ワーケーションとは、働きながら休暇を取ること。米国で導入されているが、日本ではまだまだ認知度が低い現状にある。この記事では、そのメリット・デメリット、企業がどのように導入し活用していくべきかを解説する。
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ワーケーションとは、働きながら休暇を取ることである。「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」からつくられた造語だ。
オフィスではなく、観光地やリゾート地などで休暇を取りながら、休暇先で仕事をする。ノートパソコンやインターネットが普及した2000年代に、休暇の取得率が低い問題を解決する方法として米国で生まれた働き方である。
リモートワークとは、「ワーク(仕事)」と「リモート(遠く離れた場所)」からつくられた造語である。英語圏では、オフィスに行かずに自宅で仕事をすることを指す。
一方のワーケーションとは、先ほど説明したように、仕事と休暇が一緒になったものを指す。つまり都会の喧騒から離れ、リゾート地など豊かな自然に囲まれたリラックスした雰囲気で働くことなのだ。
休暇をとることがなかなか難しい日本社会では、とても理想的な働き方に思えるワーケーション。ここでワーケーションのメリットを紹介したい。実際に日本企業でワーケーションを取り入れた例にお話していこう。
日本航空(JAL/JL、9201)は、2025年までに世界の労働人口の75%を35歳以下の人が占めるようになると言われている現状を踏まえ、多様性のある働き方をどのように実現するかを検討し始めた。
その一つの解決策として、和歌山県白浜町で第1回ワーケーションを8月21日から3日間実験的に開催。社員は家族とともに旅に出かけ、時間を区切って仕事もこなした。これにより長期の休暇を取りやすくする狙いがある。
参加した社員からは「家族の時間が設けられた」「気分転換になりモチベーションが上がる」といったプラスの評価があがった。ふだんとは違うリラックスした環境に身を置いて働けること、家族がすぐ近くにいることは一生懸命働く社員たちにとって癒しの時間になっただろう。(※1)
メリットがあれば、もちろんデメリットもある。「仕事の時間管理が難しい」「仕事でもあるが休暇の要素もあり、会社や上司の理解が得られない」という現実的な課題だ。休暇と仕事の共存は理想的であるように思えて、その境界線がやはり難しい。
ワーケーションは基本的に観光地等に長期滞在することになるのだが、半分は休暇であるため、その費用を会社が出張費として持つのか、個人が支払うのかについても各企業で議論されている。
また、印鑑決済がまだ必要とされることが多い日本では、遠隔での捺印書類の処理も問題となっている。
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ヨーロッパではロックダウンが解除され、徐々に移動制限も解除されてきた。遠くに暮らす家族を心配する社員たちの気持ちに答えるかたちで、ワーケーションのような労働環境を提供している企業もある。希望した社員はノートパソコンを抱え、愛する家族の暮らす故郷へ戻り、仕事を継続している。
日本でもコロナの影響で多くの企業がテレワークを導入し、インターネットが発達したいまの時代、必ずしもオフィスにいる必要がないということがわかったと思う。書類処理も、オンラインでできるサービスがたくさんある。
休暇と仕事が必ずしも一緒になったかたちでなくても、いまは個人個人が働きやすい環境で生き生きと働くことが、企業にとっても利益につながっていく時代だ。企業が個人の生活や気持ちを大切にすることが社会の発展において1番重要なことであると、みんな気づいているはず。
ワーケーションは一つの選択肢にすぎない。これをきっかけに多様な働き方が日本でも広がっていくことを願っている。
※1
休暇の合間に働くワーケーション、JALがハワイ実証実験 特集・MINDSの働き方改革(前編)
https://www.aviationwire.jp/archives/196373
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