エコビレッジの意味とは 世界と日本の事例から学ぶ

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世界で増加するエコビレッジ。持続可能な社会の実現のため、注目される機会は増えてきている。エコビレッジとはそもそもどういったコミュニティで、世界や日本にはどのような実例があるのだろうか?エコビレッジのいまを紹介しよう。

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2022.03.31
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エコビレッジとは

エコビレッジとは、持続可能性を意識した地域や街づくりのコンセプトを指す言葉である。環境に配慮した暮らしの実現は、現代社会における重要課題の一つ。環境問題の解決に向け、地域全体で具体的な取り組みを行っているのが、エコビレッジだ。

とはいえ、エコビレッジという概念に明確な答えがあるわけではない。世界には非常に多くのエコビレッジが存在していて、それぞれが独自の取り組みを行っている。同じエコビレッジであっても、同一形態の街は存在しないのだ。地域共生の中で幸福な暮らしを追求する街もあれば、再生可能エネルギーを積極的に活用して持続可能な暮らしを追求する街もある。

エコビレッジの特徴・定義・役割とは

ひと言では説明できないエコビレッジの概念ではあるが、国際団体「グローバル・エコビレッジ・ネットワーク(GlobalEcovillageNetwork:GEN)」は以下のように定義している。

地元の人々の参加型プロセスを通じて、再生の4つの分野(社会、文化=世界観、エコロジー、経済、全体のシステムデザイン)の道筋を意識的に街全体のシステムをデザインしている意図的なコミュニティのこと。

About us|Global Ecovillage Network Japan

エコビレッジは、新しい意図のもとでデザインされた街やコミュニティだけではない。地域に根付き、古くから伝統的に持続しているようなコミュニティも、エコビレッジの一つである。

古くから続く集落には、自然との共生や住民同士のつながり、地産地消の仕組みなど、持続可能な暮らしを実現するためのコツがたくさん詰まっている。つまり、そこは新たに特別なことをしなくても、立派にエコビレッジとして機能しているコミュニティと言えるだろう。

エコビレッジとは、単純に「人々が生活する場」であるというだけではない。世界各地に広がるエコビレッジの一つひとつが、再生可能な未来を実現するための、生きた学習センターなのだ。継続的な探求の場、つまり「実験室」としての役割を担っている。

海外の有名エコビレッジの3つの事例

エコビレッジについてより深く知るためには、実例を知るのが一番だ。有名な海外のエコビレッジを3つ紹介しよう。

Munksgard/ムンクスゴー(デンマーク)

世界に点在するエコビレッジのなかでも、とくに古い歴史を持つのがデンマークのムンクスゴーだ。大きな建物を中心に、5つの住居区画が用意されている。それぞれの区画で住居形式が異なり、その利用者は年代別に分けられている。これは、年代が近いとつながりを持ちやすいだろうという配慮のためだ。

中央に設置されたコモンハウスでは、異なる区画で暮らす人々とも気軽に交流できる。エコビレッジ内のつながりの中で、お互いの困りごとなどをごく自然に解決し合っているのだ。

Auroville/オーロヴィル(インド)

世界最大級のエコビレッジと言われているのが、インドのオーロヴィルである。南インドのポンディシェリ近郊に位置しており、「理想郷」という言葉で語られることも多い。

政府やユネスコから、環境実験都市として支援されているオーロヴィルには、西洋からの移住者を中心に約2,500人が暮らすと言われている。ここを設立したのは、インドの思想家であるオーロビンド・アクロイド・ゴーシュ(AurobindoAkroydGhose)の後継者であるフランス人女性のミラ・アルファッサだ。(※1)

オーロヴィルは、あらゆる面で自立した自然循環型社会の実現を目指している。街の中心には、ホールを設置。その周囲には5つのゾーンが設けられている。それぞれが異なる意味と役割を持ち、独立した生活を営めるように機能しているのだ。

