ネスレ最大のコーヒーブランドである「ネスカフェ」は、2024年に調達したコーヒーのうち、32%が再生農業通じたものであると発表した。なおネスカフェは「2025年までにコーヒーの20%を再生農業を通じて調達する」ことを目標としており、1年前倒しで達成してことになる。
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ネスレは、同社最大のコーヒーブランドである「ネスカフェ」が、2024年に調達したコーヒーのうち、32%が再生農業を通じて調達したものであると発表した。
同社は今年6月11日に発表した最新の「ネスカフェ プラン 2030進捗報告書」にて、この数値が「2025年までにコーヒーの20%を再生農業を通じて調達する」という目標を1年前倒しで達成していることを報告している。
「ネスカフェ」は、施肥(せひ)の最適化、マルチング、被覆作物の活用、堆肥化などの実践を通じた、コスト削減と生産性向上を目指している。
これらの取り組みにより、コーヒー栽培における温室効果ガス排出量の削減にも貢献しており、2024年には、「ネスカフェプラン」参加者は生豆1キログラムあたり20〜40%の温室効果ガス排出量の削減を実現しているという。
2024年は、複数のコーヒー生産国で、気候変動による影響が確認された。生産者は天候の変化への対応を迫られ、その結果として、「アラビカ種」と「ロブスタ種」のコーヒー豆の国際価格は未だかつてない高値となり、供給量も減少した。
このような状況を踏まえ、ネスレはより強靭で安定したコーヒーの供給体制を築くことの重要性をより強く実感しているという。
コーヒーの木は経年とともに自然と生産性が低下するため、気候変動の影響も受けやすくなる。生産性を保つためには、古くなった木を新しい苗に植え替えるなど、農園の再整備が不可欠だ。
「ネスカフェ プラン」では、長年にわたって続けてきた苗木配布プログラムを2024年も継続し、収穫量の向上と気候変動への適応を支援するべく、およろ2,100万本のコーヒー苗木を配布した。
現在40万ヘクタール以上のコーヒー農地を対象としており、2024年には1,400人以上のフィールドスタッフや農学者が、16カ国で20万人以上のコーヒー生産者に対し、再生農業に関する研修を実践した。
なお研修は、土壌の侵食や流出、有機物の管理、堆肥の最適化といった、具体的な課題に対応しているという。
「ネスカフェ プラン 2030進捗報告書」では、「ネスカフェ」が連携する、ドイツ国際協力公社(GIZ)と、テクノサーブ(TechnoServe)との取り組みが紹介されている。
コーヒー生産は事業であり、生産者はコーヒーの品種選びや農園への設備投資、資材の使用など、さまざまなテーマについて、経営的判断を求められる。「ネスカフェ」は、ドイツ国際協力公社と協力し、生産者のビジネススキル向上を支援している。
生産者は「コーヒー++プロジェクト」を通じて、「ファーマー・ビジネス・スクール」手法に基づいた研修を受ける。多様化や再生農業を通じた収量や家計収入の向上方法についてだけでなく、ビジネスや財務の基礎知識も身につけることができる。
テクノサーブが実施した調査によれば、再生農業が生産者の収入を大幅に増加させている一方で、温室効果ガス排出量を削減できる可能性があるという。なおこの調査には、現場レベルのデータをもとに国別に詳しい分析を行う「ボトムアップ・アプローチ」が採用されており、安定した前提条件で評価が行われている。
調査結果は官民双方による投資の重要性を強く示唆している。年間5億から6億ドルの投資によって、生産者の年間収入が20億ドル以上増加し、コーヒー輸出が最大で26億ドル増加、さらに年間最大350万トンの二酸化炭素換算排出削減が可能になるというのだ。
さらにこの調査では、地域経済における波及効果や、土壌の健康、水資源の保全、生物多様性といった面においても、環境的利益が顕著に見込まれると報告されている。
お問い合わせ先/ネスレ日本株式会社
https://nestle.jp/home/brands/nescafe/
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