世界で進む「デジタルアーカイブ」とは 企業と公的機関の導入事例を解説

ノートパソコンを操作する女性

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公的機関で多く行われてきた「デジタルアーカイブ」。近年、一般企業への導入例も増えてきている。デジタルアーカイブの基本知識とともに、仕組みや特徴、導入までの流れを紹介する。導入事例から、一般企業が導入する場合のメリット・デメリットを知ろう。

2021.04.21

デジタルアーカイブとは 語源と歴史を知る

パソコンに表示されたコーディング画面

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デジタルアーカイブとは、デジタル技術を用いた記録方式を指す。保存対象は、文書や文化資源など。たとえば博物館や図書館の所蔵資料や各種文化資源、自治体が保有する公文書や記録文書などが含まれている。デジタル化してデータを保管することで、世界中のあらゆる場所から保管資料の共有が可能に。さまざまなメリットが生まれている。

デジタルアーカイブという言葉は「デジタル」と「アーカイブ(公文書やその保管場所)」を組み合わせてつくられた、和製英語である。1994年頃に、東京大学名誉教授・月尾嘉男氏によって提起された。インターネットの発展とともに、日本でも徐々に浸透していったが、転機となったのは東日本大震災である。貴重な資料や文書を災害から守るため、デジタルアーカイブは一気に進められていった。

近年では、デジタルアーカイブは一般企業にも広がりを見せている。以前よりも、低コストで利用できるサービスが増えてきているからだ。企業単位で行われるデジタルアーカイブは、「企業アーカイブ」とも呼ばれている。

デジタルアーカイブの仕組みと特徴

デジタルアーカイブは、「ただ単純に資料をデータ化したもの」ではない。単純なデジタル化だけであれば、文書を次々とスキャンしていけばいいだろう。しかしそれでは、使えないデータがどんどん蓄積されていくだけで、何の意味も持たないのだ。

デジタルアーカイブの特徴は、生きたデータが整理された状態で整っている点である。各種データのデジタル化はもちろん、それらの整理が重要なポイントだ。ジャンル別に情報がまとまり、検索しやすい状態になっていれば、それらのデータを別の場面でも活用しやすくなるだろう。

これまで以上に、作業もしやすくなるはずだ。たった1つしかない原本も、デジタルアーカイブによって、世界中からネットを通じて閲覧できるようになる。多くのユーザーに情報提供でき、編集や加工も思いのままだ。

これまで、デジタルアーカイブの多くはサーバー型のデータベースシステムによって構築されていた。一般企業がデジタルアーカイブ化を進めようとした場合、専用のサーバーとソフトウェアを購入し、そこにデータを蓄積していく必要があった。

一方で近年人気が高まっているのが、クラウド型のデータベースシステムである。サーバーにかかるコストが削減できるため、これまで以上に多くの企業がデジタルアーカイブ化に取り組み始めている。

一般企業が導入する場合のポイントと費用目安

デジタルアーカイブの導入を検討するなら、専用サービスの利用を検討するのがおすすめだ。民間企業にもデジタルアーカイブが浸透するにつれて、リーズナブルな価格でパッケージプランを提供する会社も増えてきている。

知識が十分ではない場合におすすめなのが、フルサポートをお願いできるプランだ。多少コストは上昇するが、アーカイブ企画のプランニングから資料整理、データ化やシステム構築はもちろん、システムインストラクターの派遣にも対応してもらえる。

近年主流のクラウド型を選択する場合、初期費用とその後の月額料金が発生する仕組みである。ある会社のデジタルアーカイブ「コンプリートプラン」を選択した場合、初期費用の目安は250万円から。月額料金は10万円からだ。システム構築に必要な時間は、デジタルアーカイブするデータの量によって違ってくる。依頼先企業と、十分に打ち合わせする必要があるだろう(※1)。

デジタルアーカイブのメリットとデメリット

パソコンの画面を指差す手とトラックパッドを操作する手

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デジタルアーカイブにはメリットもあればデメリットもある。導入を検討する場合は、両方に目を向けよう。

公的機関と一般企業、それぞれのメリット

公的機関がデジタルアーカイブを導入する場合のメリットは、有形・無形を問わず、さまざまな文化・産業資源をデジタル方式で残せる点にある。デジタルアーカイブ化しておけば、未来に残したい貴重な資料が、失われることもない。歴史的に貴重な資料を、後世にどうつないでいくかは、我々が抱える課題である。デジタルアーカイブは、その解決策の一つになるだろう。

また、貴重な作品や文化はもちろん、それらが生み出されるまでの過程までを、貴重な資料として保存できる点も非常に大きなメリットだ。デジタルアーカイブ化が進めば、世界中の図書館・美術館・博物館の所蔵資料を、どこからでも閲覧できるようになる。

一般企業が導入する場合のメリットは、保存したデータに、容易に手を加えられる点にあるだろう。さまざまなデータを多角的に見て、新たなアイデアを生み出せるかもしれない。

また、企業に蓄積された実績やアイデアを、デジタルアーカイブ化して積極的に発信することには、計り知れないメリットがある。企業価値を高められるほか、自社に関する情報をデジタル化し、わかりやすく発信することで業務効率の改善にもつなげていける。

共通する2つのデメリット

デジタルアーカイブにも、いくつかのデメリットが存在する。公共機関と一般企業の両方に共通するのは、「データ保管量の増加」と「データ消失」である。

必要なデータをどんどんデジタルアーカイブしていけば、その量は増える一方である。データ量が増えれば増えるほど、その管理は難しくなる。目当ての情報にたどり着くまでの工程が多くなると、使い勝手は悪くなってしまうだろう。

また、デジタル化のリスクとして忘れてはいけないのが、データ消失の可能性だ。実在する文書や資料のように、経年劣化の心配がない反面、何らかの理由で資産全体が失われてしまうかもしれない。こしたデメリットも考慮した上で、あらかじめ対策を練っておく必要がある(※2)。

※掲載している情報は、2021年4月21日時点のものです。

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