グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタなど有名ブランドを擁するグローバルラグジュアリーグループ「KERING(ケリング)」は、生物多様性を守る戦略を発表するとともに、目標と具体的施策を決定した。原材料の生産のあり方に着目し、設立した基金で環境再生型農業への転換を目指す。
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グローバルラグジュアリーグループ「KERING(ケリング)」は7月1日、生物多様性に関する戦略を発表し、2025年までに生物多様性における「ネット・ポジティブ・インパクト」を実現するための目標を発表した。
「ネット・ポジティブ」とは、全体でプラスとなることを意味する。世界に広がるケリンググループのサプライチェーン全体において、生物多様性の損失を最小限に抑えるだけでなく、プラスにするための施策を実行していく方針だ。
生物多様性の劣化の回避、健全な土壌を支えるサステナブルな環境再生型農法の推進、炭素の吸収・固定において欠くことのできないグローバルな生態系や森林の保護を促すことを目的としている。
具体的な取り組みとしては、サプライチェーンにおける原材料の生産までさかのぼり、2025年までに生産に要する土地面積の約6倍にあたる土地を再生・保護する活動を行う。
また、サプライチェーンを展開する地域において、100万ヘクタールの農地および放牧地を環境再生型農業に転換することを目指し、取り組みをサポートする基金「Kering for Nature Fund」を設立した。
この基金では環境負荷がもっとも高いとされる、レザー、コットン、カシミア、ウールなどの原材料に重点を置き、ファッション業界の原材料生産のあり方を変え、自然生態系と調和する農法へシフトすることを促す。
さらに生物多様性の保全、炭素の吸収・固定、生息環境の改善を支援するプログラムを通じ、2025年までにサプライチェーンの外部にある極めて重要で代替可能な生息地を、100万ヘクタールにわたって保護する。
これらのコミットメントに加え、調達や運営における多数の具体的目標が新たに設定されており、これらが一体となってケリングのサプライチェーンにおける生物多様性の保護を目指す。
チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外責任者のマリー=クレール・ダヴーは、取り組みについて次のように述べている。「企業は自然に対して好影響を与える“nature-positive economy”へ移行する上で、大変重要な役割を担っています。
2021年に生物多様性に関する世界目標が策定されるのを前に、ケリングの戦略が科学界と足並みを揃え、私たちが率先して正しい道を進み、急務とされる行動をとっている、ということが重要なのです」(一部抜粋)
グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタなど名だたるブランドを擁するケリング。ファッション業界を牽引するグローバルグループが動き始めれば、追随する企業や団体も増えるだろう。ケリングだけの実績にとどまらず、他業界にまで影響を与えるようなムーブメントになることを願いたい。
問い合わせ先/株式会社ケリングジャパン
https://www.kering.com/jp/
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