オーロヴィルでは、海外からの観光客も積極的に受け入れている。入場料は無料で、ゲスト向けのガイドツアーが充実。オーロヴィルについてより深く知るためのプログラムやワークショップも用意されている。

Findhorn/フィンドホーン(スコットランド)

スコットランドの北端に位置するフィンドホーンは、フィンドホーン財団によって造られたエコビレッジである。その目的は、精神の内なる声に導かれ、自然と共生し、よりいい未来を実現すること。共通の価値観を持つ500人以上が、独自のコミュニティを形成している。

フィンドホーンでは、貧困と地球環境の悪化を防ぐための実行可能な解決策をテーマとした、エコビレッジ教育を実施。ビレッジ内の建物には、パッシブソーラー設計や、高断熱材、環境にやさしい素材などを使用し、持続可能な環境づくりを行っている。このほか、有機食品や再生可能エネルギーに関する取り組みも実施中だ。また、1年間に4,000人もの宿泊客を受け入れ、このビレッジの考えを世に広めている。(※2)

日本の有名エコビレッジの3つ事例

エコビレッジは、日本国内にも数多く存在している。代表的な3つのコミュニティを紹介しよう。

アズワンコミュニティ鈴鹿(三重)

三重県鈴鹿市において2001年からスタートした取り組みが、アズワンコミュニティ鈴鹿である。アズワンとは「As One」、つまり「一つの世界」を意味する名称だ。まだ研究や実験の段階ではあるものの、このコミュニティでは以下のような試みが行われている。

・安心してすべてを委ねられる暮らし
・多数決をせず、話し合いで営む運営
・各自の自由意思と持ち味を発揮して調和するコミュニティ
・上下関係や命令のない、すべての人が自分を発揮でき、心が満たされる社会
・お金の介在しない経済

このコミュニティの特徴は、都市型かつ開放型のエココミュニティづくりを推進しているという点だ。メンバーに関する規約や、コミュニティの境界は存在しない。ここでサイエンズアカデミーやサイエンズスクールといった、学びの場も提供している。(※3)

三角エコビレッジ サイハテ(熊本)

熊本県にあるサイハテ村は、2011年11月11日から1万坪の敷地にスタートしたエコビレッジである。「お好きにどうぞ」をテーマに、自由と創造性に満ちた、ルールもリーダーも存在しない次世代型のコミュニティだ。

このコミュニティ内では、子どもを含めた約30人が生活。それぞれが役割を担い、協力しながらさまざまな取り組みを行っている。「持続性の高い生態系と文化」を築くためのデザインであるパーマカルチャーデザインも大きな柱になっている。

ベンチャー企業とのコラボ企画や各種プロジェクトの実施、インカム制度の導入などで注目を集めたエコビレッジでもある。既存の概念にとらわれない、独自のスタイルを追求中だ。(※4)

余市エコビレッジ(北海道)

NPO法人の北海道エコビレッジ推進プロジェクトが、2012年より北海道余市町で開業したのが余市エコビレッジである。「農村におけるつながり」をテーマに、「持続可能な暮らしと社会」の実現に向けてさまざまな活動を行っている。

2014年からは、「持続可能な暮らしや地域づくり」を体験から学べる取り組みをスタート。農村環境を活かした学びの場を提供している。(※5)

エコビレッジで持続可能な社会の実現へ

持続可能性というキーワードは、近年の大きなトレンドだ。とはいえ、その実現のために何をすればいいのかと、悩む人が多いのではないだろうか。こんなときは、ぜひエコビレッジに注目してみてほしい。

小さなコミュニティの中で、あらゆる意味での持続可能性を模索しているのがエコビレッジの特徴である。明確な答えがあるわけではないため、それぞれが独自の取り組みを行っている点も特徴的だ。身近な場所にあるエコビレッジに、注目してみてはどうだろうか。

※掲載している情報は、2022年3月31日時点のものです。

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