スコットランドのシングルモルト・ウイスキー「GLENMORANGIE(グレンモーレンジィ)」は、ブランドのシンボルであり絶滅危惧種でもあるキリンの保全活動を6月21日にスタート。キリン保全財団およびスコットランド王立動物学協会と3年のパートナーシップを結びサポート活動を進める。
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スコットランドで生まれたシングルモルト・ウイスキー「GLENMORANGIE(グレンモーレンジィ)」は、ブランドの一つのシンボルとして表現してきたキリンの保全活動を、世界キリンの日である6月21日にスタートする。
キリンは絶滅危惧種に指定されており、キリン保全財団およびスコットランド王立動物学協会と3年に渡るパートナーシップを締結した。
活動は2022年末までとし、さまざまなサポートを展開していく予定だ。2020年末にはアイコン商品である「グレンモーレンジィオリジナル」をキリン柄のケースに入れたギフトボックスの発売を計画している。グレンモーレンジィのキリン保全活動を象徴する限定商品となる予定だ。
完璧すぎるウイスキーと評される「グレンモーレンジィ」。そのこだわりやフルーティで華やかな味わいは、ウイスキービギナーからエキスパートまで多くのファンを魅了してきた。1843年の創業時から、スコットランドでもっとも高さのある蒸留器を使用しており、その高さは大人のキリンとほぼ同じ5.14mほどもある。
背の高い蒸留器は、繊細で華やかなアロマを持つ原酒を抽出することができ「グレンモーレンジィ」の味わいの大きな特徴をつくりだしている。こうした理由からキリンはブランドのシンボルとなってきたのだ。
アフリカの南部を中心に生息するキリンは複数種いるが、過去30年間で生息数は30%以上も減少している。約11万頭弱という頭数は、多いように聞こえるかもしれないが、アフリカに生息するゾウと比較するとわずか1/4ほどしかない。
国際自然保護連合(IUCN)が定める絶滅危惧の恐れのある、種のレッドリストにも含まれており「絶滅寸前」に指定された種もいる。アフリカの大草原で葉を食む優雅なキリンの姿は、はるか昔から人々を癒してきたにも関わらず、絶滅の危機に瀕していることはあまり大きく取りざたされていない。
さまざまな保全活動が取り組まれ、近年では少しばかりの頭数の回復は見られるものの、大きな改善への道のりはまだ遠い。専門家が「キリンは静かなる絶滅を迎えている」という警笛を鳴らしているが、人口増加や政治的背景、密猟や気候変動などにより生息地はますます脅かされる一方だ。
キリン保全財団は、国際動物保護団体として、アフリカ全土にわたり、政府や大学機関、ローカル団体や国内外の保全団体とともに、キリンの保全管理やその支援を行なっている。「グレンモーレンジィ」は今回のパートナーシップにおけるサポートとして、獣医、エキスパートスタッフ、設備への投資を行う。
投資により、キリンたちの生息環境の整備や密猟からの保護を実現。キリンたちにGPSを装着し、生息パターンをモニタリングし研究を行う。さらにアフリカをベースにしている保全活動家たちのトレーニングや活動サポートも進める予定だ。
もう一つのパートナー団体であるスコットランド王立動物学協会は、野生動物の保護と研究を行う慈善団体で、エディンバラ動物園とハイランド ワイルドライフパークを所有している。今回サポートとして、期間内にエディンバラ動物園にキリンを迎え入れ、生態研究をするとともに、世界にキリンの絶滅危機状況を発信していく。
さらに、エディンバラ動物園は世界でも唯一の遺伝子研究設備を備えた施設であることから、野生キリンの生態や繁殖についての研究を進め、その結果をキリン保全財団の活動に役立てていく方針を決めている。
世界中の誰もが幼い頃から、キリンの首の長くて大きな姿に魅了され、つぶらな瞳に癒されてきたことだろう。当たり前に存在し続けると思っている愛くるしい動物は、いまこの地球上から消えようとしている。理由はさまざまであれ、その大半はわたしたち人間によるものだろう。
ウイスキーは動物と直接関わりのあるものではない。しかし長く愛され続けたブランドの精神がこうした活動を生み、同じ地球に生きる動物の種を守ろうとする活動はすばらしいことだ。ウイスキーやキリンに限らず、こうした輪が広がり、地球は人間だけのものではないことを多くの人に知ってもらいたい。
問い合わせ先/グレンモーレンジィ
https://www.mhdkk.com/brands/glenmorangie/sp/
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