男女平等な社会を目指す「HeForShe(ヒーフォーシー)」 スピーチが伝えた本質的なジェンダー平等

レンガの壁に描かれたペイント

「HeForShe」は、2014年に始めったUN Womenによるジェンダー平等を目指す取り組み。男女差別は女性だけの問題ではないとし、男性に対してキャンペーンへの賛同を呼びかけている。同年にUN Women親善大使に就任したエマ・ワトソン氏が参加を訴えたスピーチも話題を呼んだ。

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2021.06.30

UN Womenが始動した「HeForShe」 その目的とは?

花畑をバックに談笑する三人の女性

Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

「HeForShe(ヒーフォーシー)」とは、2014年にUN Women(国連女性機関)によって始められた、ジェンダー平等を推進する運動のこと。HeForSheは直訳すると「彼女のための彼」で、女性が抱える不平等や差別問題を解決するために、男性に向けて署名と支持を呼びかけてきた。

さらに、2016年には男性に限らず、女性やトランスジェンダーなど、すべてのジェンダーの人々がつながれる場としてリニューアル。ウェブサイトを通して、個人でも団体でも、誰もが自由に運動への賛同意思を表明できるようになった。現在は、世界で225万人以上が、ジェンダー平等推進運動参加を宣言。日本でも3万8990人が参加している(2021年5月31日時点)。

ジェンダー平等とは

社会的な性の平等を目指す

そもそもジェンダーとは、生物学的な性別(Sex)に対して、社会的意味合いから見た性別のこと。男性・女性にとって「ふさわしい」と考えられる役割や行動、性質の違いによって生まれる社会的性別を指す。つまりジェンダー平等とは、「男だからこうあるべき」「女だからこう」という固定概念にとらわれない、男女の間に差別や隔たりがないことである。

社会的に見ると、性別の違いにより権利を虐げられてきたのは、女性側である場合が多い。国連が掲げるSDGsでは、目標の5つ目に「ジェンダー平等の実現」を挙げ、すべての女性と女の子に対する差別の根絶を呼びかけている。国や国際連合による活動に限らず、最近では、#MeTooムーブメントや性暴力に抗議するフラワーデモなど、社会運動としてもジェンダー平等を目指す動きが広がっている。

ジェンダー平等への取り組みが生んだ誤解

公民権運動に参加する黒人女性たち

Photo by Library of Congress on Unsplash

一方で、これらの運動が増えるにつれて生じた誤解もある。ジェンダー平等への取り組みは、女性運動やフェミニズムが背景としてあり、かつては女性による女性のための運動として認識されていた。こうした背景からか、ジェンダー平等はさまざまな思想と混同され、「ジェンダー平等を訴える女性は気が強い」「女性の権利ばかり主張される」「男性に不利である」など、マイナスイメージもつきまとうようになってしまった。

HeForSheが伝えたい本質

前述のように、ジェンダー平等はかつて女性による女性のための思想として認識されてた。しかし、HeForSheが目指すジェンダー平等の本質は、生まれ持った性別による固定概念を取っ払い、すべての人が「平等」になることだ。そのため、男性も一緒にジェンダー平等について理解し、積極的な参加してほしいと訴えてきた。

女性差別の問題は多くの場合、男性との比較や関わりの中で生まれるため、これまでジェンダー平等に取り組んできたのは女性が多かった。しかし、女性同志で話し合っているだけでは現状は変えられない。すべてのジェンダーの人々が手を取り合い、平等な世界を実現することこそ、HeForSheが目指すありかただ。

そこで、同キャンペーンのウェブサイト上では、各国のジェンダー平等に関する課題や活動を掲載するなど、ジェンダー平等社会の形成に向けて、体系的なアプローチとプラットフォームを提供している。

国連でエマ・ワトソンが語ったスピーチの内容

腕を交差しながら掲げられた男女のピースサイン

Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

国連のUN Women親善大使に任命されたエマ・ワトソン氏。HeForSheキャンペーンが始動した2014年、国連本部で行われたスピーチで、「自分でなければ、誰が?いまでなければ、いつ?」と、ジェンダー平等に向けてともに動こうと呼びかけ、話題を呼んだ。要約を紹介する。

男女の固定概念を取り払い、自由になるための運動

男女の不平等を終わらせるためには、男性であるみなさんの参加が不可欠です。こうしてフェミニズムについて語ることは、女性の権利主張や男性敵視と捉えられがちです。なぜ、フェミニズムという言葉は不快なものになってしまったのでしょうか?大事なのは言葉自体ではなく、その背景にある考えや志です。

男女平等は、男性にとっての課題でもあるのです。精神疾患にかかっていても、助けを求めることができない男性たちを見てきました。彼らは、男らしさを失うことを恐れていたのです。歪んだ男性の成功像によって、不安を抱えている人々もいます。つまり、男性もまた、男女平等の恩恵を得ていないのです。

とらわれている固定概念から彼らが自由になった時、物事は女性にとっても変わるでしょう。男性に支配する必要がなければ、女性は支配されずに済みます。偽りの姿で互いを決めつけることをやめ、ありのままのを受け入れられれば、みんなもっと自由になれるはず。これが、HeforSheの意義です。自由であるための運動なのです。

もし私たちがこのまま何もしなければ、男性と同じ報酬を女性が期待できるようになるまで、およそ100年かかります。アフリカのすべての少女たちへの中等教育ですら、2086年まで実現することはありません。あなたが平等を信じているのなら、無自覚なフェミニストの一人かもしれません。ともにわかち合う言葉はまだありませんが、一つになれる運動こそがHeForSheです。ジェンダー平等に向けて、一歩前へと進み、自分に問いかけてみてください。「自分でなければ、誰がやるの?いまやらなければ、いつ?」と。

※ 参考サイト
HeForShe:ジェンダー平等を実現するつながり
https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/in-focus/heforshe
HerForShe
https://www.heforshe.org/en
男性とともにジェンダー平等を呼びかける ”He For She” がスタート
https://www.unic.or.jp/news_press/info/10408/

※掲載している情報は、2021年6月30日時点のものです。

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