低迷を続けていたアパレル業界にもテクノロジーの波がやって来ている。近年、若者を中心に注目を集めるデジタルファッションだ。デジタルファッションとは何か、これによってアパレルの何が変わるのか。起こりつつある変化と可能性を紹介する。
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エレミニスト編集部
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デジタルファッションとは、インターネットのバーチャル空間で着られる洋服を意味する。近年はデジタルファッション技術がオンラインショッピングに活かされているケースもある。
世界で初めてデジタルファッションが発表されたのは、2019年5月。オランダ・アムステルダムの会社「The Fabriant(ザ・ファブリカント)」という会社が発表した。デジタルファッションは若者を中心に人気が広まっている。
リアルな服の展開を行うメーカーの場合、服をつくる工程は一般的なアパレルと変わらなず、「デザイン・素材探し」「型紙に落とし込む」「サンプルの制作」「製造・縫製」の4工程を経る。
完全にデジタル上で完結するタイプのデジタルファッションなら、製造工程での汚染を排出しない。アパレル産業は、全産業のなかでも多くの環境汚染を生み出すことで知られている。
バーチャル空間上で完結するものなら、包装や輸送も必要ない。廃棄されることもないので、環境負荷が低いことも大きな特徴だ。購入してもインターネット上に存在するだけなので、部屋の収納スペースも不要だ。
アパレルメーカーには、デジタルファッション技術をリアルの服の販売に活かしているところもある。これまでもweb上で洋服の試着ができるサービスはあったが、ほとんどは体型を無視したものだった。体型データを入力することで、自分の体に合うデザインをつくったり、既製服を選んだりすることが可能だ(※1)。
完成するまで実際に手に取ることができないのはデメリットとなりうるだろう。服は人によって似合うものと似合わないものがある。体型だけでなく、肌や髪の色などが異なるためだ。同じサイズでも着る人によって印象は異なるし、布の質感は実際に触れてみないとわからない。
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人と人が簡単に接触できなくなっているいま、デジタルファッションにはさまざまな期待が寄せられている。デジタルファッションの領域ですでに行われていることや可能性を紹介する。
欧米ではすでに自分の体型にフィットするファッションアイテムを販売するサービスが増えている。日本でも、下着メーカーとテクノロジーを提供する企業が協業して、体型に合った下着をつくる実験を行っている。
デジタルファッションショーができれば、消費者はイベントにアクセスしやすくなる。その結果、ファッションの民主化が進むと期待されている。
参加しやすい反面、また消費者の注意を長時間つなぎとめておくのが難しく「なぜいま」「これをやるのか」の意義を問いにくい。状況が落ち着いたら、以前のように戻るのではないかとの見方もある。
リンクをクリックすればすべてのアイテムはそこにある便利さがある。一方で直接手にとって肌触りを確かめたり、店員との会話を楽しんだりすることはできない(※2)。
アパレル業界は低迷が続いていると言われるが、デジタルファッションは大きな可能性がある。2020年7月に経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると、アパレル業界のEC化率は13.87%だった(※3)。
デジタルファッションを導入し、消費者に合った服を届けることができれば、不要なものをつくる必要がなくなる。仕事の領域は従来のファッション関係に加えて、デザインソフトやアパレルCAD、Web、3Dソフトなどのコンピュータ操作の知識を併せ持つものに広がっていくだろう(※4)。
これまでファッションの領域で、消費者は受動的な存在だった。しかし、デジタルファッションで自分の体に合う服が気軽にできるようになれば、創り手となることもできる。誰もがファッションを楽しめるようになる時代がすぐそこまで来ている。
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