4月7日は世界保健デーだ。近年さまざまな場面で取組まれているSDGsだが、人の健康という視点はあまり注目されていない。しかし、持続可能性と健康は密接につながっている。どのような関連があるのだろうか。世界健康デーとの関わりやその目的、近年の取組みを見てみよう。
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世界保健デーとは、「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」と目的としたWHO憲章の設定日を記念した日のこと。
1950年から毎年4月7日と定められている。健康や人の命に関わる目標は、経済や社会などさまざまな分野と深く関連している。2015年に採択された17の持続可能な開発目標(SDGs)の目標中、9つの目標が健康に関係するものだ。
国連の専門機関であるWHOには、2019年4月現在194の国と地域が参加。毎年、世界保健デーのテーマをWHOが発表すると、世界各地の加盟国が健康のためのイベントを開催している。
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世界保健デーの過去数年分のテーマを見てみよう。
2020年:看護師と助産師を支援しよう
COVID-19対応の最前線にいる看護師や保健師・助産師の活躍を祝福し、世界の健康を維持するために看護職が担う役割の重要性を認識しようというもの。
一説によると、私達の平均寿命が延びたのは医療技術の進歩そのものより、公衆衛生に関する基本的な知識が広まったからであるとされる。看護職が提供する質の高いケアや地域住民の不安に寄り添う姿勢の重要性が再認識された。
2019年・2018年:すべての人に健康を
2018年と2019年は、WHOの優先課題のひとつであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)がテーマ。すべての人が適切な予防や治療、リハビリなどの保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態を目指す。
日本では1961年に国民健康保険法が改正され、すべての国民が公的医療保険に加入している。1973年には当時医学部のなかった県に医科大学を設置することが決定し、国民の保健医療へのアクセスが改善。日本は早期にWHOのUHCを達成し、世界でも有数の健康寿命の長い国となった。
2017年:うつ病
WHOによると、世界のうつ病患者は3億人以上と言われている。日本のうつ病患者は近年大幅に増加しており、120万人以上。とりわけケアが必要とされているのは、青年期、妊娠出産期の女性、高齢者だ。
うつ病が原因で年間80万人が自殺しているとされることから、国際的な対応が求められている。国はうつ病を重要な健康問題ととらえ、情報提供や相談支援体制の整備などの対策を進めている。
COVID-19は、社会の健康格差を浮き彫りにした。健康は遺伝子や生活習慣など個々が持っているものだけではなく、人種や性別、教育、収入、職業、社会参加の機会にも影響を受ける。
生活の苦しい人や雇用機会の少ない人は適切な医療ケアを受けることが難しく、死亡率の増加やさらなる経済被害を招いた。日本では2013年からはじまった健康日本21(第二次)の中で「健康格差の縮小」を目標のひとつに掲げている。
健康格差の縮小には、個人の生活習慣だけでなく、個人を取り巻く社会環境の改善も必要との認識のもと、都道府県間の健康寿命の格差の縮小に取り組み中だ。
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世界保健デーはWHOが規定する8つの公共保健キャンペーンのひとつ。4月7日前後にあるイベントとしては、3月24日の世界結核デー、4月25日の世界マラリアデー、5月31日の世界禁煙デーなどがある。
2021年日本国内では、民間の団体や企業で健康チェックが気軽にできるイベントや感染症予防の注意喚起を行う催しが開催された。
近年注目されている「持続可能性」は、人々の健康とも密接に関わっている。国や地域を構成する一人ひとりの健康がなければ、世界の持続的な発展はおぼつかない。
日本では早期に国連が目指すUHCを達成したが、地域間の健康格差は依然として残っている。一度健康目標を達成した後も、維持するための継続的な取り組みが重要だ。
※ 参考資料
世界保健機関(WHO)(概要)|外務省
2020年世界保健デーのテーマは「看護師・保健師と助産師を支援しよう」です。|厚生労働省
2019年世界保健デーのテーマは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」です。|厚生労働省
2017年世界保健デーのテーマは「うつ病」です。|厚生労働省
2021年世界保健デーのテーマは「より公平で健康的な世界を築くために」です。|厚生労働省
WHOの今後のイベント情報|日本WHO協会
SDGsとWHO|日本WHO協会
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