ホタテ貝殻からできた環境配慮型ヘルメット「HOTAMET」発売

HOTAMET

株式会社TBWA HAKUHODOは、日本初となるホタテ貝殻からできた環境配慮型ヘルメット「HOTAMET」を開発した。ホタテ貝殻と廃棄プラスチックを組み合わせたリサイクル新素材「カラスチック」を使用することで、地域の廃棄物問題解決の一助となることが期待されている。

ELEMINIST Press

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2022.12.21
EARTH
編集部オリジナル

地球を救うかもしれない… サキュレアクトが出合った「未来を変える原料」と新たな挑戦

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外敵から身を守ってきた貝殻が、人と地球を守る ホタテ貝殻からできたヘルメット「HOTAMET」

HOTAMET

株式会社TBWA HAKUHODOが企画・開発した、日本初となるホタテ貝殻からできた環境配慮型ヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」が、甲子化学工業株式会社と北海道猿払村から発表された。12月14日より、「応援購入サイト Makuake」にて先行予約販売を開始している。

国内の水産物のなかでも輸出額がもっとも多いホタテ。猿払村はホタテ水揚げ量日本一に何度も輝く、国内有数の生産地だ。そうしたなか、猿払村の位置する宗谷地区では、ホタテを加工する際に、水産系廃棄物として貝殻が年間約4万トンも発生する。(北海道水産林務部水産局水産振興課「令和3年度水産系廃棄物発生量等調査」による)

猿払村内、堆積されているホタテ貝殻

猿払村内、堆積されているホタテ貝殻 (2022年8月撮影)

2021年には、ホタテ貝殻再利用を目的とした国外への輸出が途絶えてしまったことを機に、地上保管による環境への影響や堆積場所の確保などが地域の社会課題となってきた。

甲子化学工業株式会社とTBWA HAKUHODOは、同村の余剰ホタテ貝殻の状況を解決すべく、ホタテ貝殻の主成分が炭酸カルシウムであることに着目し、新素材の材料として再利用するための開発に着手。ホタテの貝殻も、村を支える重要な資源として捉え、再資源化の取り組みを開始した。

貝殻の本来の役割は「外敵から身を守ること」であり、ホタテ漁は「危険と隣り合わせであったこと」から、ホタテ漁師の安全を守るヘルメットをホタテの貝殻から作れないか?そんな着眼点から生まれたのが「HOTAMET」だ。

近年は北海道でも大型地震が発生し、異常気象による大雨・雪害など災害リスクが高まっている。そこで、ホタテ漁師の人たちに活用してもらうだけでなく、村民のみなさんにも身を守る防災ヘルメットとしても活用してほしいと考え、製品化に至った。

ホタテ貝殻×廃プラスチックの新素材「カラスチック」開発

カラスチックロゴと素材写真

HOTAMETは、猿払村から余剰貝殻の提供支援を受け、主成分が炭酸カルシウムであるホタテ貝殻とリサイクルプラスチックをベースに、甲子化学工業株式会社が大阪大学 宇山浩教授とともに開発した新素材を採用している。

総合広告会社のTBWA HAKUHODOは、ホタテ貝殻と廃棄プラスチックを組み合わせたリサイクル新素材「カラスチック」の名称およびロゴデザインを開発。

「カラスチック」は新品のプラスチックを100%利用するのと比較して、約50%のCO2削減に寄与。石灰岩由来のエコプラスチックと比較して、約20%のCO2削減に寄与する。また、ホタテ貝殻をプラスチックに混ぜ込むことで、強度(曲げ弾性率)が約33%向上する。

さらに、廃棄物を活用したリサイクル素材のため、世の中の廃棄物を減らすことができ、地域の廃棄物問題解決の一助となることが期待されている。

貝殻から着想を得たバイオミミクリーをデザインに採用

ホタテ貝のリブ構造

自然界の仕組みを応用し、技術開発に活かすことを「バイオミミクリー」という。「HOTAMET」は、その考えに基づき、素材の一部であるホタテ貝の構造を模倣した、特殊なリブ構造をデザインに取り入れている。

その結果、少ない素材使用量でありながら、リブ構造がない場合と比較して、約30%も耐久性を向上。素材開発から、設計に至るまで、環境への負担が少なく、持続可能性に配慮したプロダクトになっている。

HOTAMETを被ったさまざまな人

さらに、カラーバリエーションは、CORAL WHITE(白)、SAND CREAM(ベージュ)、DEEP BLACK(黒)、OCEAN BLUE(青)、SUNSET PINK(ピンク)といった海にまつわる計5つのカラーをラインアップ。防災用、作業用、自転車での通勤通学用など、さまざまな使用シーンが想定される。

防災用品としての備蓄やふるさと納税返礼品としても導入 エコプラスチックの活用を推進

HOTAMETを被った漁師

猿払村内では、約270名の漁師が漁業に従事し、日常的にプラスチック製ヘルメットを着用している。2023年春頃より「HOTAMET」を試験的に利用していくことで、エコプラスチックの活用を推進していく。

また、防災用品としての備蓄や、一般向け販売、ふるさと納税返礼品としての導入など「HOTAMET」を順次展開していく予定だ。本取り組みを通じて、再利用素材の積極的な活用や村民の防災意識の啓発を推進していくとしている。

並べられたHOTAMET

TBWA HAKUHODO Creative Directorの宇佐美 雅俊氏は次のようにコメントしている。「日本人がもっとも食べる貝、ホタテ。それは、もっとも貝殻が捨てられる貝でもありました。

貝殻を廃棄物ではなく、資源として捉えた時、そこにあったのは、サステナブルな素材としての新しい可能性。その第一弾がHOTAMETです。

外敵から身を守ってきた貝殻が、今度は人の命を守るものへ。海の廃棄問題を解決し、漁業を守る新しい環境保全の形として、このプロジェクトが社会に広がっていくことを願っています」

「HOTAMET」プロダクトムービー

お問い合わせ先/株式会社TBWA HAKUHODO
https://www.tbwahakuhodo.co.jp

※掲載している情報は、2022年12月21日時点のものです。

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