バイオフィリックデザインのメリットは? 日本・海外企業の具体例を紹介

バイオフィリック

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バイオフィリックデザインとは、植物や日光などをふんだんに取り入れる空間デザインのこと。バイオフィリックデザインを採用すると、心身の健康や仕事のパフォーマンスにどのようなメリットがあるだろうか?バイオフィリックデザインの課題を確認し、海外や日本の導入事例について紹介しよう。

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2021.08.26

バイオフィリックデザインとは

バイオフィリック

Photo by vadim kaipov on Unsplash

バイオフィリックデザインとは、自然を取り入れた空間デザインのこと。目にやさしい観葉植物をたくさん置いたり、やわらかい日差しがふんだんに差し込むようにしたり、自然とのつながりを感じられて、より人間らしく健康的に日々を送れるようにしよう、というデザインコンセプトだ。

バイオフィリックデザインという言葉は、生命を意味する「バイオ」と、ギリシャ語で愛を表す「フィリア」を合わせたもの。

もともと人間は、自然を求める欲求がある。だから、無機質で冷たい雰囲気の空間より、緑あふれるナチュラルな場所のほうが、心が満たされストレスなく過ごせるそうだ。昨今はウェルビーイングの実現にバイオフィリックデザインが役立つとして、注目度が高まってきている。

バイオフィリックデザインを取り入れるメリット

バイオフィリック

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バイオフィリックデザインについて研究報告書を発表したロバートソン・クーパー社によると、植物や太陽の光などが目に入る環境下では、そうでない場合より従業員の生産性が6パーセント高くなる。(※1)

また、イギリスの科学誌Natureによると、人は1週間に120分以上自然のなかで過ごすと、健康的になったり幸福感が増したりするプラスの効果が現れるという。(※2)

つまり自宅やオフィスに緑を飾り、水や太陽の光など自然を意識した内装にすれば、健康増進につながるということだ。

職場の場合なら、従業員の体調がよくなりパフォーマンスが上がる。インテリアを工夫するだけでみんなが元気に働けるようになるなら、すぐにでも真似してみたいところだ。

バイオフィリックデザイン導入に関する課題

バイオフィリックデザインを導入するにあたって課題となるのは、植物の世話だ。社員自身で水やりなどの管理が難しい場合は、専門業者に手入れを頼んだほうが無難だろう。

せっかく緑や水を感じられるようオフィスに植物を配置しても、手入れされず枯れかかっていたら、思うようなメリットは得られないかもしれない。バイオフィリックデザインを採用するなら、その管理が必要不可欠だ。

また、地震や火災などの災害時のことを考慮に入れる必要がある。狭いオフィスに大型の鉢植えを置くと、導線を邪魔しかねない。万が一のときに避難経路を遮ることがないよう配慮が必要だ。

海外企業における3つの先進事例

意欲が湧くように工夫を凝らしたオフィスや、おしゃれな休憩室がある企業は、魅力的に映りやすい。とくに、求職者はオフィスデザインの良し悪しを就活時の判断材料とする傾向がある。

近頃は、職場環境の改善や企業のアピールにつながると、会社を緑化する企業が国内外で増えてきている。すでにいくつもの先例があるので、まずは海外企業の事例を紹介したい。

Allegro(ポーランド)

Allegro

Photo by http://workplace.pl/

ポーランドのEC大手、Allegro(アレグロ)のオフィスは、まるで公園にいるかのような温かさを感じられるオフィスが自慢だ。「居心地の悪い会議室にいても、いいアイディアは出てこない」。だから、豊かな発想力を活かしてもらうため、自宅のようにリラックスできるデザインにしたそうだ。(※3)

Etsy(アメリカ)

Etsy

Photo by Etsy

https://www.etsy.com/jp/living-building-challenge

ハンドメイド作品を販売できるプラットフォームを運営するEtsy(エッツィー)の事例を紹介しよう。ニューヨークにあるアメリカ本社は、サステナビリティを意識してデザインしている。(※4)

デスクを自然光の届く範囲に配置し、屋上とテラスは約60 種類の植物に囲まれているという。不使用時に自動で消える照明を取り付けるなどして、無駄なエネルギーを使わないよう配慮し、1年でおよそ8万キロワット時もの電力を削減できたという。

Uncommon(イギリス)

Uncommon

Photo by Uncommon

https://www.facebook.com/cometouncommon/photos/a.846081755948967/846080159282460

ロンドンのコワーキンスペースUncommon(アンコモン)は、くつろぎながら仕事ができるインテリアが魅力だ。観葉植物が所狭しとディスプレイされているほか、照明や室内の香りにまで気を配り、利用者の仕事がはかどるようにしているそうだ。(※5)

