Photo by WaterAid/ Khaula Jamil
水と衛生専門の国際NGOウォーターエイドは、「世界水の日」にあたる3月22日に合わせ、調査レポート「水と気候:拡大する都市住民のリスク」を発表した。レポートによれば、気候災害のうち9割は、水が少なすぎるもしくは多すぎることが原因となっているという。
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水と衛生専門の国際NGOウォーターエイドは、世界でもっとも人口の多い100都市における、気候変動と水に関する調査レポート「水と気候:拡大する都市住民のリスク」を、3月21日(金)に発表した。
Photo by WaterAid/ Khaula Jamil
「ブリストル大学」および「カーディフ大学」の研究者とともに実施された本調査は、各都市の社会面と水インフラ面における脆弱性を、40年以上にわたる気候災害に関するデータとともに比較し、どの都市やコミュニティが気候変動に対し脆弱であり、対処能力が低い状態にあるかをまとめたものだ。
ウォーターエイドはすべての気候災害のうち9割は、水が少なすぎる、もしくは水が多すぎることが原因で引き起こされていると発表。洪水や干ばつなどの気象関連の災害は、過去50年のあいだに400%増加しており、人々が清潔な水を利用し衛生的な環境で暮らすこと、そしてコミュニティが気候変動の影響に対応することが困難になっていると警告している。
都市が気候変動に対し脆弱であれば、拡大を続ける都市人口が深刻化する洪水や干ばつのリスクにさらされ、人命を失うことにつながる。都市部の深刻な洪水により衛生設備が破壊されると、「コレラ」や「腸チフス」などの感染症を蔓延する可能性があるのだ。また、干ばつが起これば、多くの人々が生きるために必要な水を得られなくなる可能性がある。
Photo by WaterAid/ Sam Vox
以下は同調査レポート内に記された主な報告である。
・検証された都市の15%に、干ばつで水源が枯渇したすぐ後に、洪水でインフラが冠水するという「ウィップラッシュ(気象の急激な変動)」が見られた。極端な感想と湿潤の事象がどちらも大幅に増加しており、立て続けに発生した場合、地域ではそれに備えたり被害から回復したりすることが困難となる。アジア、中東、アフリカ、アメリカなど、世界中にこうした都市が見受けられる。
・南アジアと東南アジアは湿潤化の傾向がきわめて大きい。世界でもとくに人口の多い都市が集まっている地域であり、大規模な洪水発生の可能性が高まっている。
・ヨーロッパ、中東、北米は乾燥が進む傾向。長期的な干ばつが頻繁に発生する可能性も高まっている。
・調査した都市のうち20%以上で異常気象の逆転現象が起きている。極度の湿潤気候へ転じた都市が約13%ある一方、約7%は極度の乾燥気候へ向かっている。
・社会やインフラが脆弱なうえ、洪水や干ばつなどが重なった結果、主に南アジアと東南アジア、北アフリカと東アフリカにリスクが集中している。南アジア・東南アジアでは湿潤極値が上昇し、北アフリカ・東アフリカでは、湿潤極値と乾燥極値のいずれも上昇している。
ウォーターエイドのグローバルポリシーおよびキャンペーンディレクターであるソル・オユエラ氏は、次のように発言した。
「全世界に“デイ・ゼロ(都市から水資源が枯渇する日)”の脅威が迫っています。すでに水不足に直面している40億人がその限界に達し、その水に依存する食料、健康、エネルギー、自然、経済、安全保障が追い詰められたら一体どうなるのでしょうか? この調査レポートは、気候変動の影響による災害が全世界の都市で起きており、しかもその影響をもっとも受けるのが低所得国の都市であるということにスポットライトを当てています。清潔な水が安定して供給されれば、すべてが変わります。 それがあれば、コミュニティは自然災害から立ち直り、健康を維持しながら予測不可能な未来に備えることができるのです」
お問い合わせ先/特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
http://www.wateraid.org/jp
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