12月1日は「世界エイズデー」 シンボルマークのレッドリボンの意味とは

手と手を取り合う男女

毎年12月1日は世界保健機構(WHO)が定めた「世界エイズデー」だ。この記事では、制定の目的や2021年のテーマなどをわかりやすく解説する。世界エイズデーのシンボルやテーマ、各種イベントなどについても、あわせて確認しておこう。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2021.10.27
LIFESTYLE
編集部オリジナル

わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ

Promotion

世界エイズデーとは? 制定機関と目的、シンボルマーク

毎年12月1日は、世界エイズデーだ。世界保健機構(WHO)が、エイズのまん延防止と患者や感染者に対する差別や偏見の解消を世界規模で達成するために1988年に制定した。

世界エイズデーには、こうした目的を達成するための各種キャンペーン活動や啓もう活動が行われている。

シンボルマークは、レッドリボン(赤いリボン)である。もともとヨーロッパでは、病気や事故で亡くなった人への哀悼の意を示すアイテムとして、レッドリボンを身に付ける風習があった。

1980年代後半になると、エイズは社会問題化するようになった。アメリカ・ニューヨークでも、エイズが原因でアーティストが亡くなる事例が増えていた。同じアーティスト仲間たちが、哀悼と支援のために身に付けたのがレッドリボンで、それがそのまま新たな運動に結び付いたのだ。

世界中に広がったレッドリボンは、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のシンボルマークとしても採用されている。エイズに対して正しい知識を身に付け、差別や偏見を許さないという意思の表れだと言えるだろう。(※1)

2021年のテーマは「レッドリボン30周年」

2021年の世界エイズデーのテーマは、「レッドリボン30周年~Think Together Again~」。ニューヨークのアーティストたちが、追悼と理解の意を示すため、初めてレッドリボンを身に付けたのは、1991年のことであった。2021年は、レッドリボンが誕生してから30年目という節目の時期なのだ。

HIV/エイズに対する治療法が進歩したいま、HIVの早期発見により、エイズ発症を防げるケースも増えてきている。HIVに感染していない人と同様の生活を送ることも、決して不可能ではないだろう。

しかし、そうした現状を知る人々は、まだまだ限られているのが現状だ。だからこそ2021年は、レッドリボンの原点に立ち返り、正しい知識を身に付け、差別や偏見を防ごうというのが、大きな狙いである。

ちなみに、2020年のテーマは「知ってる!? HIVとエイズの違い」で、2019年のテーマは「UPDATE! 話そう、HIV/エイズのとなりで ~検査・治療・支援~」であった。常に正しい知識を身に付け、考え、伝え合うことの重要性を伝えるものと言えるだろう。(※2)

世界におけるエイズ患者数と推移

国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、2018年にエイズに関連する病気で死亡した人は77万人であった。HIV感染者の数は、世界中で3,790万人。その内の2,330万人が抗HIV治療を受けている。

新規HIV感染者やエイズが原因で死亡する人の数は徐々に減少しているものの、2018年には、新規で170万人がHIVに感染。なかでも東部および南部アフリカにおけるHIV感染者数が非常に多い。貧困や知識の欠如といった問題が関連していると考えられる。(※3)

また日本においても、HIV感染は他人事ではない。令和2年12月時点でのHIV感染者の数は22,479人。エイズ患者は9,982人と報告されている。日本の新規報告数は横ばいではあるものの、感染に気付いていない人から周辺へと広げてしまう可能性は十分にある。すべての人が「自分事」として捉え、予防や早期発見につなげる必要があるだろう。(※4)

エイズ患者に対する偏見・差別

HIV/エイズと戦う人々に対して、これまで多くの偏見や差別の目が向けられてきた。

・同性愛者に対する偏見
・HIV感染者に対する不利な扱い(内定取り消し、登校・登園の禁止、宿泊の断りなど)
・感染者の個人情報の特定や報道

HIV感染者やエイズ発症者に対する偏見や差別は、「恐れ」と「無理解」によって生み出されたものだ。治療の進歩によって、「恐れ」は徐々に減りつつあるが、偏見や差別の問題が完全に解決したわけではない。

世界エイズデーのイベント・取り組み

世界エイズデーには、各地でさまざまなイベントや取り組みが行われてきた。以下はその一例である。

RED RIBBON LIVE 2020

2020年の世界エイズデーに合わせて、啓もう活動のため、アーティストやタレント、医療専門家がトークライブを実施。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のため、オンライン上の生配信形式で行われ、30,000人以上が視聴した。

TOKYO AIDS WEEKS 2020

世界エイズデーに合わせて、2020年11月15日~12月15日にかけて、オフライン・オンラインでさまざまなイベントが行われた。NGOや各種団体と協力した情報提供によって、人々の認識を最新のものへとアップデートするために実施された。(※5)

世界エイズデーをきっかけに知識を深めよう

2021年も、世界エイズデーには各種イベント、啓もう活動が行われる予定だ。HIV/エイズを知り、いま必要な知識をアップデートするためには、絶好の機会と言ってよいだろう。

2021年は、あらためてレッドリボンの意味を知り、原点に立ち返るところからスタートしよう。一人ひとりの努力が、差別と偏見をなくす社会の実現につながっていくだろう。

※掲載している情報は、2021年10月27日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends