」、農家に経済的リターンとして還元することで資金的に土づくりを支える「Next Green Credit(ネクストグリーンクレジット)」の3つのソリューションをワンストップで提供するメソッドだ。

Next Green Method 構成図

「土から健康な農業へ」をビジョンに掲げ、高収益かつリスク耐性に優れ、地球環境にとってもよい畑へのシフトを、食を支えるつくり手とともに3年で実現することを目指すという。

このメソッドの社会実装は、日本の農業基地である北海道からスタートする。その後、関東甲信越や九州をはじめ、全国へと展開していく予定だ。

“おいしく育つ土”をつくる「Soil Solution」

Soil Solution キービジュアル

自然界の多様な有機物とミネラルを発酵させた独自のオールインワン有機発酵資材「Soil Next(ソイルネクスト)」を軸に、畑の土を自然界本来の多様な土壌生態系へと近づけていく農法が「Soil Solution」だ。

ソイルソリューション 説明図

年に一度畑に「Soil Next」を散布することで、短期間で自然界の多様な生態系を土壌に再現し、収量をしっかり維持しながら、野菜をよりおいしく健康に育てることが可能になるという。

また、土壌そのものも地球環境への負荷が小さい状態へと変化していくそうだ。「Soil Next」は2024年より北海道で製造を開始させており、道内の有力農家での活用が進んでいる。

“おいしい”が環境価値になる 新しいクレジット「Next Green Credit」

Next Green Credit キービジュアル

日本初の環境クレジット「Next Green Credit」は、脱炭素にとどまらず、“おいしく育つ土づくり”がもたらす多面的な環境価値を定量化・価値化するものだ。

GHGの排出削減・吸収量はISO14064-2に基づいて算定され、水質や生物多様性などの影響は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所と開発した独自スキームにより評価。その後、ISO14065認証を持つ第三者機関の検証を経てクレジットとして正式に発行され、収益は農家に還元される仕組みである。

同クレジットは、消費者の「おいしい食」と企業の環境貢献をつなぐ役割を果たし、すでに東京建物株式会社日鉄興和不動産株式会社などで活用が決定している。なお、初回のクレジット創出・販売は2025年秋を予定している。

お問い合わせ先/株式会社BG
https://www.next-green.jp/

※掲載している情報は、2025年7月14日時点のものです。

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