ギフテッドの定義や特徴 特異な才能を持つ子の教育支援についても解説

地図を読む男の子

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突き抜けた才能を持つ子どものことをギフテッドと呼ぶ。ギフテッドの定義や捉え方はさまざまだが、IQの高さや並外れた知能の発達ゆえに問題を抱えるケースも少なくない。本記事では、ギフテッドの特徴や抱える問題、教育支援についてまとめている。

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2023.05.31
SOCIETY
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ギフテッドとは?

熱心に本を読む女の子

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ギフテッドとは、突き抜けた才能を持つ子を指す言葉。贈り物を意味する「ギフト」を語源とし、「神からの贈り物」などと表現されることもある。能力に恵まれた人や与えられた人、天才などと捉えられることも多い。

ギフテッドは、いわゆる早期教育で身につく能力ではなく、生まれつきの特質である。アメリカの全米ギフテッド教育協会によると、アメリカの子どもたちの約6%である約300万人がギフテッド教育を必要とする対象だとされている。(※1)

ギフテッドの定義

ギフテッドの定義は国や機関によって異なっており、統一した判定基準がないのが現状だ。一方で、1972年に米国議会に提出された「マーランド・レポート」によると、ギフテッドの主な特徴として以下のように示されている。(※2)

・とびぬけて高い才能ゆえに高い実績を上げることが可能であること
・標準的に提供されるのとは異なる教育プログラムが必要であること
・潜在的な可能性のある子どもを含むこと
・知的能力、特定の学問領域・創造的思考、リーダーシップ、ビジュアル・アーツ、精神運動機能などにおいて才能を発揮すること

また、アメリカの連邦政府の定義では、ギフテッドは、「知性、創造性、芸術性、リーダーシップ、または特定の学問分野で高い達成能力を持つため、その能力をフルに開発させるために通常の学校教育以上のサービスや活動を必要とする子どもたち」を指している。(※3)

なお、文部科学省では2023年度から「特異な才能のある児童生徒」の支援を本格化している。「同年齢の児童生徒の中で、知能や創造性、芸術、運動、特定の学問の能力(教科ごとの学力等)等において一定以上の能力を示す者」と対象を定義している。(※4)

上記を鑑みても、ギフテッドの才能の範囲は、言語や数学などの学習能力のみならず、幅広い分野や対人関係にもおよぶことがわかる。

サヴァン症候群との違い

時計を触る男の子の後ろ姿

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ギフテッドと混同されやすい特性に、サヴァン症候群がある。サヴァン症候群とは、精神障害や知的障害を持ちながら、特定の分野において突出した能力を発揮する症状や人を指す。特定分野において並外れた記憶力や再現力がある一方で、それ以外の学習能力が劣っているのが特徴とされる。(※5)

ギフテッドは、医学的な観点ではなく、教育的な概念として用いられることが多い。ギフテッドの特性は個人差が大きいが、しばしば英才型と2E型の2つに分類される。

英才型は、全般的に能力が高いのが特徴。一方で、2E型は、秀でた才能と発達障害をあわせ持つ。2Eは「二重に特別な(Twice Exceptional)」という意味を持ち、才能と障碍の両面に関わる特別なサポートを要するのが特徴だ。(※6)

ギフテッドの特徴とは

カラフルなおもちゃで遊ぶ女の子

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生まれつき、知性や能力が高いギフテッド。能力を発揮する時期は、乳幼児期から小学生以降までさまざまだ。以下では、文部科学省に寄せられた具体的な事例をもとに、ギフテッドの主な特徴を3つ紹介する。(※7)

言語の習得が早く、年齢の割に語彙が豊富

言語の習得が早く、乳児期から、聞こえてくる音の口まねが得意な傾向にある。幼少期から、年齢とはかけ離れた大人のような語彙を用いて話をするのも特徴のひとつ。理論的に話を組み立て、説明することも得意だ。幼い頃から絵本を一人で読めたり、図鑑の内容を暗記していたりなどの行動を見せることもある。

高い集中力を発揮し、徹底的に理解することを求める

集中力の高さや理解の徹底もギフテッドの特徴だ。ひとつのことに熱中し、時間を忘れて没頭する行動が見られる。また、興味のあることを深く追求して実行する力を持ちあわせている傾向にある。幼少期から哲学や医学、政治など、特定の分野に強い関心を持ち、徹底的に情報収集を行うケースも見られる。

