世界の二酸化炭素排出量ランキング 日本の現状と高い排出量の理由

手のひらに浮かんだ地球儀

世界の気候変動とともに、注目される二酸化炭素排出量。世界の排出量ランキングから、世界と日本の現状を確認していこう。二酸化炭素排出量はなぜ増えるのか、理由についてもわかりやすく解説。排出量を減らすための取り組みも確認してみよう。

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エレミニスト編集部

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2021.11.30
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二酸化炭素排出量の多い国ランキング

順位国名排出量割合
1位中国9,528,000,000t28.4%
2位アメリカ4,921,000,000t14.7%
3位インド2,308,000,000t6.9%
4位ロシア1,587,000,000t4.7%
5位日本1,081,000,000t3.2%
6位ドイツ696,000,000t2.1%
7位韓国606,000,000t1.8%
8位カナダ565,000,000t1.7%
9位インドネシア543,000,000t1.6%
10位メキシコ448,000,000t1.3%
11位ブラジル406,000,000t1.2%
12位オーストラリア383,000,000t1.1%
13位イギリス352,000,000t1.1%
14位イタリア317,000,000t0.9%
15位フランス298,000,000t0.9%

上位15か国の2018年のデータを合計すると、世界の二酸化炭素排出量の7割以上の数値となる。もっとも排出量が多いのは中国だが、日本も5位という結果に。その責任は決して小さくないと言えるだろう。(※1)

二酸化炭素排出の理由と割合

では、いったいなぜ二酸化炭素排出量は増えるのだろうか。主な排出理由としては、以下のようなものが挙げられる。

・発電や石油精製などのエネルギー転換
・製造業などの産業
・自動車や鉄道などの運輸
・オフィスや店舗などの業務
・家庭内消費
・工業プロセス
・廃棄物処理

大量のエネルギーを消費する国は、エネルギー転換および消費の段階で、それぞれ大量の二酸化炭素を排出する。経済が活性化し、人々の動きも活発化すれば、産業や運輸、各種業務における排出量も増加するだろう。

一方で、経済発展が遅れている国は、エネルギー消費量も抑えられがちだ。このため、二酸化炭素排出量も少なくなっている。(※2)

日本の二酸化炭素排出量とその理由

国立環境研究所が発表しているデータによると、2019年の日本の二酸化炭素排出量は、1,107,940,000トンであった。そのなかでも多くの割合を占めているのが、「エネルギー転換部門」からの排出である。432,928,000トンが、発電所や製油所での作業によって排出された。

また産業面に目を向けてみると、鉄鋼業や金属製品を含む機械業からの排出が多いという特徴がある。鉄鋼業の排出量は133,710,000トン。一方で機械業では9,797,000トンである。(※3)

次は、都道府県別の排出量に注目してみよう。環境省が発表する2018年の「部門別CO2排出量の現況推計」によると、もっとも多くの二酸化炭素を排出した都道府県は「千葉県」であり、その量は67,352,000トンであった。2位は「愛知県」で66,961,000トンだ。

人口が多い東京都の排出量は65,475,000トンで、両県を下回る。これは、エネルギー転換や各種産業、そして人々の行動様式が関連していると考えられる。(※4)

排出量の多い大規模工場が多ければ、排出量は自然と多くなるだろう。また交通網が発達した都会とは違い、地方部ではマイカーによる移動が主となる。このような要素が複雑に絡み合い、都道府県別の人口と排出量は、必ずしも比例しないという現状がある。

二酸化炭素排出量削減に向けて 世界的な取り組み

二酸化炭素は、地球温暖化の原因とされる物質である。気候変動の波を食い止めるためには、国単位ではなく世界全体としての取り組みが求められる。具体的な取り組みがスタートしたのは、1992年に「国連気候変動枠組条約」が採択されてからのことだ。

この条約の目的は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること。その実現に向けた取り組み事例は、以下のとおりである。

国連気候変動枠組条約締約国会議の開催

国連機構変動枠組条約(UNFCCC)のもとで、1995年より毎年開催されているのが「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」である。会議には、各国の代表やオブザーバー、市民団体、ジャーナリストなどが参加。日本からも、環境大臣が出席している。

会議では、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス削減に向けて、各国の取り組み状況が伝えられるほか、世界各国で共有するべき課題や現状が報告される。この会議の結果をもとに、各国がさらなる取り組みを推進する仕組みになっている。(※5)

2016年11月に発効されたパリ協定

2020年以降の気候変動問題への取り組みの基本方針を定めるルールとして、2015年に合意されたのがパリ協定である。「55か国以上、また世界の総排出量のうち55%以上をカバーする国が批准すること」を条件に合意された協定で、2016年11月に発効された。

パリ協定で対象となるのは、途上国を含むすべての参加国と地域である。また、一時的な排出量削減ではなく、中長期的な視点で低排出発展戦略を策定するよう求めている。各国は自国の状況を踏まえた上で、独自の取り組みを行うことが認められている。(※6)

グリーンイノベーションの推進

パリ協定で定められた目標を達成するためには、非常に大きな努力が必要となる。気候変動問題への取り組みと経済成長を同時に行うために、注目されているのがグリーンイノベーションだ。革新的な技術により、これまでの仕組みを大きく転換することで、脱炭素化社会の実現を目指そうという取り組みである。

2019年には日本主導で「グリーンイノベーション・サミット」を開催。国際会議の代表者が集い、イノベーションに関する意見交換が行われた。またグリーンイノベーションに取り組む企業に十分な資金提供が行われるよう、新たな仕組みとしてグリーン・ファイナンスも推進されている。(※7)

二酸化炭素排出量の今後について

2016年のパリ協定発効によって、世界各国が二酸化炭素排出量削減に向けて、具体的な取り組みをスタートしている。2020年8月時点で、パリ協定に締約する国と地域の数は197に上っている。脱炭素化社会の実現に向けて、新たな一歩を踏み出したところだと言えるだろう。

とはいえ、具体的にどれだけ二酸化炭素排出量を減少させられるのか?という点については、まだまだ未知数な部分も多い。日本においてもさまざまな取り組みがスタートしているが、目標達成に向け、具体的な目途が立っているわけではない。発展途上国においては、排出量削減と経済発展の両方を、どう実現していくのか、非常に大きな課題である。

二酸化炭素排出量を減らし、地球温暖化を食い止めるためには、さらなるイノベーションが必要不可欠と言えるだろう。一人ひとりができる努力を進めながらも、社会の仕組み全体を変えられるような、「転換」を意識していく必要がある。

※掲載している情報は、2021年11月30日時点のものです。

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