日本国内における事例5選

次に日本での事例を紹介しよう。

parkERs

parkERs

Photo by parkERs

https://recruit.park-corp.jp/brand_prk/?_ga=2.157806522.106082251.1623075768-643163365.1623075768#prettyPhoto/4/

parkERs(パーカーズ)は、青山フラワーマーケットを運営するパーク・コーポレーションの店舗デザインチームから生まれた空間デザインブランドだ。2019年にオフィスを南青山に移転した際、東京の中心にありながらも公園のような雰囲気にしようと、同社が得意とする洗練された植物をふんだんに使った内装にしたのだとか。

「“未来の公園”を体感できるワーキングプレイス」をコンセプトに、緑や水があちこちに感じられる空間になっている。(※6)

SALT

Salt

Photo by Salt

https://salt.today/

福岡県西区のコワーキングスペースSALT(ソルト)は、まるで海の上で働いているかのようなリゾート感を味わえる仕事環境が魅力だ。大きな窓から美しい海を眺めることができ、波音をバックミュージックにしながら、クリエイティビティを最大限に発揮できる環境が整えられている。(※7)

サークレイス(旧パソナテキーラ)

サークレイス

Photo by comorebiz

https://www.pasona-pbs.co.jp/comorebiz/case/case03.html

人材派遣会社パソナ傘下のIT企業サークレイス(旧パソナテキーラ)は、リフレッシュルームを新しく設ける際にバイオフィリックデザインを導入した。緑があちこちに配置された空間は、社員同士が交流しやすいように考えられたつくりになっており、以前よりも社内のコミュニケーションが増えたそうだ。(※8)

ヤンマー

ヤンマー

Photo by ヤンマー

https://www.yanmar.com/jp/about/ymedia/article/flying_building_2017.html

発動機や農機などを扱うヤンマーが2014年11月に建設した大阪本社は、南側の外壁を緑化されている。夏には天然のグリーンカーテンとなり、社屋の温度が上がるのを防ぐ効果があるそうだ。また葉がCO2を吸収してくれるため、脱炭素化にも貢献できる外観となっている。

屋上庭園や養蜂場が設けられるなど、社内のあちこちで自然を感じられるつくりとなっている。(※9)

スターバックスコーヒー表参道ヒルズ店

スターバックスコーヒー表参道ヒルズ店

Photo by スターバックスコーヒー

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2019-2984.php

スターバックスが2019年4月にオープンした表参道ヒルズ店では、パーク・コーポレーションとコラボして、バイオフィリックデザインを導入している。明治神宮にある2本の御神木「夫婦楠(めおとぐす)」を取り入れたほか、天気によっていろいろな水の波紋を映し出せる装置を使い、地下という立地ながら自然を感じられるように工夫されている。(※10)

毎日の暮らしに、もっと自然を

人が建物の中で過ごす時間は案外長い。味気ないところで閉じこもるより、居心地のいい空間で毎日を過ごしたいのはみんな同じだ。仕事をする場所なら、ナチュラルな雰囲気にするだけで生産性アップが期待できる。ぜひ自宅やオフィスに、バイオフィリックデザインを取り入れることを検討してはどうだろう。

※1 世界中の職場における バイオフィリックデザインの効果|ロバートソン・クーパー
https://interfaceinc.scene7.com/is/content/InterfaceInc/Interface/AsiaPac/WebsiteContentAssets/Documents/Brochures/Japan/wc_humanspacesreport-jp.pdf
※2 Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing | Nature

https://www.nature.com/articles/s41598-019-44097-3
※3 Allegro | Workplace
http://workplace.pl/pl/story/biuro-dom-dla-allegro/
※4 生きた、呼吸する本社ビルをデザインする|Etsy
https://www.etsy.com/jp/living-building-challenge#place
※5 Uncommon
https://uncommon.co.uk/
※6 空間デザインブランド parkERs(パーカーズ)新しいオフィスをデザイン|パーク・コーポレーション
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000007230.html

※7 SALT
https://salt.today/
※8 株式会社パソナテキーラ/リフレッシュルーム
https://www.pasona-pbs.co.jp/comorebiz/case/case03.html
※9 ヤンマー本社を徹底レポート|ヤンマー
https://www.yanmar.com/jp/about/ymedia/article/flying_building_2017.html
※10 スターバックスが“バイオフィリックデザイン”を店舗デザインに初めて導入|スターバックスコーヒー
https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2019-2984.php

※掲載している情報は、2021年8月26日時点のものです。

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