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5月22日は「国際生物多様性」の日だ。生物の多様性が失われつつあることに対する人々の認知を広めることを目的に制定された。この記事では生物多様性が重視されている背景や、現在行われている取り組みを解説する。
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国際生物多様性の日とは、生物の多様性が失われつつあることに対する人々の認知を広める日。生物の多様性とは、地球上にさまざまな生き物が存在していることを指す。
しかし近年は、自然環境の悪化に伴って生物の多様性がこれまでにない早さで失われている。絶滅のおそれのある動植物をリスト化した「レッドリスト」を見聞きしたことがある人もいるだろう。
国際生物多様性の日はもともと、「生物の多様性に関する条約」が締結された日を祝う目的で国連が定めた。現在は日本を含めた世界各地で、毎年5月22日を中心とした日程でイベントが開催されている。
46億年の歴史のなかで、地球上には3,000万種の生き物が生まれたと言われる。なぜ、いま生物の多様性が議論に上っているのだろうか。国際生物多様性の日が制定されることになった背景を見てみよう。
アメリカ国務省が発行した「特別調査報告書」によると、19世紀末までは4年間に1種の絶滅スピードは年々早くなっている。20世紀には1年間に1種、現在は1時間で8種の生物が失われているという。
生態系は複雑で多様なものだが、私達人間も動物だ。酸素の供給や、気温、湿度の調節、豊かな土壌、食べ物、医薬品、品種改良、バイオミミクリーなども生物の多様性があってこそ成り立っている。
一説によると、ハチやチョウなどの花粉を運ぶ虫がいなくなると、農産物の生産高が年間2000億ドル以上減少するとの試算もある。地域の文化的な多様性も、動植物の多様性によって生まれている。生物多様性が失われるということは、私達人間の暮らしも危ぶまれるということなのだ。
生物多様性が失われる原因には4つあるとされている。1つは開発や乱獲による種の減少、絶滅、生息地の減少。2つ目は里地や里山の手入れ不足による自然の質の低下、3つ目は外来種などの持ち込みによる生態系への影響、4つ目は地球環境による変化だ。
近年、最先端技術を活用して絶滅した動物やレッドリストに載っている動植物の保護が行われるようになっている。その代表的なものが、1万年前に絶滅したとされるマンモスだ。
シベリアの永久凍土に埋まっているマンモスの体細胞などを取り出して、復活させようとする試み。マンモス以外にも、世界的にこうした取り組みは広がっている。
しかし、絶滅した原因を取り除かなければ、根本的な解決にはならないだろう。保護と生態系のバランスをとり、人との共生をはかるための息の長い継続的な取り組みが求められている。
2011年から2020年までの10年は、国連が「国連生物多様性の10年」と位置づけていた。2020年は環境省や農林水産省が中心となって、植樹などの生物多様性に関連する活動「グリーンウェイブ2020」に参加するグループや団体を募った。
グリーンウェイブという名称は、活動の様子が地球上の東から西へ波のように広がっていく様子を表現した。対象は日本を含めた世界各地で、2019年までに3000以上の団体と、約26万人が参加している。
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2021年3月、国連は国連生物多様性サミットの再延期を発表した。再延期は中国の昆明で10月11日〜24日。当初、2020年10月に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で2021年5月に延期した経緯がある。
4月9日現在、各地でのイベントに関する情報はほとんどない。「国連生物多様性の10年日本委員会」のFacebookページを確認すると最新情報が入手できる。
生物の多様性はいま、これまでにないスピードで失われている。生物多様性と聞いてピンと来ない人は多いかもしれないが、人間も生態系の一部であることを忘れてはならない。植物や動物など他の生物からの恩恵を受けて生活しているからだ。生物多様性の日をきっかけに、生態系について思いをめぐらせてみてはいかがだろうか。
※ 参考サイト
生物多様性とは?その重要性と保全について|WWF
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3517.html
生物多様性に迫る危機|環境省
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/biodiv_crisis.html
国連生物多様性の10年「グリーンウェイブ2020」の実施について|環境省
https://www.env.go.jp/press/107604.html
21世紀は絶滅動物の復活の世紀に
http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/2/20238/20160528015330801898/poalas_017_002.pdf
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