Photo by タビオ株式会社
靴下専門店を運営するタビオ株式会社は、奈良県の休耕田(耕作放棄地)を活用して綿花を育てるプロジェクトを2009年より開始してきた。年々収穫量や品質の安定が図れるようになり、プロジェクトによって育てられた綿を使った靴下を、8月18日よりふるさと納税の返礼品として販売開始する。
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「靴下屋」や「Tabio」などの靴下専門店を運営するタビオ株式会社が、休耕田(耕作放棄地)を活用して育てたオリジナルコットンを使い、編み上げた靴下を8月18日よりふるさと納税の返礼として販売開始する。
靴下の生産日本一を誇る奈良県では、畑作業ができなくなったまま放置されている休耕田の増加が問題視されている。タビオは2009年より、国産靴下の一大産地の街である奈良県・広陵町の休耕田を利用し、より緑のあふれる綿花畑にすることで土地の活用を行いながら、理想のコットンを開発しようという取り組みを行ってきた。
栽培している綿は、かつて英国王侯貴族により門外不出とされてきた幻の糸で、繊維の宝石と呼ばれる「シーアイランドコットン」。シルクのような光沢と、カシミヤのような肌触りが特徴だ。タビオは、この綿を種子から育てることにこだわった。
タビオ株式会社 前代表取締役会長の故・越智直正氏は、常々社員たちに「理想の靴下をつくりたい、自分たちの手で『原料』から研究したい」と語っているという。利益や効率性だけではなく、靴下にすべてを捧げるタビオの想いが、このプロジェクトの根底にあるのだ。
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育てる品種が決まったのは、プロジェクトが始まって6年後のこと。いい靴下をつくるために、さまざまな品種を試され、日本古来の和綿も含め、世界中の綿の研究と試験を繰り返し、長い年月をかけてようやく決定した。
品種が決まった後も、品種の本来の産地とは異なる気候の奈良で、本来の良さが出るように育てるために試行錯誤は繰り返された。さらに完全無農薬、オーガニック農法栽培のために、除草や害虫の被害に悩まされることも乗り越え、年々収穫量や品質の安定が図れるようになっていった。
「シーアイランドコットン」は栽培期間が長く、綿花も小さいので収穫量が課題とされるなか、2019年は目標だった1,000㎡あたり100kgを達成。裁判面積も、奈良県の広陵町等を中心とした休耕田で2021年時点で約8ha(6トン/年)にまで拡大した。
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化学肥料や農薬を使わないオーガニック農法は環境にやさしいが、茎や葉が枯れるのを待って手摘みで収穫するため時間や人手もかかる。機械を使わずにひとつひとつ手作業で収穫する作業で活躍しているのが、地域のシルバー人材だ。経験や知識が豊富な定年後の人たちの生きがいとなることが目指されている。
収穫後は、紡績から染色、靴下編立までのすべてを厳選した国内工場で生産。でき上がった靴下は、ドレスにもカジュアルにも合わせやすいデザインに仕上げられた。また、伸縮性がよく足にやさしくフィットする機能性にもこだわった。美しいリブ目は、選び抜かれた職人による丁寧な仕事によって生み出されている。
原料の綿花栽培から始まり、丁寧につくられたオリジナルコットンの靴下の寄付金は、すべて休耕田を活用した綿花栽培の資金として活用される。
お問い合わせ先/タビオ株式会社
https://tabio.com/jp/corporate/
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