ファストファッションの代替になる新ブランド「TEN」 エシカルファッションの入門服に

TENのキービジュアル

Enter the E株式会社が、新ブランド「TEN」を発表。エシカルファッションを着たくても着れなかった人、ファストファッションを卒業したくてもできなかった人に向けて「10年着るってかっこいい」という価値観を提案するブランドを目指す。

ELEMINIST Press

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2023.07.18

“ファストファッションの卒業服、エシカルファッションの入門服” 新ブランド「TEN」

Tenキービジュアル

日本最大級のエシカルファッション専門セレクトショップを運営する、Enter the E株式会社がファストファッションが生んだラナプラザの事故から丸10年の4月24日に、バングラデシュの工場をパートナーとした新ブランド「TEN」を立ち上げた。

工場と直接連携することで透明性を担保。不要なコスト削減をし、10年着続けられるサステナブルなアイテムを作成。また、着古したアイテムを染め直しや修理、水平リサイクルも行う。

「TEN」はトレンドや速いサイクルのファストファッションとは真逆の普遍的なベーシックアイテムを提供し、「10年着ることがかっこいい」という価値観を前面に、次の10年のファッションを創出していく。

発売は2023年秋を予定しており、現在クラウドファンディングで、フーディー、スウェットシャツ、ロンT、Tシャツといったアイテムの先行販売受付を行っている。

展開予定アイテム

「TEN」プロジェクト

TENキービジュアル

サステナブルファッションへ関心は高まっている一方、具体的な行動を移せている人は少ない。エシカル・サステナブルファッションの価格やデザイン、サイズなど商品にまつわるハードルが高い現状がある。

エシカルファッションはつくる人への正当な賃金、環境に配慮した原料や適性な生産量、生産工程、CO2を削減したり、資源循環を意識することで、原価(商品の元の値段)だけでファストファッションの1.3倍から2倍のコストがかかってしまう。

ファストファッションに慣れてしまった人にとっては、高い理由や倫理的な生産背景でつくられたとしても知っていても、なかなか手を出しにくいのかもしれない。

そこで、Enter the Eではファストファッションの卒業服 兼、エシカルファッションの入門服をつくることを決めた。ファストファッションの代替をつくろうとしている。

商品はすべてユニセックス。オーガニックコットンやリサイクルコットンでつくり、使用後の商品は回収して、新たな商品に循環させる。

「TEN」メッセージムービー

「TEN」の8つの特徴

流行りや柄などを積極的に取り入れない「ベーシックユーザー」の悩みに特化している。

1. 10年使えるデザイン、耐久性

10年使えるデザイン、耐久性

Tシャツやスウェットなど、ふだんから使う頻度が高いベーシックアイテムは伸び縮みが速いという点がある。その結果、ファストファッションを手にする人も多く、廃棄が増えてしまう。

そこでTENは、クタリや伸びやすい箇所の補強や細かい番手と編み方にこだわり、耐久性のある商品を実現。

2. シンプル+1

シンプルなのに量産ブランドとは異なる質感やフィット感に設計。毎日着てしまいたくなる美しいフォルムや着心地で、着た瞬間1ワザ、1サビ、1テマ、1アジ感じることができる。

人が心地いいと思う重さを研究し、重すぎず厚すぎない、肌なじみがいいのに透けない、インナーにもトップスにもなる、という条件を満たすため、オンスやGSMという重さ/厚さの研究を行った。

3. その人の骨格に合う3つのパターン

その人の骨格に合う3つのパターン

「TEN」はフーディーやTシャツ、ロンTなどベーシックなアイテムだけ揃える一方、それぞれのアイテムはサイズ展開と別に「パターン」を3種類、骨格に合わせて展開。

10年着ていただくために、その人が美しく見える形への追求により首の太さや長さ、肩の広さや胴の厚みなどにあうパターンを選ぶことができる。

4. 着古した「TEN」のアイテムは染め直しや水平リサイクルに

着古した「TEN」のアイテムは染め直しや水平リサイクルに  31文字 下書き

Tシャツなど着る頻度が高ければクタリや汚れはどうしても出てしまうが、着古したものは人にも譲れずなかなか中古で買い取ってもらえないため、捨てざる終えない状況が多い。

「TEN」ではそんなリアルに応えるために、着古した「TEN」の商品は回収し、反毛しまた繊維にして新しい「TEN」の一部に水平リサイクルする。さらに、回収したTENの商品と新品のTENの商品に変える場合は、5%ほど安く購入することができる。

5. 簡単リサイクル設計

簡単リサイクル設計

近年衣類の脱プラと同じくらい重要視されている「脱混紡素材」。現代の衣料の約6割は混紡素材といわれるもので、例えばコットン×ポリエステルなど天然繊維×化学繊維になっている。

洋服の素材は着る側の快適性や扱いやすさ、ファッション性や機能性を重視し、混紡素材といわれるものが発展してきたが、普及した結果、大半が元の形には戻らないカスケードリサイクルに限られてしまうというデメリットに直面している。

資源循環が叫ばれているいま、こうした素材の多様性がゆえに、それぞれの素材の分離・分解が困難で資源循環やリサイクルを妨げ、廃棄を促す大きな要因の1つとなっている。

そのため現在繊維から繊維や、服から服の水平リサイクル率は世界で1%未満だが「TEN」の素材はそういった背景を踏まえ、企画の際から脱混紡素材を掲げ、混紡素材を使わず、服から服への簡単リサイクル時代の先頭を切ってすすめていこうとしている。

6. バングラディシュの地でエシカルなロールモデルをつくる

バングラディシュの地で働く女性

素材はすべてオーガニックコットンと水平リサイクルされたリサイクルコットンを使用することにより地球環境の負荷はもちろん、農薬を使わないため農家さんの健康被害を防ぐ。

原料調達、縫製を行うパートナーであるバングラディシュのBLJアパレルは、働く人々に安全な労働環境、ディーセントワークを叶える配慮ある工場で、児童労働撲滅に努めるだけではなく、誰もが働ける環境を整えるためにシングルマザーや縫製未経験の方を積極的に受け入れている。

彼らとともにバングラディシュの地でつくる人にも環境にも配慮したエシカルなものづくりのロールモデルをつくる。

7. ユーザーと共同開発

TEN CREW

TENの商品はオーダーメイドに近い感覚を得ることのできる「半既製品」と言える。なぜなら商品の制作時からユーザーにプロジェクトへ参画してもらっているからだ。

ユーザー視点の無駄のないものづくりと開発プロセスを公開することで透明性のある商品づくりを目指す。

ユーザーは「TEN CREW(テンクルー)」として、伝道師やプレスの役割を担い、先行で商品企画からインタビューを受けたり、サンプルを体験することでユーザー目線のよりよい商品を具現化する。

TEN CREWがモニターした様子は工場に共有し、CREWは工場のスタディツアーを通じて距離を縮め、お互いの透明性と関係性を構築し、工場メンバーのディーセントワークにつなげていく。

8. サステナブルに関心のある企業、学校、自治体、飲食店などのグッズにも対応

TENは今後「to B」「to G」にも力を入れていく。「1年しか着ないイベントTシャツがもったいない」「ライブグッズやスタッフウェアなどサステナブルな製品を取り入れたい」などといった声に応えるために、企業・学校・NPO・アーティスト・自治体・省庁・飲食店などを対象に、グッズの生産から回収、再利用し、再販売など一元して使用するアフターチェーンまで対応していく。

お問い合わせ先/Enter the E株式会社
https://enterthee.jp/

※掲載している情報は、2023年7月18日時点のものです。

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