身体・情緒・知的面の発達がアンバランス

ギフテッドは、身体や情緒の発達と知能がかけ離れていることから、しばしば年齢相応ではないと感じられることがある。複雑な思考や生まれ持った洞察力ゆえの繊細さを持ちあわせていることも特徴として挙げられる。

ギフテッドが抱える問題点

机と椅子が並べられた教室の様子

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天才とも捉えられるギフテッドだが、同世代との違いが大きく、周囲になじめないケースも少なくない。集団生活がはじまると、生きづらさを感じて不登校になる子どもがいるのも現状だ。以下では、ギフテッドが抱える問題点を3つ紹介する。

感覚が敏感なため、疲れてしまう

複雑な思考や洞察力が特徴のギフテッドは、周囲の動きを敏感に察知しやすい傾向にある。ギフテッドには過度激動と呼ばれる心理特性があり、情報や刺激に対する感受性が高いとされている。(※8)

周囲が気に留めないことが気になったり、物事を受け流せなかったりするため、集団生活において、人一倍疲れてしまう。

同年代とのギャップが大きく、つまらなく感じる

突出した能力を持っているギフテッドにとって、学校の授業が簡単すぎてつまらなく感じるという悩みが発生する。また、強いこだわりがあることで、同年齢の友人とのコミュニケーションが困難になることも。

また、ギフテッドはルーティンワークが得意でない傾向にある。自身の思考に没頭し、周りに合わせた行動に違和感を感じるケースも少なくないのだ。

周囲に理解してくれる人がいない

周りとの違いから孤独感を募らせるギフテッドも多い。本人が周囲との違いに気づき不安になるケースや、友人や教師に理解されずにストレスを抱えるケースが考えられる。「周りに合わせなければいけない」という考えから、自分を表現することを諦めてしまう場合もあるだろう。

ギフテッドの教育や支援

パソコンに向かっている人の手元

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ギフテッドの教育においては、本人の気持ちに寄り添った形で能力を伸ばすためのサポートが不可欠だ。ギフテッド教育が進んでいるアメリカでは、ギフテッドを集めた学級をつくる取り出し方式や飛び級制度が取り入れられている。また、韓国では、英才教育振興法により、特定の子を選抜して育てることを仕組み化している。

日本政府は、2023年度から「特定分野に特異な才能のある児童生徒」に対する支援を本格的にスタートさせた。以下では、国内でのギフテッド教育や支援に関する取り組みを紹介する。

多様な学習環境の充実

山形県天童市立天童中部小学校では、子どもが主体的に学びを進められる工夫を施している。例えば、総合的な学習の時間には、児童が各自の興味や関心に基づいて探求課題を進める「個人総合、個人研究」が行われている。

また、学びのゴールに合わせて自分で計画を立て、学習を進める「単元内自由進度学習」を採用。実験を行ったり、ICTを活用したりと、学び方のスタイルもさまざまだ。個々のプランやペースを尊重し、能力を見出す方針だ。(※9)

同校以外にも、教育委員会やNPOが多様な学習の場の拡充を進めている。集団生活になじめない生徒に対して新しい学びの場を提供したり、居場所づくりを行ったりと、団体によって方向性はさまざまだ。

さまざまな教育プログラムの広報活動

「地域の学び推進機構 学びのポイントラリー」によって、自治体や地域施設、民間企業などの教育プログラムを一覧化して広報する取り組みが行われている。プログラムは、市民生活、文化生活、職業生活、教科学習の補充・発展の4種類。参加に応じてポイントを得られ、認定証が発行される仕組みだ。

学びの場への参加を促す狙いで行われており、児童生徒は幅広い分野から自分に合った内容のプログラムを探しやすくなる。(※10)

ギフテッドの個性を尊重し、誰もが学びやすい環境へ

ギフテッドは、突出した能力ゆえに「天才」と称される一方で、彼らにしかわかり得ない悩みを抱えていることもある。私たち一人ひとりに個性があるように、ギフテッドの特性も人によってさまざまであり、個々に合ったサポートが必要だ。

ギフテッドに対して必要なのは、特別視ではなく、受け入れることではないだろうか。それぞれが生まれ持った特性を尊重して、伸ばし合う。そんな環境の、誰もが学びやすい社会の実現を切に願う。

※掲載している情報は、2023年5月31日時点のものです。

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