2月16日(木)サステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS」に、土の中に潜り込んで本を読み、知を蓄え、想像力を養うことのできる新たな施設「地中図書館」がオープンする。入館予約は2月9日にスタート予定だ。
ELEMINIST Press
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2月16日(木)、千葉県木更津市にある約9万坪の広大な敷地で「農」「食」そして「自然」の循環を体験してもらえるサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」に、中村拓志氏(NAP 建築設計事務所)の設計による新たな施設「地中図書館」がオープンする。
KURKKU FIELDSは「育てる・つくる・食べる・循環する」といった“ひとが本質的に生きる心地よさと喜び”を感じてもらう場所を目指し、広大な土地を10年前からゆっくりとすこしずつ育ててきた。
昨年秋には宿泊施設“創る暮らしを体感するvilla”「cocoon(コクーン)」がオープンし、自然と生物と人の営みにまた新たなかたちが生まれている。
「地中図書館」はその名の通り土の下に、ひっそりと隠されたように存在する図書館だ。すり鉢状の特徴的な形をした土地の中腹にあって、大地にそびえ立つのではなく、洞窟のように地中に横たわる空間。
Photo by Kohei Omachi / Yuka Yanazume
人々はKURKKU FIELDSをさまようなかで、突如入り口を見つけて大地のなかへと潜り込み、思いがけない空間と本に出会うことになる。
オープン時は約3,000冊を収容し、自然や農的な暮らしに関するものを中心に詩、哲学、歴史、宗教、科学や経済にも独自の広がりやつながりが感じられる選書に。本棚の間を抜けると天井から自然の光が差し込むホールが現れる。
cocoon、TINY HOUSE VILLAGEの宿泊者は閉館後の17:00以降も、やさしい明かりがこぼれる幻想的な地中図書館で夜の特別な時間を過ごすことができる。 土のなかの微生物を栄養にして植物や野菜が成長をするように、人々が地中に潜り込んで本を読み、知を蓄え、想像する力を養い、再び大地を踏み締め未来へと進む。
「地中図書館」は、自然の叡智を学びながら想像力豊かに未来へと歩を進める人々の支えになるような場所を目指す。
設計を担当した中村氏は次のように、コメントしている。「晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書をする。「地中図書館」はそんな人のために構想された。平坦で乾いた敷地は、建設残土で埋め立てられた谷の上にあった。
そこで我々は、ここを緑豊かな谷地に戻すこと、そして建築は作土層を占有するのではなく、植物と土中微生物達の繁栄の下に慎ましく存在すべきだと考えた。大地はあらゆる生命の源、母性の象徴として捉えられてきた。
谷筋の小さな割け目の奥にヴォイドを設けることで、耕す人の休息にふさわしい、やすらかな居場所をつくりたいと考えたのである。 大地の下は洞窟のような空間で、本棚が取り囲む。梁や柱といった建築的要素を排し、外周部の土留め壁と袖壁からRCボイドスラブを片持ちで跳ねだしている。
内部の天井高は大地の傾斜に応じて決まるため、子どもの背の高さに合った天井の低い場所や、袖壁の間に小さな隠れ部屋が生まれた。 床と壁、天井は土仕上げでなめらかにつながり、スラブ小口の鉛直面まで植え込まれた芝がモサモサと下垂し、空間に湿り気を与えている。 これは灌水と保水のバランスを季節によって調整可能なディテールとなっている。
最深部には、読み聞かせのためのホールがある。ここは、未来のために育む場をイメージした。芝の大地を大きく孕ませた子宮的空間には、階段状の席を本棚の襞が取り囲み、農園で働く人たちの蔵書や子どものための本が並ぶ。
本棚の40mm厚の縦桟は、そのまま頭上に伸びて空間を支えている。細い縦桟は隣を支え、その縦桟はさらに隣に支えられることを繰り返すと、一周してはじめて大きな空間が支えられる。相互扶助の連鎖の先に、強い個人だけではとうてい成し得ない社会的空間が立ち上がるのだ。このKURKKU FIELDSの農村的共同体を象徴する架構中央のトップライトには、青い空と雲に包まれた地球のような像が光を放つ。大地と人間の叡智に包まれながら、地球を想う図書館である」
お問い合わせ先/KURKKU FIELDS
https://kurkkufields.jp/
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